東京エレクトロン32%と米アプライド・マテリアルズ68%が経営統合 資産規模約290億ドルに アメリカでは9300億円で東京エレクを実質買収と
半導体製造大手の「東京エレクトロン」は24日、国際競争力を強化するため、アメリカの半導体製造大手「アプライド・マテリアルズ」と経営統合することで合意したと発表した。
アプライド・マテリアルズの2011年10月期の売上高は105億米ドルだが、最近はパソコン不況などから、半導体製造装置も売れなくなってきている。
統合新会社の時価総額は290億ドル(2.8兆円)の規模となる。半導体・液晶製造装置の分野で、先端技術と製品を補完し合うことで、競争力の強化を目指す。
経営統合は両社の株主総会での承認や各国の競争法の認可を経て、2014年後半(来年後半)に完了する見込み。
新会社は、新社名のもとで、東京と米国カリフォルニア州サンタクララの両本社体制とし、東京証券取引所とナスダック証券取引所に上場する。統合持株会社はオランダに法人登記する。
統合方法は、東京エレク普通株1株に対し、オランダに設立する統合持株会社の3.25株を交付した上で、アプライド・マテリアルズの普通株1株に対し、この統合持株会社の普通株1株を交付する。
これにより、統合完了後の新会社株の保有内訳は、アプライド・マテリアルズの株主が68%、東京エレクが32%になる予定。
ただ、新会社の経営陣は、東京エレクの東哲郎会長兼社長が会長に、アプライド・マテリアルズのゲイリー・ディッカーソン社長兼最高経営責任者(CEO)が、新会社のCEOに就任する。
さらに、取締役会は、両社からそれぞれ5人(うち3人を社外取締役)を派遣した上で、中立的な1人の社外取締役を加えた11人で構成する。これにより社外取締役は7人になる予定。
記者会見した東会長は「技術の強化を狙った対等な形の合併だ」と強調。 新会社は、統合初年度で2.5億ドル、統合から3年間で5億ドルの統合シナジー効果を見込む。
さらに、新会社は、統合完了後から12ヶ月以内に30億ドルの自社株買いを予定するとしている。
半導体製造装置で世界第3位の東京エレクトロンの業績推移
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連結/百万円
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2011年3月期
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2012年3月期
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2013年3月期
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売上高
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668,722
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633,091
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497,299
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営業利益
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97,870
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60,443
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12,548
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経常利益
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101,919
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64,046
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16,696
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当期利益
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71,924
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36,725
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6,076
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総資産
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809,205
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783,610
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775,527
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自己資本
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572,742
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586,790
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593,033
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資本金
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54,961
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54,961
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54,961
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有利子負債
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無借金経営
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無借金経営
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無借金経営
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自己資本比率
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70.8%
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74.9%
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76.5%
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(2014年3月期の売上高予想は5,620億円まで回復予定、当期利益は130億円予想と高収益事業の同社にとっては厳しい状況が続く)
半導体製造装置製造で同業の大日本スクリーン製造は、2006年、半導体機器事業の一部を分社化し、米アプライド・マテリアルズ社とジョイントベンチャー「SOKUDO」を設立している。
大日本スクリーン製造は、今後、どうすんだろう。
ブルームバーグは24日、半導体製造装置メーカーの世界最大手、米アプライド・マテリアルズが同業の東京エレクトロンを事実上買収する。ブルームバーグの試算によると、買収規模は93億9000万ドル(約9300億円)。
これによりコスト削減や開発投資の拡大につなげ、世界的な競争力の強化を目指すと掲載している。
権限が32%では、68%を持つアプライドマテリアルズによる買収は明確。それを選択したのは、東京エレクの経営陣である。東京エレクの株主に最終的に問うのであろうか。
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