続、太陽光機 インドネシア未払賃金を国の機関は代理支払いすべし ほか
太陽光機が6日、負債額約20億円を抱え、民事再生を申請して倒産したが、 同社のインドネシア子会社では、撤退に伴う未払給与などの問題の解決にまったく目処が立たっていないという。
同社は、子会社のSCI(サン・クリエイション・インドネシア)が、インドネシア、リアウ諸島州バタム島トゥナス工業団地内で電子製品向けコイルを生産し、本年6月下旬には732人の従業員がいた。しかし、SCIの従業員には何も告げず突然撤退した。
従業員たちは8月、バタム市議会などで未払分給与の支払いを求める抗議活動を展開、退職金など補償のめどが立っていない。
9月はじめには、バタム・インドネシア・フリーゾーン地域管理庁(BPFZA)の担当者らが、従業員の給与などが未払いとなっている事態を収拾しようと来日して、同社の木下直哉社長と面会した。
同社は、コイルの需要が落ち込み、バタム地域の最低賃金の上昇などで経営環境が悪化したことを撤退理由として説明、従業員の補償問題に関して、赤字が続くSCIの財務状況の監査を受けた上で、最終的に支払い能力の有無を判断する必要があるとした。
<必要額は250億ルピア(2億5千万円)>1ルピア:0.01円
BPFZAの木下一顧問によると、SCIの銀行口座の予算残高が約20億ルピアあり、そのほかにも工場内に残っている一部の機械や備品などの売却金が補償に充てられる可能性があるという。 しかし、機械の多くは撤退前に工場から搬出されている上、SCIのルディ・ハルトノ・ゼネラルマネジャーは従業員に対して合計約250億ルピアの支払い義務が生じるとしており、従業員への補償が完全に実施されるかは難しい状況となっているという。
<インドネシア事情>
<インドネシアの賃金上昇は異常>
世界的な電子製品不況で、売上高が伸び悩む中、インドネシアでは、最低賃金が過去5年間で100万ルピア上昇して、本年は204万ルピアとなっている。さらに、金属労連(FSPMI)は来年(2014年)の最低賃金について330万ルピアに引き上げるよう要求しているという。
そうしたことから、信越化学工業は、子会社のシンエツ マグネティクス インドネシアの工場を停止し、撤退の手続きに入っているという。
バタム島(トゥナス工業団地など)には、多くの日本企業(65社)が進出しているとされるが、どの社も賃金アップによるコストアップに懸念しているという。
進出企業の受注環境がよければ、少々のコストアップは吸収することもできようが、不況下で厳しい価格競争から、販売価格は落ち、コストは上昇という、経営困難な状況の会社が多くなってきているとされる。
<自動車産業の進出>
インドネシアでは、ここまで賃金が上昇すれば、バイイングパワーも強くなり、自動車がよく売れているという。そうしたことから、日本の自動車メーカーや部品メーカーは挙って、新たに進出を図ったり、既存工場の拡張を果たしている。
インドネシアの人口は、東南アジア最大で2億3千万人で巨大市場。内需・外需併用型の自動車メーカーの場合は、将来的にも進出効果は高いと思われるが、単なる低賃金による生産基地だけのニーズで進出している企業にとっては、賃金上昇は致命傷となっている。
参考:じゃかるた新聞
太陽光機のインドネシアでの撤退の仕方は、企業として許されるものではない。日本政府の関係機関は、太陽光機の未払賃金負債については、代理支払いをすべきだと思う。
日本においては、未払い賃金について、監督署から代理支払いがなされるが、国の制度が整っていないインドネシアでは、元従業員らを路頭に迷わせることになる。
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