アイコン 建築に見るアベノミクス効果 2013年8月までの建築着工面積推移

住宅着工戸数の動向は、経済政策でも重要視されるが、そのほかのオフィスや倉庫などの建物はどうなっているのかほとんど発表もされないことから一般の人たちにはわかりにくいところである。
ここでは、居住用建物と非居住建物からなる全建物の月別着工面積推移を調べ、アベノミクスにおける建築動向を数値から見てみた。資料は国交省の原資料を使用している。
平成22年1月からの下記グラフ参照。

平成20年10月に発生したリーマン・ショック後もすでに決定していた多くの建築物がその後も着工され続けた。その後、極端に新築は手控えられた結果、平成22年1月前年同月比▲14.4%減の8,970千㎡となり、同年2月の同▲11.8%減まで続いた。
平成22年3月より、平成21年に極端に落ち込んだ建築着工指数は、前年同月比3.7%増と平成20年11月からマイナスとなっていた着工面積は、上昇率は緩慢ながら1年5ヶ月ぶりにプラスに転じた。
 
平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響も、同年9月から平成24年8月頃まで受けた。これは、民主党政権によるフクシマ対策が杜撰なことから、遅々として復興対策・フクシマ対策を打ち出さず、逃げ隠れし、国民の心理に大きな不安を与えたことに起因している。
平成24年9月になると、衆議院の解散話が持て囃され、世論調査で民主党の極端な沈没と自民党の支持率の上昇がたびたびマスコミ発表された。 こうした政権交代気運により、株価が動き出し、新築建物も増加していった。
12月には解散総選挙が行われ、民主党の一人負け、アベノミクスの経済政策を問うた自民党圧勝により、正月明けには、株価に火が付いた。復興工事、インフラ改修工事が、金融緩和=円垂れ流し政策=円安政策により、経済回復機運は高まった。円安・株価急上昇は本年4月まで続いた。その結果、景気回復期待から、建築投資は大幅に改善されてきている。
こん日では、来年4月から始まる消費税増税を前にして、特需型の建築需要も生じている。
ただ、リーマン・ショックの後遺症を抱える世界経済は、まだ完治しておらず、この間、輸出産業の花形であった家電業界の地位は沈没、産業構造も変わり、円安効果だけでの景気回復には、円安による燃料・原材料の高騰の反作用もあり、限界が生じている。
期待される内需拡大は、株高によるプチ景気回復ではなく、早期に超低金利下の円垂れ流しにより、不動産・建築投資拡大による本格的な景気回復が望まれる。
過去の世界の歴史において、オリンピック開催による経済効果は計り知れないものが開催国で記録されている。2020年開催決定の東京オリンピック、それまで、長期的に回復傾向を辿ることだけは間違いないなさそうだ。

1001_02.jpg
全建物の同行は、月々の動きでは見えにくいため、また住宅着工戸数のように季節変動調整済の年換算値での発表もないため、当月含む過去12ヶ月分を加算した12ヶ月移動平均線で表してみた。自民党政権誕生期待時から確実に全建築物は増加していることが窺い知れ、消費税増税前の特需に火が付いている伸びようとなっている。

1001_03.jpg

全建物着工面積月別推移/原資料:国交省
 
/千㎡
前年比
12ヶ月移動平均値
H21年1月
10,480
-10.9%
2月
9,794
-13.1%
 
3月
9,991
-24.6%
 
4月
9,430
-32.5%
 
5月
8,822
-34.0%
 
6月
10,245
-28.9%
 
7月
10,105
-30.3%
 
8月
8,965
-37.3%
 
9月
8,914
-35.2%
 
10月
9,708
-24.6%
 
11月
9,605
-19.4%
 
12月
9,420
-21.7%
115,479
H22年1月
8,970
-14.4%
113,969
2月
8,641
-11.8%
112,816
3月
10,366
3.7%
113,191
4月
9,905
5.0%
113,666
5月
9,262
5.0%
114,106
6月
10,480
2.3%
114,341
7月
10,701
5.9%
114,937
8月
10,697
19.3%
116,669
9月
11,278
26.5%
119,033
10月
10,601
9.2%
119,926
11月
10,271
6.9%
120,592
12月
10,278
9.1%
121,450
H23年1月
9,733
8.5%
122,213
2月
8,985
4.0%
122,557
3月
10,087
-2.7%
122,278
4月
10,855
9.6%
123,228
5月
10,018
8.2%
123,984
6月
11,311
7.9%
124,815
7月
12,274
14.7%
126,388
8月
12,336
15.3%
128,027
9月
9,741
-13.6%
126,490
10月
10,363
-2.2%
126,252
11月
10,644
3.6%
126,625
12月
10,157
-1.2%
126,504
H24年1月
9,894
1.7%
126,665
2月
9,787
8.9%
127,467
3月
9,906
-1.8%
127,286
4月
10,954
0.9%
127,385
5月
10,697
6.8%
128,064
6月
11,411
0.9%
128,164
7月
11,418
-7.0%
127,308
8月
11,706
-5.1%
126,678
9月
11,674
19.8%
128,611
10月
12,195
17.7%
130,443
11月
11,472
7.8%
131,271
12月
11,489
13.1%
132,603
H25年1月
10,326
4.4%
133,035
2月
10,712
9.4%
133,960
3月
11,395
15.0%
135,449
4月
12,452
13.7%
136,947
5月
12,156
13.6%
138,406
6月
12,762
11.8%
139,757
7月
12,890
12.9%
141,229
8月
12,603
7.7%
142,126
 
[ 2013年10月 1日 ]
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