＜問題の取引内容＞
当不動産取引は、コーナンの取締役会の承認を得ずに、荒川春子取締役が実質経営する会社とコーナンが土地の賃借契約を結ぶなど、利益相反取引があったとされる。
コーナンは、２００６年以降、堺市南区の店舗に隣接する土地約５,５００平方メートルを、不動産管理会社「ハルカム」（大阪府堺市南区）から借り、年間約１,９００万円の賃料を払っている。
ハルカムは、コーナンの女性取締役が実質経営し、当初は疋田社長も監査役に就いていた。
ところが、この土地の購入資金約１億５,０００万円は、疋田社長が０５年ごろ、個人的に女性取締役に貸し付けたものであったという。
疋田社長は現在、ハルカムの監査役を退き、荒川取締役も代表を辞め、息子が代表を務めるという。
当土地購入に当たっては、取締役間同士の個人的な取引であり、コーナンにとって、関係ないことだが、その土地を、取締役個人や取締役が関与している企業から賃貸借取引にて借り受けることは、（会社と役員間との取引は、会社に損害を生じせしめる行為が多いことから）会社法356条１項「利益相判行為」では、「取締役会の承認を要す」と規定している。
例えば、１億５千万円土地を年間１,９００万円で借り受けた場合、１２．６６％の利回りとなる。利回りが、高いか安いか、土地の利用価値により分かれるところだが、コーナンが借りることを前提に当土地を購入していたとすれば、利益を供与したと見られる公算が高い。
そうした疑いを持たせないためにも、取締役会の承認を要するものであるが、承認を得ていない賃貸借取引をコーナンは行っていた。
これまでに、コーナンが支払った賃料総額は約１億２,０００万円だと報道されている。

＜上海事務所でも＞
それに加え、疋田社長は２００２年ごろ、上海のマンション購入資金として約１,２００万円を荒川取締役に贈与。荒川取締役は購入したマンションを数年間、コーナンの上海事務所として、自らの親族に管理させた。コーナンは、荒川取締役の親族に賃料や管理料を払っていたとされる。
荒川取締役はマンション購入資金を税務申告しておらず、贈与税の脱税となる。
コーナンは先月２４日の取締役会で、取締役３人と監査役５人の計８人で構成する調査委設置を承認した。弁護士などを交えた第三者委員会の設置も検討し、他に不適切な取引がなかったかも調べるという。
疋田耕造社長（昭和４年１月生、８４歳）と荒川春子取締役（昭和３８年５月生、５０歳）との関係が、娘なのか何なのか、単なる役員なのか不明であるが、荒川春子取締役は２０００年に入社（それ以前は三国産業（株）勤務）、中国からの輸入業務を担当、２０１０年に中国室長兼海外商品第１グループマネージャーに就任、２０１１年に取締役に就任している。
コーナンはその後、有価証券報告書でハルカムとの取引を開示しているという。
コーナン商事は１９７８年設立。近畿圏を中心に２７８店舗を構えている。
堺市南区のコーナン店舗は次の２店舗
泉北店（大阪府堺市南区岩室157番地）
泉北2号小代店（大阪府堺市南区小代74番地）
当問題は、ご高齢の社長の引退を早めることなろう。早ければ２月、現在、代表取締役副社長の疋田直太郎氏が社長に就任することになる。遅くとも５月の株主総会か？