10月鉱工業生産指数 前月比0.5%の微上昇 暗雲? 在庫減続く
経済産業省が29日発表した10月鉱工業生産指数速報は前月比0.5%上昇の98.8となり、2ヶ月連続の上昇となった。
日本企業の世界での競争力は、家電製品・電子製品・造船・建設など大きく落ちており、アベノミクスのよる円安では、25%前後の円安効果で、売上高や利益は大幅に伸びたものの、輸出数量は伸びていない。
世界経済が大きく拡大しない限り、日本企業の輸出における本格的な回復はこのままでは望めそうもない。
10月は、在庫指数も低下しており、消費増税前の駆け込み需要に備えた積み増しの動きは鈍い。
生産予測指数は、11月が前月比0.9%上昇、12月が同2.1%の上昇となり、上昇傾向が続く予測とはなっているが、下振れ傾向が続いていることから割り引いてみる必要がある。
市場関係者からは過去の景気拡大局面に比べて勢いに欠ける展開との指摘が出ている。
経済産業省は生産の基調判断を「持ち直しの動きで推移している」として据え置いた。ただエコノミストからは「過去の景気拡大局面と比較しても生産の拡大テンポが非常に緩やかで、加速感や力強さがほとんど感じられないまま」(農林中金・主席研究員・南武志氏)といった声が出ている。
「アベノミクスによる国内需要の刺激策は一定の成果が得られたが、自律的な回復プロセスが強まっているとは言い難く、また、過去数回の景気拡大局面での牽引役であった輸出が全般的に弱いことが原因」とみている。
プラスは
10月の生産に最も寄与したのは、半導体製造装置など「はん用・生産用・業務用機械工業」。半導体受注生産メーカーが、ここへきて設備投資に動きだしていることが背景にある。
次いで、住宅建設の好調を背景としてエアコンや工業用計測制御機械などが寄与した「電気機械工業」。
また、テレビやスマートフォン向けのプラスチック製フィルムなどが寄与した「プラスチック製品工業」が続いている。
マイナスは、
「電子部品・デバイス工業」や「輸送用機械工業」は低下。輸送機械は、普通乗用車や軽自動車が好調なものの、小型乗用車やトラック・バスの不振が影響した。
鉱工業出荷指数は前月比1.8%上昇し2ヶ月連続上昇。在庫指数は0.5%低下し、3ヶ月連続の低下となっている。化学や電子部品・デバイス、輸送機械などが低下している。
企業の生産計画をもとにした予測指数に比べて、10月の実績は大きく下振れたほか、11月の予測も下方修正され、生産は上昇傾向を維持しているものの、やや勢いを欠いている。
経済産業省によると、企業からは消費増税前やクリスマス商戦をにらんでの在庫積み増しの声はほとんどなく、大きな盛り上がりは見られないとしている。
特に、輸送機械や電子部品・デバイス工業の生産は10月に続き、11月も低下予測となっており、抑制気味に推移しているため、同省では「留意が必要」としている。
参照、経産省・ロイター、
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