アイコン GDP前四半期(10~12月)加速できず 前期比0.3%増、年率1.0%増

内閣府が17日発表した2013年10~12月期国内総生産(GDP)は実質値で、前期比プラス0.3%、年率プラス1.0%となった。4四半期連続のプラス成長となったものの、市場予測に反し7~9月の前期比プラス0.3%から加速できなかった。
2013年暦年の成長率は実質値で前年比プラス1.6%の成長となった。名目ではプラス1.0%。実質・名目とも2年連続でプラス成長となっている。
当GDPの数値について、
ノー天気な菅義偉官房長官は、「雇用や所得環境が改善されるなか、個人消費の増加や、企業収益やマインドの改善による設備投資や住宅投資の増加など、民需中心に着実に上向いていることを確認する内容」と指摘。

一方、甘利再生相は、「内需が好調な中で、民需を中心に景気は着実に上向いている」としながら、「市場が予想したほどの成長に届かなかった背景に、不安定な新興国経済がある」と指摘。「新興国を中心とした金融資本市場の動向と、その影響に関しては政府としても注視する」と強調している。
安倍首相は「間違いなく景気は回復している」としながらも、「課題は賃金、実質賃金を増やすことだ」と指摘、「通年ではマイナス0.5%にとどまっている。企業収益の改善を賃金上昇に結び付け、景気の好循環を取り戻したい」と語っている。
内閣官房参与のイェール大学の浜田教授は、物価上昇を勘案した実質賃金が13年後半にマイナス1.3%となったことについて、「当初は物価が先行する」と指摘している。

ロイターは次のように当成長率について次のように分析している。
所得増加や消費増税前の駆け込み需要から民間最終消費支出が加速したほか、設備投資がようやく加速し、民需2本柱は伸びた一方で、公共投資など公的資本形成が減速したほか、新興国などの外需が引き続き停滞して、全体の足を引っ張った。

<低成長継続、民需盛り上げも外需振るわず>
10~12月のGDP成長率は年率1.0%成長にとどまり、7~9月の同1.1%をもやや下回る結果となった。ロイター予測は2.8%成長だったが、これを大きく下回った。
もっとも内需は、7~9月に民需が停滞し官公需中心の成長となったのと異なり、民間需要がけん引する姿となった。内閣府では「成長の姿が公需から民需中心にシフトした」(内閣府幹部)としている。
内需寄与度は5四半期連続でプラス。寄与度が最も大きかったのは民間最終消費支出。前期比プラス0.5%と、7~9月のプラス0.2%から加速した。
プラスは5四半期連続。株価が再び上昇し資産効果が膨らんだことやボーナスの増加など所得改善効果に加え、消費増税前の駆け込み需要も寄与した。自動車などの耐久消費財や金融サービス(証券売買手数料)がプラスに寄与した。

民間設備投資も前期のプラス0.2%からプラス1.3%に加速した。プラスは3四半期連続。企業収益の改善や消費の好調が後押し、出遅れていた設備投資がしっかりとした伸びを示した。自動車、電子通信機器などへの設備投資が増加に寄与した
民間住宅投資も前期比プラス4.2%と加速。7四半期連続でプラスとなった。消費増税前の税率が適用される契約は9月末までに駆け込み需要が発生、その建設が10~12月のGDP統計に現れ、高い伸びとなった。

一方、公共投資など公的資本形成は前期比プラス2.3%と前期から減速した。5四半期連続でプラスとなったが、「12年度補正予算の執行の一段落」(内閣府幹部)で、7%前後の高い伸びとなっていた年度前半からはピークアウトしている。

外需は、7~9月に続きマイナス0.5%の寄与度となった。輸出は、円安基調を反映して2四半期ぶりにプラスに転じたが伸びは小幅にとどまった。
品目では、電子部品などの電子通信機器、半導体製造装置などが増加した。
アジア向けは増加したが、米国・EU向けは減少、北米向け自動車輸出が年末にかけて振るわなかったことも影響したとみられる。
一方で、輸入は4四半期連続で増加し、伸びは高まった。内需好調で増加したほか、原発停止でLNG輸入が増加したことが背景にある。
輸出の伸びを輸入が上回り、外需寄与度は2四半期連続でマイナスとなった。名目成長率はプラス0.4%となり、5四半期連続でプラスとなった。

<デフレーター前期比が2四半期ぶり上昇、デフレ脱却へ前進>
GDPデフレーター(物価指数)は、前年比マイナス0.4%と、7~9月と同じ低下幅。円安による価格転嫁や野菜の相場高が寄与して国内需要デフレータは前年比プラス0.5%と7~9月よりやや高くなったが、輸入デフレータの上昇が、全体のGDPデフレータを押し下げる要因となっており、国内物価の上昇も全体のデフレータを押し上げるには力不足となった。

一方、前期比ではプラス0.1%と、2四半期ぶりに上昇した。民間消費デフレーターなど内需デフレーターがプラス0.3%と上昇し、全体を押し上げた。

<1─3月も駆け込みで高成長、増税乗り越えの体力見極めへ>
日本経済は、民需を中心に消費増税前の駆け込み需要などから1~3月の成長率はさらに加速する見通しだが、その先、駆け込み需要の反動により4~6月の成長率が鈍化することになりそう。
駆け込み需要の反動減自体は、政府も織り込み済みとはいえ、その深さを緩和し早期回復を図る上で、期待されるのは海外経済や5兆円の経済対策に伴う公共投資など。そうした動きには今回のGDP統計ではまだ不安が残る結果となり、政府はまだ慎重に見極める必要があるとしている。


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日本からは、何万社も日本企業が海外に進出させた工場へ部品等を輸出しているが、完成品などを輸入している。産業の空洞化の進展はGDPにも大きく影響している。円安効果が今年から一巡することになり、今年の経済成長は限りなく不透明となる。
<新興国の経済>
旧新興国のBrics諸国は中国を除き、リーマン・ショックにより低迷を続けている。新新興国は、昨年5月からの米国の金融緩和縮小(実施は12月より)により、新興国に投資されていたドル資金が回収され、投資減による経済低迷、リスク増による為替不安から成長が急激に鈍化している。外需で巨大化した中国は、リーマン・ショックで内需に切り替え発展を持続、しかし、不動産バブルに手を焼き、いい加減、内需から外需に切り替えたいものの欧州経済の低迷により二進も三進も行かないようになっている。
こうした、新興国の経済状況に日本の輸出も限られている。輸出量が伸びていないのが、日本企業の海外進出工場と新旧の新興国の経済不安によるものとなっている。

[ 2014年2月17日 ]
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