アイコン 政紛のタイへの進出企業3,924社で増加中/帝國データバンク

帝国データバンクは26日、1月1日現在、タイ王国への日本企業の進出企業は3924社で、2011年秋の洪水後にも進出企業は25%増加していると発表した。

  日本企業にとって、タイはASEANの重要拠点であり、2011年に大規模な洪水が発生した際には、サプライチェーンを大きく狂わせたことは記憶に新し い。現在、タイの首都バンコクでは、昨年11月から反政府デモが続いている。バンコクの首都機能停滞が長引けば、進出企業にとってはかつての洪水のような 大きな痛手にもなりかねない。

 帝国データバンクでは、信用調査報告書ファイル「CCR」(160万社収録)および公開情報などをもとに、2014年1月末時点で現地企業への出資、現地法人の設立、駐在所の設置などを通じて、タイに進出していることが判明した日本企業を抽出し、業種別、年商規模別、本社所在地の都道府県別に集計・分析を行った。なお、本調査は2011年11月に続いて2回目。

<調査結果(要旨)>
1.業種別―「製造業」の構成比がさらに上昇
 タイに進出している日本企業は、3924社判明し、2011年11月調査時の3133社に比べ25.2%増加した。
業種別に見ると、トップは「製造業」の2198社(構成比56.0%)で、構成比は前回調査時から0.6ポイント上昇した。一方、「建設業」(123社、同3.1%)、「卸売業」(915社、同23.3%)、「運輸・通信業」(164社、同4.2%)の3業種は構成比が下がる結果となった。
 タイでは人件費の上昇や、2011年の洪水による被害など製造業の進出にはマイナス要因も多かったが、自動車を中心に産業集積が厚く、周囲に日系企業が多く集まっていることから、安心して進出できることも増加の要因として考えられる。
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2.業種細分類別―自動車関連が上位を維持
 業種を細分類で見ると、「産業用電気機器卸」が129社(構成比3.29%)でトップを維持した。次いで「自動車部分品製造」(126社、同3.21%)、「投資業」(87社、同2.22%)の順は前回調査と変わりなかった。このほか上位の顔ぶれに大きな変動はなく、自動車関連の製造・卸が上位を占めた。
 2011年の洪水後、大きなダメージを負った自動車関連業者の多くはタイで事業を再開。エコカー減税など自動車優遇策が続いていたこともあり、自動車産業のさらなる集積の様子がうかがえる。
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3.年商規模別―中規模部品メーカーの進出増加が顕著に
 年商規模別に見ると、「10億円以上100億円未満」が1519社(構成比38.8%)と前回調査時の1030社(同34.5%)から約500社増加し、構成比は4.3ポイント増と大幅に上昇した。
 「10億円以上100億円未満」を業種別に見ると、自動車関連などの部品メーカーが目立った。大手メーカーの生産能力強化に連動するかたちで、中規模部品メーカーの進出が広がっており、タイにおける日本企業のすそ野の広がりがうかがえる。

4.都道府県別―自動車の製造拠点となっている地域が目立つ
 タイ進出の日本企業の本社所在地を都道府県別に見ると、「東京都」が1342社(構成比34.2%)でトップとなった。2位は「大阪府」(527社、同13.4%)、3位は「愛知県」(449社、同11.4%)。以下、「神奈川県」の223社(同5.7%)、「静岡県」の172社(同4.4%)の順となり、10位までの順位に変化はなかった。
 自動車関連の業種が多いことから、「愛知県」をはじめとした、自動車の製造拠点となっている地域が目立つ。
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5.まとめ
 調査の結果、2011年の洪水に見舞われた後も、製造拠点としてのタイの魅力は健在で、製造業を中心に進出企業数は前回調査比25.2%と大幅に増加していたことがわかった。
製造拠点としてのタイの魅力とは、ASEANの一角であることもさることながら、80年代にはすでに本格化していたという進出の歴史の長さにあるだろう。
進出実績が増えることで産業集積が進み、現地でのサポート体制も整う。また、工業団地や電力などのインフラ整備や現地労働者の熟練も進む。こうして長年かけて培われてきた魅力は、1度の災害や政情不安で損なわれるようなものではない。
今後の人件費上昇は避けられないものの、それに応じて中間層の人口が増加し、自動車や家電などの需要は堅調に推移するだろう。
今回のデモの長期化によって、一時的に損害が出たり進出が敬遠されたりすることもあるだろうが、同国にとって最大の貿易相手国である日本の立場は揺るがず、情勢の鎮静化とともに製造業を中心とした積極的な進出が続くとみられる。
以上。

[ 2014年2月27日 ]
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