アイコン 豪とEPA合意 車輸出のためならエンヤコラ 20年前とそっくり

日本はオーストラリアと8日、貿易や投資の自由化を進める経済連携協定(EPA)の締結に合意した。これで日本から輸入される車にかかっている5%の関税が撤廃されるという。
  その一方で、輸入している冷蔵牛肉(オージービーフ、スーパーで購入する肉に多い)に日本がかけている38.5%の関税は、ゆくゆく19.5%まで引き下 げる。冷凍牛肉(業務用が多い)も23.5%まで引き下げていく。1年目に冷凍で8%分、冷蔵で6%分の関税を一気に減らす。以下表のとおり。

韓国はオーストラリアと8日、自由貿易協定(FTA)に正式署名した。オーストラリアは世界12位の経済国、1人当たり国民所得は7万ドルで、貿易拡大の潜在力は大きいとしている。締結により関税は撤廃され、オーストラリアでの韓国車のシェアは現在10%台にとどまるがシェア拡大に寄与すると大喜びである。既に韓国は、チリ、シンガポール、欧州自由貿易連合(EFTA)、東南アジア諸国連合(ASEAN)、インド、欧州連合(EU)、ペルー、米国、トルコ、コロンビアと締結している。

 韓国もサムスンなどの電子産業に次ぐ自動車産業の輸出に傾注してFTAを締結したようだが、日本のEPAの豪との合意で、また日本タタキをキツクしてくることになろう。
 日韓とも畜産業の農家は大打撃を受けている。
 
日本のブランド牛を扱う畜産農家もオージービーフを見限ってはならない。元和製ブランドの黒毛和牛がオーストラリアでいくらでも飼育されており、現在は、日本食ブームの東南アジアや中国へ高値(それでも日本産ブランド牛よりかなり安い)で輸出されている。そうした和種黒毛和牛の肉が日本へ入ってきたら、国内消費のブランド牛生産者も大打撃を被ることになる。
一方では、ホテルやステーキ屋さんも、変な粘着剤で固めた偽装肉(加工肉)など使用せず、オーストラリア産日本種「黒毛和牛」(店舗では原産国表示は必要ない)として、本物の柔らかいステーキを今の価格で提供することができるようになる。

<日本政府の読みは甘い>
日本政府や経産省が大事にしたい自動車産業であるが、日本の自動車大手メーカーはいずれもインドネシアやタイなど東南アジアへ既に大規模生産拠点を設けている。オーストラリアへわざわざ高い船賃使って日本から輸出するより、低価格で生産できる東南アジア製をオーストラリアへ輸出するのは自然の成り行きというものだ。利益だけは日本に転がり込むだろうが、経産省の思惑と裏腹に日本の雇用は失われるばかりだ。(トヨタは、オーストラリア工場を閉鎖する。フォード、GM、三菱と撤退している。ならば勝算があると思われるが、それでも撤退する。トヨタは当然、東南アジアの工場から輸出した方が儲かると計算しているからである)

経団連の奥田や宮田が日本で工場はやってられなくなるとして、竹中平蔵らとともに派遣業の大幅業種拡大をもたらしたが、結果、工場は海外へ出て行くばかりであった。残ったのは大幅拡大の派遣業であった。派遣の大幅拡充で低賃金労働者の大量創出を生み出し、内需はさらに萎み、デフレ経済を長期化させたままとなっている。

こうした誤算が今の日本となっており、既に日本の輸出企業は、中国や東南アジアの生産拠点から、欧米へ輸出しており、日本政府が、円安にしたところで輸出数量が伸びない大きな原因となっている。 
そのため、企業の資金ニーズも弱く、日銀のタレ流し資金の増加額60兆円も市場に吸収されたのは10兆円にとどまり、50兆円は金融機関が抱えたままとなっているとされる。
こうしたことから、口では消費税増税分は社会保障費に充てるといいながら、実際は公共投資の建設投資を大幅に増加させ、紙切れ発行による借金ばかりを増加させる一方である。

 取引は、双方ウィンウィンの関係となるが、日本は自動車、オーストラリアは牛肉。被害を被る日本の畜産農家はたまったものではなかろう。

 昔話になるが、パソコンOS(ウィンドウズ)のマイクロソフト社が、パソコン市場を牛耳り膨大な利益を限りなく享受しているが、日本のバブル後期、米国は日本からの自動車輸入に制限をかけてきた。その結果、日本の自動車メーカーは輸出を減らすため、米国に工場を設けて米国製の日本車を販売することになった。しかも、米通商代表らが持ち出したのが、専門家しか当時知らなかった国家プロジェクトの「トロン」というフリーOSソフトの開発(当時、坂村健東大助手が開発)を官庁や企業が使用しないように圧力をかけてきた。当然、へっぴり腰の日本政府は言われるがままに、「トロン」は日本国により殆ど死滅状態に陥らせられ、一方、マイクロソフトを天国へ誘った。アメリカ様の言うとおりにする、攻めに弱く守りに弱い日本政府を当時もさらけ出していた。まるで日本には自動車産業しかないようだ(今やそのとおりかもしれないが・・・)。

 今回の豪との合意やこれから始まるオバマ来日前の最後の米との通商交渉も、TPPに国民を慣れさせる一環で進められているものだろう。
 後は、酪農家は補助金で生活するしかなくなる。それもいつまで続けられるかわからない補助金で。

日豪EPA
 

[ 2014年4月 9日 ]
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