アイコン 降圧剤バルサルタン(ディオバン)の臨床データ改ざんの発覚は2名の医師から

1、東大病院の興梠貴英医師
降圧剤バルサルタン(商品名ディオバン)の臨床試験疑惑で、医学的に測定されないはずの血液に関するデータが論文にあることに一人の医師が気付き、日本循環器学会にメールで通報したことが、疑惑表面化へのきっかけになっていたことが分かったと報道されている。
この通報を受けた学会が研究責任者に問題があると認めさせ、その後の各大学の調査につながっていた。
 「死んでいる患者を相手に臨床試験をしたのか」。データのつじつまが合わないことに気付いた東大病院の興梠貴英医師は「この論文は捏造かもしれない」と直感したという。

2012年9月、東京大病院の研究室、目の前には「コメントをもらえないか」と論文を持ってきた販売元の製薬会社ノバルティスファーマ(東京)の営業担当の男性社員がいた。
京都府立医大チームによるその論文は、「バルサルタンは糖尿病の高血圧患者の脳卒中などを予防する効果が大きかった」と結論付けていた。循環器内科が専門の興梠医師には興味深い論文だった。
だが、読み進めるうちにあるデータが目に留まる。「糖尿病でないはずのグループに、糖尿病患者が何人も交じっている」。

血中の電解質の値が低すぎたり高すぎたりする患者らも目に付いた。データが真実であれば
「死んでいる」患者を調べたことになる。それほどでたらめに思えた。
府立医大チームはバルサルタンの臨床試験を経て最初の論文を09年に発表。試験には3000人以上の患者が協力しており、膨大なデータが残る。その後もどんな効果があるかを発表し続けた。ノ社はこれらを医師に宣伝し、バルサルタンを累計売り上げ1兆円の大ヒット薬に育てていた。
興梠医師は論文を読んだ翌月の12年10月、不正を疑う電子メールを、論文を載せた日本循環器学会誌の編集部に送った。

学会は12月、まずノ社に試験への関与をただしている。ノ社幹部は「一切関与していない」と強く主張したという。
学会は続いて試験責任者の松原弘明教授(当時)に説明を求めた。松原氏は「データ集計の間違いに過ぎない」と反論したが、学会幹部は納得せず、その場で撤回が決まった。
年が明けると、欧州心臓病学会誌が詳しい理由を明かさぬまま、府立医大チームの関連論文を撤回した。
 以上、本日の報道より。

興梠貴英医師
所属
東京大学医学部附属病院22世紀医療センター健康医科学創造講座
住所
東京都文京区本郷7-3-1
専門分野
臨床疫学、臨床データベースシステム
略歴
1995年 東京大学医学部卒業、医師免許取得、
2005年 東京大学大学院医学系研究科内科学修了 医学博士、
2005年~ 健康医科学創造講座特任助教
研究
基礎と臨床を結ぶトランスレーショナルリサーチにおいて、臨床情報を整理して、どのような医薬品・医療機器開発ニーズがあるかを拾い上げ、また治験や臨床試験において収集した情報を開発現場に適切にフィードバックすることは重要である。特に生活習慣病領域においては食習慣、運動習慣などの生活習慣、遺伝的背景等々の複数の要因が複雑に絡み合い、小規模のデータ収集では十分な知見が得にくい。そのため複数施設からの臨床情報収集における倫理的・技術的課題を明らかにし、それを解決しつつデータの収集が行える仕組み作りの構築を目指している。
実施業務内容
臨床情報収集システム、複数医療機関からの情報収集の構築
 
2、<論文一目見ておかしいと・・・>
京都大学病院の由井芳樹医師

当問題を取り上げたのは、京大の医師であるが、疑問を提起し1年以上も経って、やっと京都府立大学が論文内容は間違いであったことを認め、ディオバンの効能は他社製の降圧剤となんら変わらず、ほかの効能は一切認められないと発表した。
京都大学病院の由井芳樹医師は、平成19年に英医学誌ランセットで発表された東京慈恵医大の論文を一読、「データがあまりにもそろいすぎている」とすぐに疑問を抱いたという。
さらに、平成21年に別の学術誌に掲載された京都府立医大の臨床研究の論文でも同様の結果になっていることを知った由井医師は、平成24年4月、ランセット誌で、疑問点を指摘する意見を発表した。
「これらの論文では、ディオバンを投与したグループと別の降圧剤を使ったグループで、臨床研究後の血圧データがぴったり一致するなど、統計的に見ておかしい」と指摘した。
 
由井芳樹医師
助教
専門分野
循環器内科学、高血圧、虚血性心疾患
認定医資格等
日本内科学会認定内科医、日本循環器学会認定循環器専門医、医学博士
大学卒業年度
昭和51年
一言
生活習慣病、メタボリックシンドロームと心臓血管病を統一的に説明できる方法はないかといろいろ考えています。
 
ノバルティス社は、臨床試験を依頼した各大学に巨額な寄付金を提供していた。薬剤の産学協同研究ではない。ノバルティス社が販売している降圧剤ディオバンの臨床データを取得するためだが、その目的は、ほかの効能を謳い上げることで、販売を拡大させるものであった。そのために社員を大阪市大医学部に講師として潜り込ませ、1代臨床データを
寄付金額:東京慈恵会医科大学に1億8,770万円、千葉大学に2億4,600万円、京都府立医科大学に3億8,170 万円、滋賀医科大学に6,550万円、名古屋大学に2億5,200万円・・・当然、ノバルティス社にすれば、寄付金の大きさにより大学の商品価値が査定されていたものと推察される。
長谷川閑史(残業代0を強力に推進)が率いる武田薬品工業も臨床データの捏造が疑われ、結果、会社側の発表によるとデータの捏造改ざんはなかったが、広告宣伝において、不適切な表現があったと認めている。結果としての意味は同じだ。
[ 2014年6月 2日 ]
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