アイコン 株価に依存する政権 NISA額倍増へ 低賃金浸透により若者低迷

義偉官房長官は11日、株式などの少額投資非課税制度(NISA)を拡充し、非課税枠を現行の年100万円から倍増する方向で検討する方針を表明した。 
麻生太郎財務相や甘利明経済財政担当相も同様の考えを示しており、政府は具体策づくりを本格化する。新たな非課税枠は年240万円にする案を軸に検討するとみられ、早ければ2016年の実施を目指す。
 今年1月に導入されたNISAは、3月末で投資額が1兆円を突破。政府は株価が伸び悩む中、個人投資家の優遇措置を拡充して市場参加を促す狙いがある。
 しかし、内実は、元々高齢者の投資家が、NISAの制度に流れ込んだだめ、1兆円を突破しただけであり、若者の株式投資への参画率は限定的なものとなっている。これでは税収が減るばかりである。

6月23日発表した金融庁によると、口座数の年代別比率は60歳代以上が59.8%に上る一方で、20歳代は3.2%、30歳代は7.7%にとどまっている(子育て世代の40から50歳代は29.3%)。
 金融庁は6月23日、NISA(少額投資非課税制度)の総口座数が3月末時点で650万3951口座になったと発表。国税庁が発表した1月1日時点のNISA口座開設数(474万7923口座)から37.0%増加している。

金持ちの団塊の世代以上のリタイア組・シニア世代に対し、これまで以上の投資を呼びかけるようなものだが、彼ら自身の将来のことを考慮すれば、リスク資産に対するこれまで以上の投資は限定的となり、今の投資が非課税になる分だけ、彼らを利することになるだけだろう。

 今回の政策は、アベノミクスにより株価が短期間に8000円台から15000円台まで駆け上がり、その利益は消費にも結びつき、百貨店バブルを生じさせた。その再来を願ってのことだろうが、外資が市場から逃げた状況から、円安を110円台まで持っていかない限り、企業利益の成長率は限られ、多くを望めないものとなっている。

<株価低迷の原因>
この間、株価が低迷しているのは、アベノミクスにより株価を高騰させた外人投資家や外国機関投資家が日本経済のこれ以上の成長に疑問を投げつけ、撤退したことによるものである。リスクが大きすぎ、それをNISAや郵貯で穴埋めできるものではない。
 
リーマンショック前まで、日本のお家芸であった家電・電子製品分野は世界市場から激落、製造工場も現地法人化により海外進出が激増、そのため円安効果が限定的であるとともに、アベノミクスにより景気が浮上、そうした日系海外企業からの日本へ逆輸入する量も増え、円安が逆効果に作用もしている。
輸出型企業において、25%以上円安になった効果の利益の享受は2014年の決算がピークとなり、2015年以降は対前年比でその伸びは限定的になる。肝心の輸出数量が伸びない限り、円安効果は限定的に終わることになる。

<株価上昇要因は利益増にあり、売上増ではない>
アベノミクスで、内需拡大策が実施されているが、その柱の公共投資は材料高・労務費高を招き、企業利益に連動せず、売上高は確実に増加しているものの利益は伸びないというジレンマに陥っている。株式投資の基準は、その1株の利益率にあり、またその利益の成長率にある。
こうしたことが原因で、外人投資家が日本株に魅力を失ったものであり、回帰させるためには、利益成長率の更なる増加であり、また、海外投資家が常に問題視する国の借金問題、解決の糸口も明確に打ち出さず、棚上げ状態。もはや、両立させることは不可能となっている額でもある。
原発を稼動させたとしても、国家としての貿易収支は改善されようが、弱体化した財務内容と電力自由化により、電力業界に今後、多くの設備投資を期待できるものでもない。

<模索続く新産業分野>
日本は新たなる産業が必要となっていることは国も承知している。
だが、医薬品分野は、iPSなど基礎研究は強いものの、これまでの国の過保護により国際販売力は殆ど育っていない。今では逆に外資に国内市場を食われている状態である。それに、臨床データ捏造多発など国際信用力も大幅に落ちている。

期待されるロボット産業分野も、優れた技術を持ち、企業は、基礎研究により派生した非売品の人工知能ロボットはこれまで数々開発してきた。
ここにも統率する国の機関がないため、知能もロボットも分散化したまま、国の補助金も至る所にばら撒かれ、必要なところに回らないのが現状である。

<官僚の体質が企業の成長を阻害している>
こうした問題も、総じて細かく裁断化された官僚と企業との癒着、早期補助金予算の消化実績作りの官僚体質と天下り体質、補助金ブローカーの介在にあり、そうした問題を根本的に片付けない限り、日本型癒着談合経営は世界に通用せず、世界市場で活躍できる場面もないだろう。
すでに、人型知能ロボット分野も巨大企業のグーグルが市場での先鞭を付け始めている。(ソフトバンクが「Pepper」を売り出すのは快挙・・・、人工知能のフランス企業を買収しての製作であり、学習能力か高く、人に対応して進化していくロボットでもある)。
  ソニーが、トミーや岡村製作所・石黒浩氏などと合弁し、各種人工知能ロボットを完成させたら面白そうなロボットができそうだが・・・。ソニーにリーダーとしてやれる力はまだあるのかなぁ?。

<アメリカの経済復活はどこにあったのか>
日本のバブル時代、アメリカ経済は冬の時代であった。マンハッタンを買い占めていたのは当時の日本企業であった。またアメリカ自動車業界はその性能や燃費において日本車に駆逐され大打撃を被ってもいた。
その後、日本はバブル崩壊、一方、アメリカは、国策でICT分野の事業化および拡大により、世界のパソコンOSを統一させ、世界経済を牽引する原動力となった。
 だが、日本は、いまだ自動車産業に依存した貿易体質から抜け出せずにいる。
 学会の癒着体質と盲目的追随主義や官僚の天下り体質が企業の競争力、開発力を大きく損わせていることに目が覚めるまで、日本企業は円安効果以上の復活は当面なさそうだ。国内の不動産バブルによる国内経済のバブル化は別として、世界経済の競争力は現状止まりとなる。

 東日本大震災の復興予算が、野田松下政経塾政権下で、国民の意思に反して、まったく関係ない全国の部門にバラ撒かれ、山口県ではゆるキャラに使用されるなど、ウソのような現実がある限り、官主導の日本の復活の前途は厳しいものといえよう。
議員と政党の顔色ばかり見る官僚の体質を打ち崩さない限り、新分野のトップの政策による予算など霧消霧散しているのが現実だ。
 

[ 2014年7月14日 ]
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