アイコン ミツバチ大量死 ネオニコチノイド系殺虫剤/農研機構 メーカー優先の日本対策せず

みつばち<世界> 欧州では使用禁止に
1990年代初めから、世界各地でミツバチの大量死・大量失踪が報告され、すでに2007年春までに北半球から4分の1のハチが消えたとされている。

欧 州の農業国フランスでは1994年に、ネオニコチノイドのイミダクロプリドによる種子処理(種子のコーティング)が導入された後、ミツバチ大量死事件が発 生。そこで、1999年1月、予防措置として、イミダクロプリドによるヒマワリ種子処理を全国的に一時停止し、原因究明調査に着手した。
2002年に、ミツバチ全滅事件が発生し、翌年の2003年、農業省の委託を受けた毒性調査委員会は、イミダクロプリドの種子処理によるミツバチへの危険性を警告する報告書をまとめた。
これを受けて、2004年に農業省は、イミダクロプリドを活性成分とするネオニコチノイド系殺虫剤ゴーシュの許可を取り消し、イミダクロプリドによるトウ モロコシの種子処理も禁止した。そして、2006年4月、最高裁の判決を受け、ネオニコチノイド系農薬ゴーシュ(イミダクロプリド系)を正式に使用禁止と した。

EUでは、ネオニコチノイド系農薬3種(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサム)は2013年12月より2年間暫定的に、EU全域で使用が原則禁止となる。ネオニコチノイド系は現在までに6種開発されているが、禁止となるのは主力農薬。

ネオニコチノイド」を開発したのは「モンサント」、日本では、TPP強力推進の前経団連会長出身母体住友化学が提携している。モンサントは、ベトナム戦争で大量に米軍機から散布されたダイオキシンの枯葉剤製造で超有名な会社=農薬化学メーカーとして、また、遺伝子組換え一代種子でも世界№1企業である。
(なお、欧米では害虫対策に、種子をこうした農薬を塗布コーティングして使用する場合が多いが、日本では作物の成長に合わせ農薬散布することが殆どである。)

<日本> ミツバチを水田に近づけない方法模索(できもしないこと)
農研機構は7月18日、ミツバチ群の健全性は、社会的関心の高い課題となっている。夏季に、北日本水田地帯で発生が見られる巣箱周辺でのミツバチへい死について調査し、水田で斑点米カメムシ防除に使用される殺虫剤に曝露されたことが原因である可能性が高いことを明らかにした。8月に入ると中旬までイネの開花時期であり、ミツバチが水田へ飛来していることに関係している。
今後は、殺虫剤曝露による影響の緩和にむけて、ミツバチ群を水田に訪れさせないための技術等の開発を行うとしている。
・・・2004年フランスで証明され、その10年後やっとこうした発表をする農研機構は、それでも農薬使用問題については一切言及せず、できもしないミツバチ群を水田に行かせない技術開発を行うという馬鹿げた対策を練っているという。
 ミツバチのへい死については、以前から問題になっており、欧米では研究が進んでいるものの、日本の場合は、産業優先政策から、国の機関である農研機構等研究機関が、ミツバチへい死問題を意識的に先送りしている。
ネオニコチノイド系殺虫剤は、一般家庭のガーデニング用から農業用、シロアリ駆除、ペットのシラミ・ノミ取り、ゴキブリ駆除、スプレー殺虫剤、新築住宅の化学建材など広範囲に使用されている。
ネオニコチノイド系は現在までに6種開発されている。

<昆虫への影響>
ニコチンやネオニコチノイド系殺虫剤は、昆虫のシナプス部分の後ろの膜に存在するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)に結合して神経を興奮させ続けることによって死に至らしめる。ヒトなどの温血動物も中枢神経系や末梢神経系にnAChRを持っている。しかし、イミダクロプリドが温血動物に対して毒性が低いのは、それらの受容体が昆虫のものと比べると感受性が低いためとされる。(ミツバチの重量は0.1グラム、こうした薬剤はヒトにとって微量で影響も限られるものの、ミツバチにとっては甚大となっている)
現在ネオニコチノイド系殺虫剤は、イミダクロプリドに続いて、6種のネオニコチノイド系殺虫剤が国内市場に登場している。
欧米では、有機りん系やカーバメー ト系殺虫剤が、抵抗性発達や安全性の再評価によって使用を制限され、これらに替わってネオニコチノイド系殺虫剤が市場に浸透していたが、ネオニコ チノイド系殺虫剤もまた、欧州ではフランスをはじめ多くの国が規制をかけている。
 ただ、日本では、いつもの産業界優先政策から、何も規制はかけられていない。

<ヒトへの影響>
人など哺乳類には、低濃度で単独使用した場合には、比較的毒性が低いとされているが、有機リン系農薬と併用した場合には、頭痛や湿疹、ADHD(注意欠陥多動性症候群)に似た症状などが発生する場合があるとされる。
また、アセチルコリン受容体(nAChR)は、昆虫のみならず、ヒトでも神経伝達物質として自律神経系、神経筋接合部、中枢神経系において作用していることから、ネオニコチノイド系農薬のヒトの脳への影響、とりわけ胎児・小児など脆弱な発達中の脳への影響を懸念する意見もある。
 

ネオニコチノイド系殺虫剤の国内販売主要メーカー
一般名
化学薬品メーカー
(主な商品名)
(上市年)
イミダクロプリド
バイエル(独)
(アドマイヤー)
-1991
アセタミプリド
日本曹達
(モスピラン)
-1995
ニテンピラム
武田
(ベストガード)
-1995
チアメトキサム
シンジェンタ(スイス)
(アクタラ)
-1997
チアクロプリド
バイエル(独)
(カリプソ)
-2001
ジノテフラン
三井化学
(スタークル)
-2002
クロチアニジン
武田/バイエル(独)
(ダントツ)
-2002
単剤及び他殺虫剤混合剤。
シンジェンタは、米モンサント、米デュポンに続く世界3位のスイスの農薬メーカー。
 
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[ 2014年7月26日 ]
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