欧州経済の失速鮮明 とうとうドイツがマイナス成長へ
欧州経済の失速が鮮明になっている。ユーロ圏18ヶ国の4~6月期の経済成長は0%で、これまで好調な経済でユーロ圏をけん引してきたドイツはマイナス成長に転落した。
ウクライナ危機をめぐりロシアとの間で起きた制裁合戦の影響もあり、経済の先行きに不安感が高まっている。
欧州連合(EU)統計局が14日に発表した4~6月期のユーロ圏の域内総生産(GDP)は、1~3月期より0.2ポイント低下のゼロ成長。債務危機を脱して2013年4~6月期から続いたプラス成長が途絶えた。
域内経済の3割を占めるドイツが、前期の0・7%増から一転して▲0・2%のマイナス成長となったのが響いた。
ドイツ商工会議所は14日、ウクライナ危機による景気悪化を考慮し、2014年のドイツの輸出増の予測を4.4%から3.5%へと下方修正した。
「貿易が不活発な今の状態が続けば2.1%にとどまる」(商議所首脳)と、さらなる伸び悩みを予想する。ドイツの輸出依存度は4割と、日本の1割強よりはるかに高く、輸出の不調は景気悪化に直結する。
ウクライナ危機をめぐる対ロ経済制裁の影響も出始めている。
ドイツ政府は4日、独軍需企業ラインメタルが計画していた1億ユーロ(約137億円)規模の軍事訓練施設の対ロ輸出を認めないと決めた。(ドイツは涼しい顔をしているが、世界第3位の軍事物資輸出大国)
ウクライナ危機によるロシア経済の悪化も独企業には痛手だ。
独自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)は2014年1~7月に、乗用車の世界販売を前年同期比で3.8%増やしたが、ロシアでは15.7%も減らした。スポーツ用品の独アディダスもロシア市場での不調を理由に、業績の下方修正とロシアでの出店の見直しを発表した。
ユーロ圏経済のかじ取りをする欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、7日の記者会見で「ウクライナ情勢はユーロ圏に大きな影響を与えるが、危機は始まったばかりで具体的な予測は難しい」と述べた。
以上、東京新聞参照。
欧州経済を牽引していたのは、中国に貿易依存するドイツ、そのドイツが、ウクライナ問題でのロシアとの貿易制裁応酬により、翳りを見せ、今後、ロシアが輸入禁止措置をとった農作物+物流など欧州各国に影響が出てくる。
欧州の金融制裁の一つに、ロシアのLCC会社が運航する飛行機(欧州資本のリース)のリース契約を解除させた。このため、ロシアのLCC会社の飛ばす飛行機がなくなり、運航を停止した。それに怒利狂ったプーチンが、欧州からの農作物の輸入禁止措置をとったもの。
欧州経済の翳りは、やっと水面下に浮上し、陽の目を見るところまでやってきたが、また陽が沈むことを意味し、欧州経済に少なからず依存する中国含む東アジアや東南アジアなどの経済が、上を向かないことを意味する。米国経済は回復基調にあるが、世界経済を牽引するほどの力はない。
なお、イギリスは中国資本が不動産バブルを演出し、活況を呈しているが、ユーロ圏には入っておらず、欧州からは嫌われ者となっている。宗主国である英国傘下の米国との関係が深い。
2013年の世界の主要地域GDP/IMF2014 単位:10億USドル
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地域
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GDP
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国
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世界シェア
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欧州
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19,355
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独・仏・伊・旧ソ連圏の計50ヶ国
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26.2%
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北米
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18,324
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アメリカ・カナダ
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24.8%
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東アジア
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16,067
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中国・日本・韓国・台湾・香港
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21.7%
|
東南アジア
|
4,748
|
インド・アセアン諸国ほか計16ヶ国
|
6.4%
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ロシア
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2,118
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欧州から外す
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2.9%
|
その他、
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13,390
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中東・中南米・アフリカ・オセアニア
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18.1%
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73,982
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100.0%
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