アイコン 富士通 英子会社通じ米防衛関連企業買収 海外子社による軍事会社買収規制なし

富士通の英国子会社「富士通サービス」が5月、米国防総省の武器管理システムなどを開発する米IT企業を買収したことが分かった。
買収により富士通はグループとして、世界最大の米防衛市場に初参入。海外との共同開発にも対応できる態勢を整えた。武器輸出を原則容認する防衛装備移転三原則決定を受け、国際化を加速する。
 富士通は今後、買収した米企業の技術を日欧などでも積極展開する。富士通サービスのダンカン・テイト最高経営責任者(CEO)は「買収は世界の防衛市場で富士通が主導権を握るための鍵だ」としている。
  買収したのは、米テキサス州のIT企業「グローブレンジャー」社。RFID(無線自動識別装置)と呼ばれる微小な無線チップタグを使って資産などを管理す る仕組みを防衛市場向けに展開。開発したシステムは一機当たり数百万点に上るとされる戦闘機など武器の部品情報を一括管理でき、米国防総省などが活用。最 近は昨年3月、米陸軍と最大3年で3千万ドル(約31億円)に上るシステムの開発契約を交わした。

本年4月1日、日本は防衛装備移転三原則の閣議決定を機に、米国や英国などと、戦闘機など武器の共同開発に積極参加しようとしている。
関係者は「グローブ社の技術は、共同開発でも低コスト化に寄与する」としており、買収はこうした点も視野に入れたものだとしている。
 富士通は防衛省と2013年度、防衛関連企業としては第6位となる約4百億円を契約。子会社を通して英国やオーストラリアの国防事業にも関与している。

◆国内法の規制及ばず
<解説> 富士通の英国子会社による米企業買収は、日本の防衛産業への規制に対象外があることを露呈した。武器輸出が原則容認されて日本の防衛関連企業の海外展開は加速するが、海外企業の買収の是非は実質企業任せ。買収された「日系企業」が製造した武器が戦闘で使われる事態への歯止めはない。
 日本企業が、海外の防衛関連企業などを直接買収する際には、外為法などに基づき、財務相への事前届け出が必要で、「国際的な平和、安全を損なう」場合、国は買収の変更、中止も勧告できる。
 このため富士通は1998年、英国防省の事業に携わっていた英コンピューター会社「ICL」(現富士通サービス)の買収時、届け出た。
大手軸受けメーカー「ジェイテクト」(名古屋市)も2009年、米企業から買収予定だった自動車向け軸受け事業が、戦闘機の部品も製造、事前届け出をした。
 しかし、この規制は海外子会社による買収は対象外。「海外子会社による買収は、外為法の規制対象である『対外直接投資』ではない。規制できる国内法はない」(財務省)ためだ。

 富士通では、英国子会社を通した買収を「スピードを重視した」とコメント。「子会社からの提案だったことに加え、富士通本体による直接買収は、国内手続きが煩雑になる」ことが理由だったという。

 武器輸出の原則容認で、日本の防衛産業は国際化を進めようとしている。こうしたなかで海外子会社による買収は野放し状態。
軍事ジャーナリストの清谷信一氏は「日本企業が間接的に世界の防衛市場にどれだけ関与しているか、国は把握すらできていない。規制や監視は輸出や直接投資に限定すべきではない」としている。
以上、報道。
富士通さんは、英子会社やケイマンのペーパー子会社を通じ、米国のレーザー砲製造会社や原子爆弾メーカーでも買収したらいかがだろうか。

<防衛省 防衛装備移転三原則>
我が国としては、国連憲章を遵守するとの平和国家としての基本理念及びこれまでの平和国家としての歩みを引き続き堅持しつつ、今後は防衛装備移転三原則に基づき防衛装備の海外移転の管理を行うこととします。主な内容は以下のとおりです。
(1)移転を禁止する場合の明確化(第一原則)
 ①当該移転が我が国の締結した条約その他の国際約束に基づく義務に違反する場合、②当該移転が国連安保理の決議に基づく義務に違反する場合、又は③紛争当事国(武力攻撃が発生し、国際の平和及び安全を維持し又は回復するため、国連安保理がとっている措置の対象国をいう。)への移転となる場合は、防衛装備の海外移転を認めないこととしました。

(2)移転を認め得る場合の限定並びに厳格審査及び情報公開(第二原則)
 上記(1)以外の場合は、移転を認め得る場合を、①平和貢献・国際協力の積極的な推進に資する場合、又は②我が国の安全保障に資する場合等に限定し、透明性を確保しつつ、厳格審査を行うこととしました。
 
また、我が国の安全保障の観点から、特に慎重な検討を要する重要な案件については、国家安全保障会議において審議するものとしました。国家安全保障会議で審議された案件については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)を踏まえ、政府として情報の公開を図ることとしました。

(3)目的外使用及び第三国移転に係る適正管理の確保(第三原則)
 上記(2)を満たす防衛装備の海外移転に際しては、適正管理が確保される場合に限定しました。具体的には、原則として目的外使用及び第三国移転について我が国の事前同意を相手国政府に義務付けることとしました。
 政府としては、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、国際社会の平和と安定のために積極的に寄与して行く考えであり、防衛装備並びに機微な汎用品及び汎用技術の管理の分野において、武器貿易条約の早期発効及び国際輸出管理レジームの更なる強化に向けて、一層積極的に取り組んでいく考えです。

 

[ 2014年8月26日 ]
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