中国寄りの馬英九総統 選挙大敗を受け国民党主席辞任
11月29日開票された台湾の統一地方選挙、馬総統が進める中国寄り路線に対する信任投票の 様相を示す中、その政策に叛旗を翻した今年3~4月にかけての学生による立法院占拠事件、9月から始まった隣国香港の雨傘革命=民主化運動により、馬総統 が率いる国民党は窮地に立たされていた。
大敗した国民党の馬総統は、これまでまったく中国を刺激してこなかったが11月1日、大胆にも香港の民主化運動を支持する発言を行った。敗北しての心境の変化だろうか。
国民党の政界大御所の李登輝元総統(国民党)も、馬国民党政権から離脱し、台湾団結連盟という新政党を設立、国民党とともに台湾2大政党である民主進歩党とも対話する仲となっていた。馬政権離れであった。
台湾の馬英九総統は3日、11月29日に行われた統一地方選挙で、与党・国民党が、県知事と市長のポストを改選前より半分以上減らして大敗した責任を取り、兼務する党主席を正式に辞任した。
馬英九氏は国民党の第4代主席(2005年8月19日~2007年2月13日)と第6代主席(2009年10月17日~2014年12月3日と2回国民党主席を務めている。
これによって馬政権の求心力が一段と低下し、これまで進めてきた中国との関係強化に向けた政策にも影響を与える見込みとなった。
これを受け、国民党の内部では、馬総統の指導力に対する批判の声が高まっていたが、馬総統は3日開催された党の会合で「選挙に負けた最大の責任は私が負わなければならない」と述べ、党首に当たる主席を正式に辞任した。
馬総統は、2008年に総統に就任した翌年から、国民党の主席を兼務していた。
馬総統の主席の辞任を受け国民党は、慣例により呉敦義副総統が、当面、主席を代行することを決定、新主席を、1月末までに選出する方向で調整を進める見通し。
馬総統は、総統の残りの任期は約1年半となるなか、党主席を辞任したことで、求心力が一段と低下し、これまで進めてきた中国との関係強化に向けた政策にも影響を与えるとみられる。
また次の主席は、再来年の総統選挙の候補者として有力視されることから、党内の主導権争いが活発になることも予想されている。
国民党の副主席7人の序列は、呉敦義副総統、曽永権前国民党秘書長(幹事長に相当)、洪秀柱立法院副院長(国会副議長)、黄敏恵嘉義市長、朱立倫新北市長、胡志強台中市長、郝龍斌台北市長の順となっている。
以上、
<舵取り難しい中国との関係>
今後、中国との関係が注目されるが、台湾が、政治家疾患で落日の日本から昇陽の中国へ舵を切ったのは当然のことだろう。その結果、中国の経済成長とともに大きな経済成長を遂げてきた。馬総統の経済戦略は見事達成されたが、今や中国は韓国重視政策は、台韓はIT製造産業で激しい競争関係にあり、馬総統は危機感を有していた。その結果、更なるサービス部門での中国との経済関係強化策を打ち出したところ、巨大な中国資本により台湾のサービス産業は淘汰されてしまうと危惧した学生らの大反発を招いてしまった。今や中国覇権主義の習政権と韓国一ヒステリーの朴政権は9月6日、FTA(2国間自由貿易協定)に関し合意している。
<台湾の経済成長率推移(2014推定予想値)>
台湾経済はIT産業の趨勢に左右されており、アップルの製品は台湾勢が中国で組立て各国へ出荷している。一方、サムスン製品は韓国と中国で製造されている。この間、パソコンの世界的な低迷がEMS(電子製品受託製造)メーカーが多い台湾企業に打撃をもたらしてきた。
2013年の台湾のIT産業の生産額は34,470百万ドル(約4兆円/118円現在値換算)。台湾ブランドのスマホメーカーはHTC、ASUS、Acerがあるが、こうした企業の世界販売高より、受託生産額が大きい。そのため、台湾勢の大規模な中国での生産を含めたものは巨額となり、鴻海精密だけでもグループ売上高は3兆0,953.95億台湾元(約11兆8千億円(2012年)/3.83円現在値換算)に達している。
スポーツシューズにしても、ナイキやアシックスなど製造している世界一のメーカーは台湾企業で、中国で何十万人も雇用して製造している。
中国経済の台頭は、こうした台湾勢が導いたとも受け取れるが、台湾勢は、政治的に阻害された環境下、中国の低賃金を利用し、米シリコンバレーや世界の大手メーカーから製造受託し、中国を世界の生産基地にした巨大化した企業が多いのが特徴だ。
そうした台湾の中国との関係は、26.1%の輸出を依存する韓国にもいえるが、まさしく中国による経済支配の関係にもある(台湾は輸出額の26.8%を中国依存)。
欧米のウクライナ問題に発するロシアに対する経済制裁は中国にとって良い見本となったともいえる。日本も中国から反日暴動やその洗礼を受け続けているように。
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