アイコン LNG暴落の予兆 原油に引きつられる それでも電力会社は値を上げる

ロイターは11日、天然ガス価格の動向について次のとおり報道している。
中国の需要急増を背景にこの5年間続いてきた液化天然ガス(LNG)ブームに、とうとう幕が下りようとしている。
中国国有エネルギー会社の中国石油化工(シノペック)が、長期のLNG輸入契約の一部を売却しようとしていることは、ブームの終えんを告げる象徴的な出来事だ。

LNGは、今世紀に入って燃料源としての注目度が高まり、資源国では「ダッシュ・フォー・ガス」と呼ばれる開発ブームが巻き起こった。

ところが、ここにきて中国経済が失速。需要が減退し、中国国内のガス価格も下落が予想されることから、輸入の採算性が悪化している。

コンサルタント会社のウッド・マッケンジーでアジアのガスに関する調査責任者を務めるガービン・トンプソン氏は「LNGは生産量が増えすぎている。中国はいわば、LNGで窒息しかけているようなものだ」と話す。

アナリストは、6月以来およそ40%下落している原油価格も、中国のガス価格を圧迫しているもう1つの要因、との見方を示している。

バーンスタイン・リサーチは「最近の原油安を踏まえると、(中国で)天然ガスの価格が初めて下落するリスクが高まっている」と指摘。
コンサルタント会社チャイナ・マターズのディレクター、マイケル・メイダン氏は「(中国の)経済成長の鈍化と(これまでの)価格上昇が(LNGの)需要を押し下げている」との見方を示した。

事情に詳しい複数の関係筋によると、中国石油化工(シノペック)は、オーストラリアのほか、パプアニューギニアの新プラントから調達したLNGを英BPに売却しようと計画している。
シノペックはそのほか、余剰LNGのスポット市場での売却や、長期の輸入契約の一部を他社に売却することなども検討しているという。
関係筋によると、シノペックは、豪オリジン・エナジーとの間で締結した、年間430万トンのLNGを20年間輸入するという契約について、その一部を売却するための初期交渉に入っている。ただし、エネルギー価格が下落するなか、LNGの転売も難しいかもしれない。
中国だけでなくアジアのほかの消費国も余剰分の売却に動いているため、供給がますます過剰になるという悪循環に陥っている。
LNGには手ごわい競争相手もいる。それはパイプライン輸送ガスや水力・石炭発電、中国のシェールだ。
トレーダーの1人は「(LNGは)石炭や水力発電に価格面で劣る。ロシアや中央アジアのパイプラインも参入するうえ、いつの日か中国のシェールガスも競争相手に加わる」と指摘した。
以上、

中国では、すでにシェールガスをウイグル地区で生産しており、各地に急速に拡がって行くと予想されている。中国のシェールガス埋蔵量は世界最大とされている。
日本の電力会社は、原油が4割下がっており、LNGは真冬を前にまだ2割程度しか下がっておらず、今後更に下がると予想されている。そうした中で値上げはないだろう。実際、燃料としての需要が下がる春の前には価格は大きく落ちると見られる。
 

[ 2014年12月12日 ]
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