アイコン 続、ロッテ財閥の内紛 会長激怒か 長男辛東主氏を全役職から解任 3つの要因

ロッテグループの辛格浩(シン・ギョクホ、日本名:重光武雄)総括会長の長男の辛東主氏(シン・ドンジュ、日本名:重光宏之)がグループ内のすべての役職から解任された。
「韓国ロッテ」は次男の辛東彬(シン・ドンビン、日本名:重光昭夫)会長、日本ロッテは長男の辛東主氏で決定していた見えたロッテグループ後継問題、その構図が年末から年始にかけ、次男の辛東彬氏に日本も韓国も承継される動きとなった。

韓国のロッテグループは、オーナーの辛格浩(重光武雄)らの持株会社が51.4%(重光武雄6.8%、次男の辛東彬 5.3%、長男の辛東主 4.0%、 ロッテアルミニウムが15.3%)を所有している。

日本のロッテホールディングスの株式は、次男で韓国ロッテのシン・ドンビン会長が19.1%を所有、長男で日本ロッテのシン・ドンジュ会長の持分はこれよりも多いと言われていたが、具体的な数値は明らかになっていない。日本の会社で辛格浩氏の持株会社である「光潤社」が27.65%を所有し、この会社を誰に渡すかによって、ロッテの支配権が変わる関係にあった。

また、韓国で上場しているロッテショッピング、ロッテ製菓など主要系列会社の持分率でも兄弟の間でほとんど差がなかった。

ロッテ財閥 後継問題
 
日本名
韓国名
 
会長
重光武雄
辛格浩
シン・ギョクホ
統括会長
長男
重光宏之
辛東主
シン・ドンジュ
日本ロッテ代表失脚
次男
重光昭夫
辛 東彬
シン・ドンビン
韓国ロッテ代表
 
ロッテ財閥 オーナー 重光武雄氏の略歴
重光 武雄
辛格浩、シン・キョクホ
生年月日
1922年10月4日生、92歳
実弟
韓国の食品メーカー農心の創業者の辛春浩は実弟
1922
日本統治時代の朝鮮(現韓国)の慶尚南道蔚山で誕生。
1942
 関釜連絡船に乗って日本本土へ転居。
1946
早稲田実業学校卒業。
1947
進駐軍のチューインガムを見て、ガム製造に乗り出し大成功
1948年 6月
株式会社ロッテ設立。代表取締役社長に就任。
 
チョコレートでも大当たり
1967年4月
韓国ロッテ設立。
1971年1月
岸信介の仲介で東京オリオンズ(現・千葉ロッテマリーンズのスポンサーに
1972年11月
ロッテオリオンズのオーナーに就任。
1979
ソウルにロッテホテル開業。
2009年7月
ロッテグループ社長を退き、会長に就任
 
ロッテ財閥 長男 重光宏之氏の略歴
重光 宏之
韓国名:辛東主・シン・ドンジュ、신동주
生年月日
1954年1月28日、60歳
1976
青山学院大学理工学部経営工学科卒業。
1978
青山学院大学大学院理工学研究科経営工学修士課程修了。
1978
三菱商事に入社
1987年
ロッテ商事入社
1991年
ロッテ常務取締役
2001年
ロッテ取締役副社長
2009年
ロッテホールディングス取締役副会長
 
ロッテ国際奨学財団理事長。
2011
ロッテ商事代表取締役副会長兼社長に就任
2014年12月26日
ロッテ商事社長などグループ3社の役職から解任される。
2015年1月
ロッテホールディングス取締役副会長職も解任、経営陣から失脚
 
ロッテ財閥 次男 重光昭夫氏の略歴
重光 昭夫
韓国名:辛 東彬 シン・ドンビン신동빈
生年月日
1955年2月14日、59歳
1977
青山学院大学経済学部卒業
1980
コロンビア大学大学院修了
1981年
野村証券に入社、ロンドン支店6年間勤務
1985年
大成建設副社長の娘(淡河真奈美=伊藤宗一郎の秘書)と結婚
1988
ロッテ商事入社
1991年
ロッテオリオンズ球団社長代行、
1995年
ロッテオリオンズ代表取締役就任、広岡をゼネラルマネージャーに抜擢
 
韓国ロッテグループ会長
 
千葉ロッテマリーンズオーナー代行
 
日本ロッテホールディングス株主
売上高
62百万円
光潤社(持株会社)
27.65%
長男
19.1%超
次男
19.1%
 
韓国ロッテ
売上高
6兆20百億円
 
 
 
持株会社
51.4
内訳
 
 
会長
6.8%
 
 
長男
5.3%
 
 
次男
4.0%
 
 
ロッテアルミニウム
15.3%
 
ロッテ製果
次男
5.34%
 
長男
3.92%
買い増し
 
ロッテショッピング
次男
13.46%
 
長男
13.45%
 

ロッテショッピングは、
百貨店は、国内24店舗、国外中国5店舗ほか
マートは、国内95店舗、国外120店舗以上。
上場株価は昨年9月34万ウォン、1月25万ウォン台
<逆鱗に触れたとして考えられることは3つ>
1つは、日本ロッテと韓国ロッテの成長性
日本ロッテは、ガムやチョコなどの製菓とロッテリアなど飲食業中心、競合多く成長性は限られている。
一方、韓国ロッテは、テーマパークや大型商施設、商施設のほか、建設会社や金融会社など多くの事業展開をなし、日本を含め財閥を形成。中国やベトナム展開など海外展開の拠点となっている。

この違いから、経営責任を取らされたと見るのは、いささか無理だろう。それは次男の力量だけではなく、会長のこれまでの強力な事業推進にあったからだ。
2つ目は、韓国のロッテ製菓株買い増し問題。会長は長男が日本、次男が韓国を見るように事業承継を組み立てていた。それにもかかわらず、長男が会長や次男の承諾を受けず、韓国ロッテ製菓の株買い増しに動いたことが逆鱗に触れたという説。可能性としてはあろうが、一度に買いましたのではなく、何回にも分け買い増ししており、秘密裏にそうしたことを行っても、会長も次男もその間に分かっていたはずだ。ならば、この説も否定的にならざるを得ない。
3つ目は、私的な見解であるが、命運をかけたロッテ第2ワールド問題やロッテショッピング問題。
第2ロッテワールドで本体より先行させ10月にオープンした複合商業施設での各種問題で、水族館の水漏れ問題、床・天井ひび割れ問題、映画館の床ゆれ問題、駐車場の多数の亀裂問題、大型本屋の床亀裂、オープン後も工事が進められていた劇場内装工事中の死亡事故など多発している問題だ。(床の亀裂について、ロッテ側は昔のソウルを再現したものと平気で嘘もついていた)

当建物は、本体とともにロッテ建設が建築を担当している。そうした先行オープン(オープン予定日は昨年4月ともされていたが許可が下りず、結果10月になってやっとオープンした。
それにもかかわらず事故多発で問題を露呈、ロッテ全体での対応も遅く、工業系の長男が次男を叱責したことも有りえ、会長が激怒したとも考えられる。
それ以前に、日本大使館がロッテホテルで公式レセプションを開催する予約をこれまでどおり入れていたにもかかわらず、開催前日になって韓国民族派の攻撃を恐れ、拒否したことにもあろう。 

長男は日本担当として不満だったろうが、次男が判断し、会長に承認をとっていたものと見られる。そこにも長男と会長が激突した可能性がある。
オーナーが政略家で、岸や福田・中曽根とも近く日本の中枢政界ともつながるものの、それは過去の話、すでに晩年の域、すでに日本政界との関係をもっても妙味もありつけない。今では韓国人として同胞意識も強く、韓国で財閥を形成している会長と次男であり、経営の方向性に長男と何らか衝突があったものと見られる。(それ以前にも、韓国のロッテショッピング(特に百貨店で開催)において竹島での反日キャンペーンを行っている)
韓国ロッテを率いる次男の重光昭夫こと辛東彬氏は、ロシア・中国・インドネシア・ベトナムなどに積極展開、ベトナムでは第2の大型ショッピングセンターの開発計画を持つなど、頭打ちの日本、頭打ちで規模も小さい韓国にあり、事業家としての素質を次男にオーナーの重光武雄こと辛格浩氏が見い出しているに違いない。その次男と長男の落差が目に余ってきたもののかも知れない。

<不安よぎる超大型投資の連発>バブル化したロッテか
<ロッテワールド>総投資額約3兆5,000億ウォン(約3,800億円/0.11円)

ロッテ問題は長男更迭だけではない。
2016年全面開業予定の第2ロッテワールド(123階建・高さ555メートル)の本体工事も傘下のロッテ建設が建設しているにもかかわらず、躯体コンクリに何回もクラッシュが走るなど問題を露呈させながら、上層階へ建築が進んでいる。近隣の人工池の水量減との関係がうわさされている近隣道路の陥没、建物施設地下での巨大空洞発見など建物以外にも不安材料が挙げられている。
それに加え、第1ロッテワールドに隣接して第2ロッテワールドが建設されており、客は相乗効果どころか、相殺されるおそれもある。今や外国人観光客の60%超を占める中国人観光客相手にしたものと見られるが・・・。中国もバブルが崩壊し、消費もすでに下降してきている。

<中国巨額投資>2400億円
ロッテマートは国内に95ヶ所超、中国に95ヶ所超、インドネシアに28ヶ所超、ベトナムに10店舗展開している。
ロッテ百貨店は、中国5号店となる総投資額20億ドル(約2,400億円)規模の「ロッテワールド瀋陽」を昨年7月オープンさせた。ロッテワールドと名を打つだけに投資額も大きい。しかし、百貨店1号店は失敗し地元合弁資本に損切り処分している。
中国経済は、これまでのような高成長は、バブル崩壊と生産コストアップ・生産設備の過剰施設問題により今後期待できない。
タイにも2017年完成予定で1600億円をかけ、バンコクにロッテワールド建設を計画している。

<インドネシア巨額投資>3000億円
インドネシアのPT Titan Kimia Nusantaraは40億ドルを投じてエチレンプラントを建設中。当事業には韓国ロッテグループの湖南石油化学(株)が70%の投資を行っている。3000億円近い大型投資となっている。しかし、足元では、原油価格が暴落、石油化学品も暴落している。この分野は中国勢の追い上げも急であり、すでに中国勢は経済低迷により過剰生産設備となり輸出攻勢に出ているのが実情。
アメリカではシェールガス・オイル革命により石油化学プラントの建設ラッシュとなっている。カナダのオイルサンドも開発されている。韓国勢のこれまでのようなアメリカ市場への輸出は難しい環境になりつつある。中国はすでに基本材の石油プラント施設の生産量は、自国でほぼまかなっており、欧州は経済が低迷したままで、回復の兆しは見えてこない。

<ベトナムへの巨額投資>
ベトナムには、ロッテマートを10店舗展開、大型複合施設はハノイに完成させ、ホーチミン市(旧サイゴン)のエコ・シティ開発(日本の国交省がベトナム当局と技術提携した事業)では、大型複合施設等に開発にあたる。
ホテル事業も韓国8つ、モスクワとホーチミン市・ハノイに各1つの計11の高級ホテルを経営(錦糸町のロッテホテルは日本法人経営)している。
これらの開発計画(ベトナムにマート60店舗計画で数億ドル、ホーチミン市のエコ・シティでも110億ドル単位?の投資が必要と思われる。
こうして、あちこちの国々で事業を拡大させ、資金需要は旺盛となっている。

その他、
会長も92歳、お迎えもある歳だ。長男は工業系、次男は文系金融畑の経歴、その経営手法もおのずと異なることだろう。
韓国ロッテグループにはロッテ製菓やロッテ七星飲料、ロッテショッピングのように韓国取引所に上場している企業も多く、海外進出などの大型投資に対し資金調達手段を容易にしている。

韓国での外資の状況は、儲からなくなり海外の金融機関の出先は撤退、工場など進出する企業も限られ、最近のドル高やサムスンショックもあり証券市場では逃げにまわっている。今や中国資本による証券・債権・不動産への投資が積極化しているが、中国人は韓国以上に守銭奴であり、乗り込むのも見切るのも早いと思われる。
そうした中で、ロッテグループは荒波に船を漕ぎ続けている。

韓国ロッテの系列事業会社
ロッテホテル
ホテル経営+持株会社
ロッテショッピング(株)
百貨店やマート経営
ロッテワールド
テーマパーク、第2を建設中
ロッテ製菓(韓国)
 
ロッテ商事(株)
 
(株)ロッテリア
 
ロッテ電子
 
(株)ロッテドットコム
 
ロッテ物産(株)
 
ロッテロジスティックス(株)
 
ロッテ駅舎(株)
 
ロッテスカイヒルC.C.(株)
 
(株)エフアールエルコリア
 
(株)ウリホームショッピング
 
 ロッテ七星飲料(株)
ペプシ社などと提携
(株)ロッテハム
 
ロッテフレッシュデリカ(株)
 
ロッテブランジェリー
 
ロッテ製薬
 
(株)フードスター
 
(株)ウェルガ
 
キヤノンコリアビジネスソリューションズ
キヤノン社と合弁
大弘企画
広告代理店
湖南石油化学(株)
インドネシア出資・マレーシア買収
ロッテ建設
第2ロッテワールド建設中
(株)ロッテ機工
 
ロッテアルミニウム(株)
 
ロッテカード(株)
 
ロッテキャピタル(株)
 
ロッテ損害保険(株)
 
ロッテ資産開発(株)
 
(株)コリアセブン
セブン-イレブン韓国法人
韓国富士フイルム
富士フイルム韓国法人
ロッテ・ジャイアンツ
釜山のプロ野球チーム
ロッテ・ジェイティービー
旅行代理店。JTB合弁
ロッテ酒類
斗山の酒類事業買収
ロッテ資産開発・ロッテ観光開発
開発事業

<ロッテの1月5日のリリース>
ロッテグループの持株会社である(株)ロッテホールディングスは、昨年12月26日に行われた臨時取締役会において、同日付で弊社取締役副会長である重光宏之の、株式会社ロッテ(取締役)、ロッテ商事株式会社(代表取締役)、株式会社ロッテアイス(取締役)の取締役の職を解く決議を行い、承認されました。
以上、
取締役の解任は株主総会でなければならないのだが、臨時取締役会で解任している。

<ロッテの1月9日のリリース>
ロッテグループの持株会社である株式会社ロッテホールディングスは、1月8日に行われた臨時株主総会において、同日付で重光宏之の取締役の職を解く決議を行い、承認されました。
また1月8日付で、ロッテ商事株式会社(本社:東京都新宿区)の代表取締役社長に佃孝之
(弊社及び株式会社ロッテ代表取締役社長)が就任いたしましたので、併せてお知らせいたします。

【佃孝之略歴】
生年 : 1943年(71歳)
出身地:東京都
最終学歴:1968年 早稲田大学商学部卒業
略 歴  :1968年 住友銀行入行
2001年 :同行 代表取締役専務 兼 専務執行役員欧州本部長
2001年 : ロイヤルホテル代表取締役社長
2007年 :同社 代表取締役会長
2009年 :株式会社ロッテホールディングス代表取締役社長
株式会社ロッテ代表取締役社長

【ロッテ商事概要】
企業名:ロッテ商事株式会社
設 立 :1959年12月
資本金:2,000万円
代表者:代表取締役社長佃 孝之
事業内容:菓子食品の販売
売上高:1,409億円(2013年度)
従業員数:568名(2014年3月現在)
2016年開業予定で建設中の112階建、第2ロッテワールド

[ 2015年1月13日 ]
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