アイコン 中国の狙いはミャンマーコーカン地区のクリミア化(併合)か ビルマの概要

 

ミャンマーは多民族国家であり、ビルマ族(人口の約7割)の他、主な民族だけでも、カレン族、カチン族、カヤー族、ラカイン族、チン族、モン族、ヤカイン族、シャン族の少数民族のほか北東部には中国系のコーカン族が暮らしている。
ミャンマー政府軍は、北東部コーカン族ゲリラに対して攻撃、戦闘機からの流れ爆弾が中国雲南省のサトウキビ畑に着弾して爆発、農民5人が死亡したと、中国側がカンカンとなっている。

新華社は、中央軍事委員会の范長龍副主席が、ミャンマー国軍の総司令官に対し、事態再発の場合には「強硬かつ断固した措置」を取ると警告したと伝えた。
当然、ビルマは批難されるべきものだが、蓋を開ければ、コーカン地区は、中国との関係において、民族問題と領土問題が横たわっている。
政府軍のコーカン族への攻撃以来、中国雲南省へは、すでに6万人以上の避難民が越境して流入しているという。

<多民族国家と利権>
北部アフリカや中近東は、民族・部族や宗教による紛争と石油利権問題などを抱えている。こうした国々は、絶対権力者が力により支配していたが、欧米により、平等・自由主義という大義の下に流動化が進められ、殺戮の嵐が吹き荒れ混沌とした国にすべて化かしている。
そうした中でも流動化していない国は、欧米と協調路線をとっている国々であり、UAEのような部族長が、ヨルダン・サウジアラビア・クウェートなど王様が絶対権力より支配している国となっている。結果、その背景には欧米の利権が大きくかかわっていることが理解できる。
 
<ミャンマーの変化と中国>
ただ、ミャンマーの場合は、石油など欧米がこれまで欲してきた利権がなく、軍国主義国家として閉鎖された社会となっていた。
これまでミャンマー国内で大きな問題が生じなかったのは、国家を牛耳ってきた軍人たちが、イギリスの植民地から解放した日本軍の規律に学んだことが大きいとされている。それにより、軍の絶対権力者にありがちな、近親者・親族などによる汚職がほとんどなく、不平不満による軍関係者によるクーデター事件などがなかったことにあるとされる。
当然、多民族国家であり、民族紛争も多発、絶対権力者がいなければ、統率できない国でもあった。しかし、それを軍が組織として担ってきた珍しい国でもある。親の威光を笠にした西洋かぶれの人もいるが・・・。
だが、近隣の東南アジア諸国が、自由化の波に発展を遂げる中、孤立していたことは間違いない。それは、これまで中国が経済的に支えてきたことにもあった。
ところが、ミャンマー自身も近隣諸国に取り残されていることを自覚、自らが開放政策に舵を切った。それが面白くないのは当然 中国となる。

<中国にとって軍事的価値>
中国の覇権主義は、ミャンマーにも及んでいる。中国軍はミャンマーからインド洋・ベンガル湾の大ココ島を賃借し軍事施設を、ミャンマー西岸のダウェーには軍港を建設している。中国はそのダウェーへ雲南省から通す長距離の線路の構築を経済協力という美名の下に進めている。
そうした中、ミャンマーの軍事政権の開放路線化は、西側の投資を呼び込み、これまでの中国一辺倒から大転換を行っている。
この変化に、これまでミャンマーへ流入した中国人たちに対し、国民は騙されてばかりで不満を蓄積させてもきていた。
 
<コーカン族と国民党軍>ミャンマー北東部のコーカン族
コーカン族の祖先は、17世紀に雲南省から移住した明朝時代の遺民であると考えられている。
それに戦後、共産党軍に追い立てられた国民党軍やその家族たちが移り住んだとされる。これまで、中国とミャンマーは蜜月時代を続けてきたことにより、今日、経済的に力を付けた中国にとって何も問題とならなかった。
 
だが、蜜月時代がミャンマー側によって終焉を迎えている今、中国の覇権主義的野心は、ビルマとの国境線変更を視野に入れている可能性もある。ロシアによるウクライナのクリミヤ半島併合が例に挙がっている。
コーカン族は軍事組織を持ち、反政府勢力として2009年8月にはミャンマー軍事政権と衝突するコーカン事件を起こしている。
今回の軍事衝突が高じれば、中国がコーカン地区を併合する可能性がある所以となっている。そのため、今回の衝突で雲南省住民5人が死亡したとする報道を大々的に行っている可能性もある。
(中国政府は、漢族がウイグル族やチベット族を攻撃し、いくら死者が出ても公表しないが、ウイグル族などが攻撃した場合は大きく公表し、常に100倍返しの大弾圧をかけている。こうしたことから、今回の中国のミャンマーに関する報道が気になるところだ)
 
ここに来て、スリランカ南端に建設中の中国軍の軍港(大義は港湾建設)は、スリランカ政権が変わり、港湾建設に絡み前政権の汚職が明らかになったとして、工事中止命令がスリランカ政府により出された。
 
インド洋・ベンガル湾の中国軍のスリランカ基地やミャンマーに設けた基地は、日本や韓国などの海上オイルロードであるばかりか、カシミールの領土問題で係争中のインド側をけん制できる要所でもある。
 
ミャンマー
 
<概要>
ミャンマーの概要
公用語
ビルマ語
首都
ネピドー
最大の都市
ヤンゴン
大統領
テイン・セイン
国土面積
676,578km2(40位)
水面積率
3.06%
人口
51,419,420人(2014年、25位)
人口密度
75人/km2
民族構成
大きく8部族、135民族で構成
<民族>
ミャンマーの民族構成比等
民族
構成率
人種数
ビルマ族
68.0
9
シャン族
9.0
33
カレン族
7.0
11
ラカイン族
3.5
7
緬甸華人(中国系)
2.5
 
モン族
2.0
1
カチン族
1.5
12
緬甸印僑(インド系)
1.2
 
カヤー族
0.7
9
チン族
4.5
53
ワ族
 
ナガ族
 
ラフ族,
 
リス族
 
トーアン族
 
<言語>
ミャンマーの言語
ビルマ語(公用語)
シャン語、
カレン語、
ロヒンギャ語、
チンプオ語、
クキ・チン諸語、
モン語
ほか
<宗教>
ミャンマーの宗教 構成比
仏教
90.0
キリスト教
4.0
  うちバプテスト教会派
3.0
  うちローマンカトリック教会派
1.0
イスラム教
4.0
精霊崇拝信仰
1.0
その他(ヒンズー教など)
1.0
 
[ 2015年3月16日 ]
スポンサード リンク
 

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 
JCNET注目記事!
「医療法人社団菫会」前田章理事長と黒い巨頭(06/08 11:36) 2015:06:08:11:36:29
PR いま建設業界の求人が急増中、当サイトおすすめの「建設・建築求人ナビ」 が便利です。


PICK UP

↑トップへ