対中投資が減少し、生産拠点や現地店舗の数も減っている。中国に新たに赴任する駐在員も当然減少している。
　　日本企業のビジネス動向に関する報告書によると、日本の昨年の対中投資は43億3000万ドル（約5200億円）で、前年比▲38.7％減少した。2012年に73億5000万ドルでピークに達した後、２年連続して大幅減少している。
一方、外国企業による投資は、全体で同期間に年平均3.5％増加している。これにより、日本が外国投資全体に占める割合は１２年の１１．０％から１３年には６．７％、１４年には５．７％に低下した。

中国での日本の駐在員も減少、１２年の１２万人から１４年には１１万６千人と微減。
中国と心中を決意している韓国は、同期間に駐在員が３５万６千人から４０万５千人と大幅に増加させている。
（余談　：　現代自動車は中国で新規に３０万台の生産工場を２ヶ所建設する発表している。現代は格安車両を中国の田舎向けに販売して大成功している。しかし、この領域は少しずつ中国メーカーの性能も向上しており、デザインなど簡単に真似もすることから、遅くとも５年後には中国メーカーと熾烈な戦いに陥る。）

こうした投資減少は、鄧小平の記念工場でもあるパナ社工場破壊などの反日姿勢に加え、円安、労務費上昇、採算性低下によるもの。
2010年３月に１００円＝７．５元だった円／人民元レートは、15年３月には５．１元まで円安が進んでいる。
最近３年間に日本の最低賃金は１．８％の上昇にとどまっているが、同期間に中国の最低賃金は年平均１２．９％上昇している。賃金上昇、それに伴う諸物価やコスト上昇により中国の生産コストは大幅に上昇している。
それに加え、日本が法人税減税、事業再編支援などを通じ、海外工場の日本回帰を奨励していることも、日本企業の中国離れの一因として指摘されている。
　
だが、中国の製造業者も、国内のコスト高に根を上げ、先般ベトナムで中国工場が焼き討ちにあったように東南アジアへの工場進出を加速させている。
一方で、中国の製造業界では、賃金上昇が今後とも続くと予測し、生産の効率化をはかるため、大規模に産業ロボットの投入をはかっている（日本の製造機械メーカーや産業ロボット会社が恩恵を受けている）。
当然、品質も向上し、海外メーカーとの競争も激しくなる。残るは、売れれば途方もなく利益を貪ることができるアップルのようなブランド化だけになってくる。
まだ日本企業にとって両国の政治が起爆剤になっており、いくら１３億人の市場であっても今の日本から進んで投資できる環境ではない。