アイコン 大和ハ撤退に続き喜代村も再検討「千客万来」施設計画大ピンチ/豊洲新魚市場移転 

豊洲新魚市場への移転費用は高く、築地の水産仲卸でつくる東京魚市場卸協同組合は、百以上の業者が豊洲に移転せず、廃業する可能性があるとの調査結果を発表している。

豊洲新魚市場の目玉として、一般客が買い物できる「千客万来」施設を作る構想では、すしチェーン「すしざんまい」を展開する喜代村が、買物できる場外市場や首都圏最大級の温浴施設などを、水産仲卸売場棟の街区に開設する計画。
また、大和ハウス工業が、国内外の調理器具市場などを青果棟の街区に設置する計画だった。
しかし、東京都は2月、大和ハウスの辞退を発表し、3月までに予定されていた着工のメドも立っていない。来年11月の新市場との同時開設は困難になっている。

都によると、大和ハウス側が、車で訪れる利用客らの進入路に想定した都道補助315号線が、業務への支障を懸念する一部青果業者の反対で使えなくなったことによる。
大和ハウス側は、これに伴うテナント配置などの見直しで採算が見込めなくなるとして辞退を表明した。

 また、喜代村によると、同じ江東区内の都有地にある温浴施設「大江戸温泉物語」に関して、都側と運営会社が結んでいた来年3月までの定期借地権契約が延長されたことも新たに判明。「千客万来」施設の目玉だった温浴施設の利用客が分散するため、赤字になる懸念が出てきたという。「千客万来」施設には、市場関係者事務所や保育所も計画され、新市場との同時開設を望む声が強い。
喜代村の木村清社長は、東京新聞の取材に対し「不測の事態が続き、前に進めない。断念も視野に入れて早く結論を出さないと、市場関係者に迷惑をかけてしまう」と語っているという。

築地魚市場の後継として、都が来年11月強制して移転開場せる豊洲新市場で、賑わいを生み出す核施設として期待される商業・観光施設「千客万来」の整備計画が、こうして今大ピンチに陥っている。

東京の石原慎太郎都知事(当時)が、築地市場の豊洲移転を2001年に決定してから14年。かつてガス工場があった新市場用地で土壌汚染が判明、対策工事費に約760億円が投じられ、開場時期も大幅にずれ込んだ。
今になって、一般客の道路進入コースや温浴施設問題で、商業・観光施設「千客万来」構想も暗礁に乗り上げている。

新市場の開場時期が2016年11月に正式決定したのは昨年12月。20年五輪に向け、競技会場が集中する臨海部と都心部を結ぶ道路「環状2号」が、築地市場内を通る計画のため、五輪までに環2を完成させるには、来年11月の市場移転がタイムリミットだったとされる。

市場業者にとっては、年末繁忙期直前の移転で、「不慣れな新市場で対応できるのか」との不満がくすぶる。
また、土壌汚染対策の効果を確認する地下水モニタリングの結果が完全に判明する前に、工事は進んでいる。
さらに、移転費用が重くのしかかり、百以上の業者が豊洲に移転せず、廃業する可能性があるとの調査結果を発表している。

以上、
強引に進める案件には、いろいろ問題が浮上するのが世の慣わし。当移転案件でもしょっぱなから土壌汚染問題が浮上、今回の「千客万来」の問題もその延長線上にある。
開業後、5年でも経過すれば落ち着いたものとなっていようが、小企業の卸屋さんたちが100社も廃業すれば、昔ながらの築地の良さは完全に失われたものとなるだろう。
東京都は、大和ハウスと市場関係者との調整能力もなく、外資系となった温浴施設でも総合的な判断の考えも及ばなかったようだ。
 

[ 2015年4月 6日 ]
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