アイコン 武田薬品/アクトス薬害米訴訟2880億円和解へ 3月決算上場初の大赤字

武田薬品工業は29日、米国における2型糖尿病治療剤「アクトス」の製造物責任訴訟に関して、和解に向け合意したと発表した。武田は、15年3月期に27億ドル(約3,241億円)を引き当て計上するため、上場来初の最終赤字となる。

連結/百万円
売上高 
営業利益
経常利益
当期利益
15年3月期前回予想
1,725,000
170,000
160,000
65,000
15年3月期今回予想
1,775,000
-130,000
-145,000
-145,000
今回予想/前回
2.9%
 
 
 
14年3月期実績
1,691,685
139,274
158,851
106,658
15年予想/14年比
4.9%
 
 
 
 
今回の和解は、原告・クレーム提起者の95%が受け入れを選択すれば有効となり、その場合には23億7000万ドルを和解基金に支払う。また、97%以上が受け入れた場合には24億ドルを和解基金に支払うことになる。

<問題の薬品>
アクトス(薬品名:ピオグリタゾンPioglitazone)は、チアゾリジン(TZD)系の経口血糖降下薬である。 日本においては1999年9月22日に武田薬品工業が承認を取得している。2009年12月21日付けで再審査結果が通知され、効能・効果及び用法・用量に変更なく了解された。
重大な副作用として、添付文書に 心不全、浮腫、肝機能障害、黄疸、低血糖症状、横紋筋融解症、間質性肺炎、胃潰瘍が記載されている。

10年間の疫学研究の中間報告が武田薬品工業から示された。それはピオグリタゾンと膀胱癌の関係を示唆するものであった(長期間の使用に因る上昇傾向)。又、相次いで複数の疫学研究の結果が示されたが、膀胱癌リスクの上昇が有るとしたものと無いとしたものが有った。これによりFDAは2010年9月に安全性についてのレビューを指示した。
しかし、同疫学調査の最終結果では、膀胱癌リスクの上昇が認められないとされた。尚、リスク上昇の有無について相反する結果が存在する事については、「使用経験有り群と無し群を単純に比較すると、割付バイアスが生じ易い為」と説明されている。

<訴訟>
米国にて、2014年2月、ピオグリタゾンが、膀胱癌を誘発するリスクについて患者や医師に警告する事を怠ったとして、武田薬品工業及びイーライ・リリーが提訴された。
米連邦地裁は2014年9月、懲罰的損害賠償金として総額約90億ドル(約9,160億円)の支払いを命じたが、2014年10月27日、3,680万ドルに減額した。
武田薬品工業は、日米欧各国の規制当局に対して、市販後に課された10年間の疫学研究の結果を示し、膀胱癌発生リスクの統計学的有意な増加は見られなかったと報告した。また、米ネバダ州での同様の訴訟について、裁判所陪審は原告の膀胱癌はピオグリタゾンに拠るものではないとの評決を下していた。

以上の経過であるが、巨額の和解金を支払うということは、認めたも同然。
薬には常に薬害リスクがある。経営陣の責任問題は避けられないがそこは日本、いつものとおり何もなかったようにやり過ごされることだろう。

 

[ 2015年4月30日 ]
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