アイコン 神戸製鋼/アルジェリアで世界最大の直接還元鉄プラント受注 年250万トンMIDREX

神戸製鋼は23日、米国子会社である Midrex Technologies,Inc.(ミドレックス社)と、ライセンス供与先であるルクセンブルグのエンジニアリング会社Paul  Wurth S.A.(PW社)のコンソーシアムは、このほど、トルコのTosyali Holding(トスヤリ社)が、アルジェリアで建設中の Tosyali Algeria製鉄所向けに、年産能力250万トンのMIDREX(R)直接還元鉄プラントを受注したと発表した。

アルジェリア初の直接還元鉄プラントであり、MIDREX(R)プラントとしては、世界最大(従来は年産200万トン規模が最大)となる。今後、2017年の稼動開始を目指し、建設を進める。

Tosyali Algeria製鉄所は、トルコのトスヤリ社が、アルジェリアのオラン近郊で建設を進めている一貫製鉄所で、同国の経済発展に伴い、主に建設資材として需要が拡大している線材・棒鋼を生産する。
MIDREX(R)プロセスにより還元鉄を製造し、約半数は高温のまま電気炉へ供給するため熱エネルギーのロスが少なく、省エネ性と生産性に優れたプロセスとなっている。

PW社は、2014年2月に当社からMIDREX(R)法を活用した直接還元鉄プラントの設計、建設及びマーケティングのライセンス供与を受けている。
今回のプロジェクトではミドレックス社と共同で受注活動を行い、PW社を活用したスキームで初めての受注となった。今回は、両社コンソーシアムが設計及び主要機器供給を担当する。

2013年の世界還元鉄生産量は7,500万トンを超え過去最高を記録しているが、MIDREX(R)プロセスはその約60%を占めているリーディングプロセス。
同プロセスのこれまでの安定した生産実績と優れた技術、およびPW社のアルジェリアでのプロジェクト経験を高く評価され、今回の受注に繋がった。

1、 直接還元鉄(DRI)プラントとは、
高炉に依らない新世代型の製鉄法で、主として天然ガスを使用して鉄鉱石を還元するプラント。 高炉のように大規模ではなく、コークスも不要なので、従来から天然ガスを産出する発展途上国にてミニミルとして建設されてきた。 近年ではアメリカ等先進国においてもスクラップ代替の清浄鉄源製造プロセスとして需要が高まっている。
この様な状況に於いて、従来の高炉による鉄鋼の生産量の伸びは、全世界で僅かに年率数%の伸びであるのに対して、直接還元製鉄法による鉄鋼生産量の伸びは、1970年の約80万トン/年から2005年の約55百万トン/年と飛躍的な増加している。
当社はこの直接還元製鉄プロセスにおいて、世界の約6割のシェアを持つミドレックス社のミドレックスプロセスのライセンスを保有し、世界中で活動を行っている。また、近年ではミドレックス社と共同で独自の新プロセス、ファストメットプロセスを開発し還元鉄製造の新たな分野へと踏み出している。

2、 還元鉄とは
鉄鉱石を還元した鉄鋼原料。不純物の少ない清浄鉄源であり、高級スクラップや銑鉄の代替品として、電気炉で(近年は高炉や転炉でも)鉄源として使用される。

3、 MIDREX(R)プロセスとは
天然ガス(もしくは石炭由来の還元ガス)を使用して、還元鉄を製造する直接還元製鉄法のひとつ。
鉄源は、粉鉱石を加工したペレットを使用し、シャフト炉によって溶融・還元し、直接還元鉄を製造する。高炉法に比べ、製鉄工程でのCO2排出量を抑制できること、比較的安価な鉄鉱石を使用できることなどが特長で、世界で70基以上が稼動している。

4、Midrex Technologies,Inc.概要
 設立:1983年(買収)
 所在地:米国 ノースカロライナ州 シャーロット市
 資本金:11百万米ドル(当社100%出資)
 代表者:James D.McClaskey(ジェームス・マクラスキー)
 従業員:約230人(13年12月末)
以上。

[ 2015年6月24日 ]
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