アイコン TV局の下請けイジメの実態鮮明に/公取委  優越的地位濫用

スポンサード リンク
 

公取委は、優越的地位濫用業界として知られるTV局の実態を、番組を制作する下請け会社280社に対してアンケート調査を行い、その実態を赤裸々にした。 TV局側は、視聴率だけを評価される現状に、率を稼げる有名タレントたちに対して、いつもへいこらし過ぎて、その鬱憤晴らしに下請けをイジメする習性が付 いたかもしれないが、発注金額だけは下請けに対して全うに支払わなければ公取委は、今後TV局に大々的に調査に乗り出す可能性が高い。その前段階のアン ケート調査と思われる。

調査結果のまとめと評価=放送局の下請けイジメの実態
1 テレビ局等及びテレビ番組制作会社の概要
(1) 資本金の額
 テレビ局等の多くが資本金5000万円超(87.9%)の事業者である一方,テレビ番組制作会社の多くが資本金5000万円以下(91.7%)の事業者であり,回答のあったテレビ局等とテレビ番組制作会社の多くが下請法の適用対象となり得る事業者であった。

(2) 年間売上高  テレビ局等の多くが年間売上高10億円超(83.6%)の事業者である一方,テレビ番組制作会社の多くが年間売上高5億円以下(72.2%)の事業者であった。

(3) テレビ番組制作会社の取引先テレビ局等の数  取引先テレビ局等の数が3名以下のテレビ番組制作会社は42.1%に上り,また,取引先テレビ局等の数が1名のテレビ番組制作会社も15.9%に上っていた。

(4) 取引依存度  最も年間取引高の多い取引先テレビ局等に対する取引依存度が30%を超えるテレビ番組制作会社は45.4%に上り,また,同取引依存度が50%を超えるテレビ番組制作会社も27.8%に上っていた。
 このように,テレビ番組制作会社は,テレビ局等に比べて事業規模が小さく,特定の取引先テレビ局等との取引に依存している傾向がみられた。

2 テレビ局等とテレビ番組制作会社との取引の状況
(1) 取引形態
 テレビ番組制作会社の主要な取引先テレビ局等との主な取引形態については,「完パケ」が71.7%,「制作協力」が16.5%,「人材派遣」が7.7%,「一部完パケ」が4.2%であった。

(2) テレビ番組のジャンル別の割合  テレビ番組制作会社の主要な取引先テレビ局等との取引対象となったテレビ番組のジャンル別の割合は,「ニュース・報道・情報」が47.2%と最も多く,次いで「バラエティ」が24.3%であった。

(3) 取引条件の内容  発注内容,支払金額及び支払期日といった主要な取引条件については,多くのテレビ局等(95%超)がテレビ番組制作の委託を行うに当たり,あらかじめ定めていた。 著作権に関する取引条件については,多くのテレビ局等(71.9%)が「著作権の譲渡・許諾の範囲」についてあらかじめ定めていたものの,「著作権の譲渡対価」は33.5%,「二次利用の窓口業務に関する事項」は28.8%,「二次利用の収益配分に関する事項」は20.3%にとどまり,「著作権の譲渡・許諾の範囲」に比べてあらかじめ定めていた割合が低くなっていた。

(4) 支払制度  支払制度については,多くのテレビ局等(95.4%)が毎月末日締切,翌月末日支払等(締切日から支払日までが1か月以内)と定めていた。  また,代金の支払に関する締切基準については,多くのテレビ局等が,完パケ,一部完パケ及び制作協力については「納品日」(86.2%),人材派遣については「派遣日」(88.9%)と定めていたが,「放送日」と定めていたテレビ局等も一定数(完パケ,一部完パケ及び制作協力については27.9%,人材派遣については11.1%)見受けられた。

(5) 書面の交付状況
 取引条件等を記載した書面の交付状況については,多くのテレビ局等が書面を交付していた(84.1%)が,「交付していない」又は「交付しなかったことがある」とのテレビ局等も一定数見受けられた(15.9%)。

(6)   優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受けたテレビ番組制作会社の状況  「採算確保が困難な取引(買いたたき)」,「著作権の無償譲渡等」等の不利益を受け入れたテレビ番組制作会社の全てが,「要請を断った場合に,今後の取引に影響があると自社が判断したため」又は「テレビ局等から今後の取引への影響を示唆されたため」を理由として回答していた。このように,テレビ番組制作会社は,テレビ局等との取引の継続への影響などを考慮して,やむを得ず不利益を受け入れているものであり,こうしたテレビ局等の行為は優越的地位の濫用規制上問題となり得るものである。

 優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受けたテレビ番組制作会社の状況は表1のとおりであり,主要な取引先テレビ局等から,優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を1つ以上受けたと回答したテレビ番組制作会社数は43名(39.4%)であった。  行為の内容別の状況をみると,「採算確保が困難な取引(買いたたき)」について回答したテレビ番組制作会社が22名(20.2%)と最も多く,次いで「著作権の無償譲渡等」が14名(12.8%)となっていた。

 
 
優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受けたTV番組制作会社の状況
行為の内容
優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受けたテレビ番組制作会社数
テレビ番組制作会社の総数に占める割合
採算確保が困難な取引(買いたたき)
22
20.2%(22/109)
やり直し
13
11.9%(13/109)
発注内容の変更
7
6.4%( 7/109)
発注内容以外の作業等
9
8.3%( 9/109)
発注内容の取消し
1
0.9%( 1/109)
商品・サービスの購入・利用要請
8
7.3%( 8/109)
金銭の提供要請
1
0.9%( 1/109)
役務の提供要請
1
0.9%( 1/109)
代金の支払遅延
5
4.6%( 5/109)
代金の減額
8
7.3%( 8/109)
著作権の無償譲渡等
14
12.8%(14/109)
二次利用に伴う収益の不配分等
11
10.1%(11/109)
合計 (注12)
43
39.4%(43/109)
 

(注12)複数の行為の内容に係る優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を受けているテレビ番組制作会社が存在するところ,行為の内容別のテレビ番組制作会社数を合計すると延べ97名となるが,優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を1つ以上受けたテレビ番組制作会社数として重複を除いて合計すると43名となる。

 

(7) 優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を行ったテレビ局等の状況  前記(6)のテレビ番組制作会社43名に対して優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を行った取引先テレビ局等の延べ数は97名であり,当該テレビ局等の業態別の状況は表2のとおりである。優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を行った取引先テレビ局等の延べ数が最も多かった業態は,「地上系放送事業者」で86名であった。
 

 
表2 優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を行ったテレビ局等の状況
テレビ局等の業態
優越的地位の濫用規制上問題となり得る行為を行った取引先テレビ局等の延べ数
地上系放送事業者
86
衛星放送事業者
9
ケーブルテレビ事業者
2
合計
97
 
[ 2015年7月31日 ]
スポンサード リンク
 

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 
JCNET注目記事!
PR いま建設業界の求人が急増中、当サイトおすすめのワークポートが便利です。


PICK UP

↑トップへ