アイコン VWの焦り 日本勢の後塵に甘んじたアメリカ市場での巻き返しが世界一への道だった

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欧州とアメリカには、車に対する文化の違いがある。

FIは欧州や日本では人気が高いが、アメリカではインディカーが開催され、F1など見向きもされない。
F1は、マシン規格が厳しく制限されている。一般車両の性能アップのための技術開発としても機能している。また、ホンダやマツダがF1に過去マシンを投入し参戦してその名を轟かせたが、その宣伝効果も計り知れないものだった。
ところが、米インディカーは、カテゴリーはあるもののモンスターマシンの競演で、速ければ良いというもの。
白人さえ各民族の移民たち、黒人、ヒスパニック、アジア系などの集合体としてアメリカが存在、その上での大陸性の性格の違いもある。

<欧州勢、日本勢に敗退>

アメリカで、ドイツ車が売れないのは、やはり日本車にある。日本車がアメリカに進出し、当時米車とともにドイツ車など欧州車を侵食していった。
欧州勢・ドイツ車と何が原因で異なっていたのか、
それは日本のもの造りにある。価格が安く、品質が高く、燃費も良く、故障知らず、メンテナンスもメーカー自ら店舗を各地に設置して行い、修理費用も安い。(当時の為替360円固定~240円程度)
また、日本の技術や性能も見直された。強力なスポーツ車(トヨタ・日産のGT車)は、アメ車やポルシェなどより、価格は半額以下、パワーは変わらず、瞬く間にアメリカを侵食していった。
(現在でも、日産GT-R、トヨタRCF、ホンダNSXなど高く評価されている)

一方、ドイツ車は、メカニックに造り上げられているが、価格も高く、その上故障もあり、部品代も高く、修理も一般の修理工場で行い費用も高い、日本車の性能とアフターサービスに欧州車全体がアメリカから衰退していった。(純正部品を本国から取り寄せるシステムで修理期間も長かった)

 当然、欧州人がアメリカに対し白人の母国としてプライドを持ったままだったこともあろう。意外と欧州各国は閉鎖的なところを強く持っており頑固、開放的なアメリカ文化との相違は大きい。
その結果か、今では、欧州車は韓国車よりアメリカで売れていない。

<VW M&A加速巨大化>
VWは、欧州の自動車会社の買収を続け巨大化、2007年、2018年を目標に世界一になると計画した。
そのためには、当時、後塵に甘んじているアメリカ市場での復活が欠かせなかった。価格を日本勢と同等にし、販売促進に努めた。その一環としてTDIエンジンのゴルフなどを戦略車として投入、パワフルなTDIのディーゼル車を登場させていたことから、当然投入した。

ところが、NOxについては環境基準が一番煩いアメリカ、安価に提供しなければ、日本勢、特にターゲットにしているトヨタには負ける。また、環境車のトヨタのHVに対抗させるべく、HV車の排ガス性能、低燃費性能、動力性能を凌駕する必要があった。
VWは、HVより価格を抑え、動力性能、低燃費を実現するために、今回問題となった違法プログラムを使用、HVをすべての面で見事超えさせた。

その仕組みは米国での車両認定検査において、室内のローラー上で行われる排ガス検査時だけNOx除去の触媒機器を機能させる違法プログラム(ハンドル操作を検地)を導入してクリアさせ、通常走行時には触媒機器が機能させず、低燃費と能力性能を大きく見せていた。

米国では、2009年から2015年8月に発見されるまで違法プログラムは搭載されたまま販売促進したものの、VWの実績はそれほど上昇もしなかった。

 2007年当時はリーマンショック前、アメリカではバブル時代、日本車が飛ぶように売れていたがVW車は売れていなかった。

だが、2008年秋になるとリーマン証券の破綻からアメリカバブル崩壊、米市場が大幅縮小した。
一方、中国では、リーマンショックの世界経済の停滞に対して、内需拡大の大型公共投資を行い、その影響を最小限とした。その結果、自動車市場が急拡大、VWはアメリカを見切り、中国に全勢力を投下した。
そうしたことから、下記グラフで示すとおり、中国での大幅な販売増を実現し続け、2014年には、2018年とした世界一の座を2015年にも超過できる一歩手前までトヨタを追い詰めた。
 
ところが、奢れる者久しからずで、2015年になると中国経済が急減速、2014年に368万台も売った自動車市場も縮小(中国自動車市場の8月までの累計前年比0)、当然VWは中国市場は2015年も市場拡大、もしくは自社の車両販売の勢いは留まらないと踏んでいた。
そのため、中国経済が傾き始めた昨秋になっても2工場の新設を発表するほどであった。
結果、中国における独車系(ほとんどがVW-G)の8月までの累計販売台数が▲5.4%減の254万台に落ち込んでしまった。
こうした事態にVWは、またアメリカにシフトすべく、今春、アメリカに新工場を設けると発表した。
こうしてみると、VWは、ただただトヨタ越えの世界一だけが目標のようで、販売増がはかれるところはどこでも良くころころ戦略を変えている。

VWは中国に注力し過ぎたあまり、人材不足もあったのか、アメリカ市場はシェールオイル採掘によるエネルギー革命により、リーマンショックからいち早く抜け出し、自動車市場は活気を帯びているにもかかわらず、VWは逆に売り上げ台数を落とす始末だった。(グループ高級車ブランドのアウディは大きく伸ばしている)

VWは2015年に入り中国自動車市場の停滞の現実を受け、再度アメリカ市場に勢力をそそぐべく見直した途端、今9月18日、アメリカでそれまでの不正・違法行為が発表され、ディーゼル自動車を販売している世界最大のメーカーとして、同社の命運が尽きかける大問題に発展している。

数値はVW発表数値。
 
VW グラフ
 
アメリカでのVWグループ販売台数 /千台
 
VW-G
VW
アウディ
ポルシェ
2010
383
21.5%
256
20.3%
101
22.9%
25
28.6%
2011
470
22.7%
324,
26.3%
117
15.7%
29
14.6%
2012
612,
30.0%
438
35.1%
139
18.5%
35
20.7%
2013
608
-0.7%
407
-6.9%
158
13.5%
42
20.8%
2014
595
-2.0%
366
-10.0%
182
15.2%
47
11.1%
2015
403
2.6%
238
-2.8%
130
12.1%
34
9.8%
2015年は8月累計値。数値はマークラインズ発表値採用。
 
アメリカでの両社の販売台数/台
 
VW-G
TOYOTA-G
2010
383,779
21.5%
1,763,595
-0.4%
2011
470,986
22.7%
1,644,661
-6.7%
2012
612,486
30.0%
2,082,504
26.6%
2013
608,088
-0.7%
2,236,042
7.4%
2014
595,988
-2.0%
2,373,771
6.2%
2015年(8月累計)
403,013
2.6%
1,673,002
2.8%
 
[ 2015年9月29日 ]
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