アイコン 倒産危機VW  不正1100万台 最低10兆円超必要か 「EA189・TDI」エンジン

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ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は22日、米当局に指摘されたディーゼル車の排ガス不正操作について、同様の問題がある車が世界で1100万台規模に達する可能性があると発表した。
 独メディアは、ウィンターコルン社長が25日に責任を取って辞任すると報じており、問題はVWの経営の根幹を揺るがす事態に発展した。

 VWは「技術的な措置で問題を解決する」と表明、世界的な大規模リコール(回収・無償修理)となる。今後発生する費用のため、65億ユーロ(8700億円)の引当金を計上する。

  VWによると、不正操作は、「EA189・TDI」というディーゼルエンジン(現在はEA288型)を搭載した車種1100万台。
これらの車種では、エンジン管理用ソフトウエアの制御により、当局などの検査時に、実際の走行時よりも排ガス中の環境汚染物質が大幅に抑えられるようになっている。対象のほとんどは欧州になるとみられる。

米当局は先に、不正操作による排ガス規制逃れを指摘し、約48万2千台台のリコールを命令。米メディアなどによると、VWに科される制裁金は最大180億ドル(約2兆1000億円)に上る可能性があるという。

今回の引当金は、VWの2014年の純利益の6割に相当する。事態によっては、対策費は膨大に膨らむ恐れが高い。VWは15年の業績予想を見直すとしており、経営への大打撃は避けられない情勢で、米国では48万2千台に対してMAX2兆1千億円、残り約1050万台に対する制裁金やリコール費用など計り知れず、株価の暴落となった。
 
<<費用試算>>
今回の問題は、タカタのエアバッグ問題とまったく異なり、意識して違法なソフトを用いて検査に合格しており、悪質極まりない。

1、<各国の制裁金>
米国48万2千台に対してMAX3万7千ドル(12万円)=MAX180億ドル(2兆1千億円)
仮定
1100万台に対して制裁金3万ドル(360万円)の場合=39兆円(倒産の可能性大)
1100万台に対して制裁金2万ドル(240万円)の場合=26兆円(倒産の可能性大)
1100万台に対して制裁金1万ドル(120万円)の場合=13.2兆円(倒産濃厚)

1100万台に対して制裁金5千ドル(60万円)の場合=6.6兆円(倒産の危機)
1100万台に対して制裁金1千ドル(12万円)の場合=1.3兆円

2、<リコール費用>
プログラム基準値内に変更(動力性能落ちる)するだけなら、大した費用はかからない。
触媒交換の場合、触媒価格は約20万円、安くさせて14万円=1,100万台=1.5兆円
(工賃別途)

3、<購入者からの民事請求訴訟>
1100万台に対して請求額1千ドルの場合=1.3兆円

4、<各国のエコカー減税の返金負担>
 当然、各国で行われているエコカー減税は排ガス規制のクリアが前提であり、VWはエコカー減税を採用した国々に対して、減税分の返却が求められる。その期間は2009年~2015年の対象車両となる。制裁金と減税措置分は内容と法的根拠が異なり、別途請求されることになる。

以上、1100万台に対して制裁金が1台当たり5千ドルとした場合=6.6兆円とリコール雇用1.5兆円(1100万台×14万円)および購入者からの民事請求訴訟1.3兆円(1100万台×1千ドル)
合計9.4兆円+減税や補助金ほか=MAX10兆円超

ただし、中国は民族系自動車会社の排ガス基準は、かなり低いものと見られ、VWの排ガス不正を同国が制裁するかは不明(習政権は大気汚染対策にPHVやEVに補助金を出すなど排ガスには意外と煩い)、欧州では、欧州連合でも決定している。ただ、米国での検査では米基準の10~40倍とされ、厳しい欧州連合の基準もそうだが、欧州各国の甘い暗黙の基準においても超過しているものと見られる。主販売先はVW本国のドイツやフランス・北欧であり、1100万台の6割方は欧州での販売と見られる。

<政治の道具へ>
政治的には、米政権がウクライナ問題における和平会議で蚊帳の外にされたドイツへの恨みや最近中国寄り政策が目立つメルケル首相に対する「貸し」を作る可能性がある。

米国はVWの制裁金を大きく減額し、それを引き継ぐEUの制裁金も同等か少なく課す可能性が高い。
米国でVWに対し厳格に制裁金を命令すれば、EUもそれなりに制裁金を命令せざるを得なく、そのほか追徴される金額もあり、制裁金含む必要資金だけで、VWが7兆円しかなくなった時価総額(前期株主資本12兆円)を超過してしまう恐れが高く、倒産するしかなくなる。

そうなれば、ドイツ経済への影響は大きく、ユーロ圏経済への打撃も大き過ぎるものとなる。
今回の問題はVWが意図的になしたものであり、それも米政府や世界中の環境検査機関を長年騙し続けたものであり悪質であるが、結果、意図して問題を隠蔽し続けたGMのスイッチ問題との類似性もある。

<GMスイッチ問題とGMのツキ>
GMのスイッチ問題は、開発段階から問題があると指摘されながら、同じ方式をその後の新車にも適用し続け、13人(以前新聞公表数値)とも100人超(訴訟は残る)ともされる死者が出たにもかかわらず、9億ドル(約1080億円)の制裁金で終わらせている。アメリカを代表するGMならではのことである。

GMがツいているのは2点あり、
タカタ製のエアバッグ問題が急浮上、議会がGMを支援するかのようにタカタと対策の表明が遅かったホンダが袋たたきにあった。また、中国市場での同社の販売台数は354万台(2014年)、大きく伸び続けたことにある。
(世界販売台数の公式台数より実際は約120万台多い・・・、上海汽車と柳州五菱汽車との3社中国合弁事業は過半数の株を有しておらず、カウントされていない、実質世界ナンバー1はGM)。
GMは、米国でリコール対象者に対して、社員価格での新車値引き販売を実行、その間、中国での販売増で利益も出し経過させた。

VWは、ドイツ最大の自動車メーカー、違法車両を意図して走らせた極悪会社ながら、ヒトラー時代からドイツを代表する自動車メーカーであり、米独両国は政治的に、「お互いの幸せのため」に米での最大180億ドルともされる制裁金を思いっきり下げることが予想される。

今回の問題は、国家としては、制定した環境基準さえ守ってくれれば良いもの。しかし、リコールでプログラム変更だけで対応した場合、客が動力性能を損なうことから買い戻しを要求駆る可能性が高い。また、動力性能を維持し、基準をクリアするためには適合させた触媒機器に入れ替える必要があり、これには莫大な費用がかかる。

一方、中国習独裁政権はメルケル首相と親しく、ドイツに「貸し」を作るべく、制裁を行わない可能性が高い。中国は鶴の一声、文句が言えば政治の政策を批判したとして逮捕される国、個人の請求も認めさせない可能性すらある。VWは中国で、現代自動車の2ヶ所の大規模工場(年産30万台×2)には適わないものの、2ヶ所に工場建設を表明もしている。

<VW問題の早期解決のためまた生贄が必要>また日本企業がターゲットにされる可能性
VWの今回の問題を長引かせないため、また生贄が準備される可能性がある(GMの生贄はタタカタ製エアバッグのホンダ)。当然、米ビッグ3はバイアメリカンで対象外、また日本になることだろう。トヨタがタタカレ、ホンダがタタカレ、残るは日産だが・・・。

VW

[ 2015年9月24日 ]
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