VWの隠蔽体質とドイツ政府との癒着
元々、ドイツ政府と深い関わりがあるVW、2007年にEU欧州委員会は排ガス不正プログラムの搭載を禁止している。しかし、当時も検討された走行排ガス試験は、ドイツ政府の強い反対にあい、先延ばしになり、その後も検討された。
2013年には、EU欧州委員会の研究機関がまとめた報告書で、一部ディーゼル車について調査した結果、路上走行時の窒素酸化物(NOx)の排出量がEUの基準値を大きく上回ったことを指摘。さらに、その報告書では、車両に搭載された装置には、試験を感知して排ガス量を減らす機能があると指摘していた。そのため、ディーゼル車については屋内試験に加え、路上走行による試験も導入すべきだとしていた。
こうして、走行試験の導入が、その都度ドイツ政府により検討課題とされ、こんにちに至っても実行されていない(今回の問題を受け、EUは2017年から走行試験を行うとしている)。
ドイツ自動車工業会の会長は元運輸大臣、元首相の報道官がVWのロビイストの責任者、ニーダーザクセン州政府の知事が役員など、政治との関係が深い。また、ニーダーザクセン州が議決権のあるVW株を持ち続けることも、ドイツの法律で許可されているほどだ。
VW-Gは1100万台にのぼる排ガス不正プログラム搭載問題を受け、グループのポルシェのCEOだったマティアス・ミュラー氏をVW-GのCEOに就任させた。
ただ、その人事は、自ら任命していたウインターコルンCEOとの確執が表面化、今年4月監査役会(取締役会相当)会長を、辞めさせられたフェルディナント・ピエヒ元会長(20年間VW-Gに君臨)らポルシェ家一族の強引な力が作用したと見られる。
しかし、元々ミュラー氏をグループからCEOに就任させるのはいかがなものとの批判があった。そうした中で、今回、新たに、ポルシェ車含む3リッターカーへの問題波及、総責任者としてのミュラー氏の問題にもなりかねないものとなった。
VW は、9月18日に米EPAから不正プログラム搭載が発表され、6週間経った11月2日、また新たなる疑惑を米EPAから指摘された(VWは3日現在否定し ている)。当然、ドイツ政府も含めVWのこれまでの報告内容、その透明性、誠実性=不隠蔽性を問われるものとなっている。
政治と企業が組んず解れず状態の関係により、ドイツ政府も含め隠蔽体質ゆえに当事者たちでは収拾がつけられない状態に陥っているものと見られる。
スクロール→
Volkswagen Group
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発行済株式(普通株)
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2億9508万株
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資本金
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1191百万ユーロ
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普通株主
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株主
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持株比率
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Porsche Automobile Holding SE
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32.2%
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海外投資機関
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24.9%
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Qatar Holding LLC
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16.4%
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個人投資家等
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9.3%
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ドイツ内投資機関
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3.0%
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Porsche GmbH, Salzburg
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1.5%
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議決権付株式所有割合
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Porsche Automobile Holding SE
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50.7%
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ニーダーザクセン州
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20.0%
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Qatar Holding LLC
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17.0%
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Porsche GmbH, Salzburg
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2.3%
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