アイコン 米FRB 利上げ決定 新興国への影響懸念

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米FRB(連邦準備制度理事会)は16日、リーマンショック後、7年間続けてきたゼロ金利政策を、経済回復がなされたとして解除し、利上げすることを決定した。
FRBは、15・16日の2日間、ワシントンで金融政策を決める公開市場委員会を開き、終了後、イエレン議長が声明を発表した。
声明で、アメリカの景気について「雇用が著しく改善し、物価上昇率も中期的に2%の目標に向かって上昇していくと確信できた」などと指摘し、ゼロ金利政策を解除し、利上げを始めることを全会一致で決めた。
これによって、現在ゼロから0.25%の幅の極めて低い水準に抑えてきた政策金利は、17日から0.25から0.5%の幅に引き上げられる。
FRBが利上げを行うのは、2006年6月以来9年半ぶり。

政策金利は、アメリカの金融機関どうしがお金を貸し借りする際の金利で住宅ローンや企業への融資などあらゆる金利に影響するため今後、さまざまな金利が緩やかに上昇していくと見られる。

FRBは、2008年のいわゆるリーマンショックのあと7年間にわたって、金利を事実上ゼロに抑え、景気を下支えしてきたが、今回、危機への対応は終了し、金融政策をいわば通常の状態に戻す段階に来たと判断した。
アメリカは、これで日本やヨーロッパに先んじて、異例の政策を転換することになった。
ただ、FRBは、声明で「このあとの景気の改善には、極めてゆっくりとした利上げが必要になっている」などと指摘し、景気の回復の勢いを損なうことがないよう、当面、金利は低めに抑え、利上げは慎重に、ゆっくり進めることを強調した。

これに関連してFRBが公表した、今後の金利の見通しでは、来年末まで、8回ある会合のうち、4回程度で利上げを行って、1.25から1.5%程度の幅まで、利上げを進めることが会合参加者の中心的な見方になっていて、過去に行った利上げに比べるとゆっくり進める考えが示された。

今回の利上げ決定
FRBが7年間続けたゼロ金利政策の解除を決めたのは、景気が、順調に回復を続けていくと先行きに自信を深めたことによる。
特にFRBが重視する雇用情勢の改善が鮮明。一時10%に跳ね上がった失業率は、11月までに5%ちょうどに下がり、FRBの目標とする水準にまですでに改善した。また、リーマンショック以降の不況でアメリカでは870万人の職が失われたが、2010年2月を底に増加に転じ11月までに1300万人以上職が増え、失われた分を上回る雇用が産み出されている。
また、賃金の上昇も、1年前にくらべ2%余り伸び、増加基調を続けている。伸び率は、力強いとまではいえないものの、建設業や技能を持つ専門職の分野で人材確保のために賃金を引き上げる動きも広がり始めている。

個人消費も回復している。特に好調なのが自動車販売で2009年に1040万台まで落ち込んだが、年間の新車の販売台数は今年は14年ぶりに1700万台に達する見込みとなっている。

ニューヨーク株式市場のダウ平均株価は、2009年3月に6547ドルまで値下がりしたが、FRBの金融緩和で大量のお金が流れ込み、今年5月には、1万8312ドルの過去最高値をつけた。最近も1万7000ドル台で取り引きされている。
こうした指標の改善を踏まえ、FRBは、7年間、危機対応として続けてきたゼロ金利政策を解除する条件が整ったと判断した。

一方、FRBが、雇用と共に重視する物価は2%の上昇率が目標になっているが、原油価格の値下がりや最近のドル高で輸入品の価格が下がり、足元の上昇率は0.2%に低迷している。
FRBは物価も、いずれ目標に向かって上昇していくと見ているが、達成には時間がかかっている。

<世界への影響>
FRBの7年間に及ぶ異例の政策で大量のドルが世界の金融市場に行き渡り、各国での投資や企業の借り入れなどにも活用された。
それだけにこれまでアメリカから世界に向かっていたドル資金が、FRBの利上げにより逆流をはじめることで、さまざまな影響が懸念されてきた。
特に、巨額の経常赤字を抱えリスクが高まっている新興国で、資金の流出に拍車がかかり通貨安や、株式市場が混乱するおそれも指摘されている。

外国為替市場では、金利が上がるアメリカのドルが買われドルは、すでに12年半ぶりの水準に高騰している。
ヨーロッパや日本で金融緩和が長期化するなか、アメリカだけが利上げに向かい金融政策の方向性がばらばらになることで、ドル高がさらに加速する可能性がある。

新興国の企業には、ドルで借金を膨らませてきたところも多く、ドル建ての債務の総額は約4兆ドル(約488兆円)に達している。
ドル高と金利の上昇で借金の返済負担が重くなって行き詰まる恐れも指摘され、前回会議での利上げが見送られたほど懸念されている。
IMF(国際通貨基金)や世界銀行などの国際機関は、中国経済の減速や資源価格の下落で新興国を取り巻く状況が、ただでさえ不透明感になっているところに利上げが重なれば、深刻な打撃になりかねないと慎重な対応を要請していた。
一方、急速なドル高は、アメリカにとってもマイナスの影響を及ぼす。
アメリカの製造業では、ドル高で輸出が落ち込んで業績が悪化し、雇用の削減などのリストラを迫られる企業も出ている。
アメリカ経済が減速するようなことになれば、今後の利上げそのものを見直さざるを得なくなる事態も考えられ、FRBもドル高をリスクの1つとして影響を注視している。
以上、報道等参照


 

[ 2015年12月17日 ]
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