アイコン 2015年世界の造船発注量▲24%減、発注額▲38%減

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中国はじめ世界経済の低迷により、荷動きが悪くなっており、船賃も低下、海運会社も新たに船を建造するのは限られている。

農産物や資源を運ぶバラ積み船、製品を運ぶコンテナ船、原油を運ぶタンカー、いずれも経済低迷により荷動きが鈍化、原油は極端な安値になるほど世界的な供給過剰状態、石炭や鉄鉱石ともども動きが緩慢となっている。

中 国では、これまで拡大し続けてきた生産能力(2013年k中国の生産量8億円、世界生産量の45%)により鉄鋼生産が1~1.5億トン程度過剰生産されて いる。これに中国政府が構造改革のメスを本格的に入れるという。そうなれば、さらにパラ積船のニーズは減少する可能性もある。

 

韓国輸出入銀行海外経済研究所が発表した総合造船会社の経営動向によると、昨年の全世界の船舶の新規発注量は前年比▲24.1%減の3,377万CGT(標準貨物船換算トン数)、新規発注額は同比▲38.9%減の690億3000万ドルと大幅に減少した。

 特にバルク船(ばら積み貨物船)、中型タンカー、中型コンテナ船という主要3船種の発注量は隻数ベースで45.5%減少した。

昨年第4四半期(10~12月)には主要3船種の中型船の建造価格がいずれも下落した。

以上、

造船は発注量が激減し、中国・韓国・日本の三つ巴の受注戦となっている。そうした中、韓国勢は過去の海洋プラントの安値受注により、完成を見た昨年は巨額赤字を露呈、リストラをはかる一方、金融機関のお目付けもあり、選別受注を余儀なくされている。

中国勢は、過剰生産で下落し続ける鋼板類もあり、向かうところ敵なしであるが、安値受注を常としており、受注残を持っている業者とそうでない業者に大きく分かれてきている。そのため、受注残を持っていない造船業者は、これまでに拡大し続けたドッグの空きも見られ、発注の大幅減少の影響を大きく受けている。

発注量がここまで減少すれば、中国が、韓国が、日本がという個別問題ではなく、原油・資源高や景気回復を待つしかない。

 

造船業の概況
http://www.mlit.go.jp/common/

 

<粗鋼生産国別世界ランキング>

粗鋼生産には、原料の鉄鉱石とコークス炉の石炭が必要となる。鉄鉱石の資源国から生産国へこうした資源がバラ積み船で運ばれている。

中国はバブル時代の内需拡大により、粗鋼生産量が急激に増加してきた。

(中国の2007年の世界生産シェアは36%だが、2013年には48%まで高まっている。この間、世界の生産量は19%しか増加していない。)

その中国もバブルが崩壊し、需要が大幅に減少、1.5億トン程度が過剰生産され続け、その鉄鋼製品が世界に安価に輸出されている。・・・現地の鉄鋼会社を震撼させている。

こうした鉄鋼・粗鋼生産の拡大は、ろくに触媒装置も付けず生産され、大気汚染の元凶ともなっている。

中国の造船業界はより安い鋼板で生産することができる。

 
粗鋼生産国別世界ランキング
国・地域
2013
2012
2007
 
 
生産量
シェア
前年比
生産量
生産量
世界
1,607.2
100%
3.5%
1,552.9
1,347.0
1
中国
779.0
48.5%
7.5%
724.7
489.7
欧州連合
165.6
10.3%
-1.8%
168.6
210.2
2
日本
110.6
6.9%
3.1%
107.2
120.2
3
アメリカ
87.0
5.4%
-2.0%
88.7
98.1
4
インド
81.2
5.1%
5.1%
77.3
53.5
5
ロシア
69.4
4.3%
-1.5%
70.4
72.4
6
韓国
66.0
4.1%
-4.4%
69.1
51.5
7
(ドイツ)
42.6
2.7%
0.0%
42.7
48.6
8
トルコ
34.7
2.2%
-3.4%
35.9
25.8
9
ブラジル
34.2
2.1%
-1.0%
34.5
33.8
10
ウクライナ
32.8
2.0%
-0.5%
33.0
42.8
11
(イタリア)
24.1
1.5%
-11.7%
27.3
31.6
12
台湾
22.3
1.4%
8.0%
20.7
20.9
13
メキシコ
18.4
1.1%
1.8%
18.1
17.6
14
(フランス)
15.7
1.0%
0.5%
15.6
19.2
15
イラン
15.4
1.0%
6.6%
14.5
10.1
16
(スペイン)
13.7
0.9%
0.7%
13.6
19.0
17
カナダ
12.5
0.8%
-7.8%
13.5
15.6
18
(イギリス)
11.9
0.7%
23.8%
9.6
14.3
 
その他
78.1
4.9%
 
76.7
84.8
 
 
1,529.1
 
 
1,476.2
1,262.2
 

[ 2016年1月28日 ]
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