アイコン 【円高を見る】 マイナス金利導入から円暴騰の10日間あまりの世界の動き BMIで見る

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1月27日のマイナス金利導入(118⇒121円まで急上昇、3日目に下落へ)、黒田総裁にとって不運だったのは、マイナス金利導入発表後、中国景気の減速懸念や原油安に加え、欧米で対ドル円の新たな下押し材料が出現したこと。
マイナス金利導入で、円債利回りのボラティリティー(価格変動)が大きく拡大したこともあって市場のリスク回避姿勢が強まり、ドル売り・円買いの勢いが増したこと。

原油価格は、中国はじめ世界経済の低迷による需要減、イラン原油輸出解禁(1月17日)により、予想される供給増に下がり続けている。再びWTI先物価格は30ドル台から3日間で26ドル台(2月11日)まで急落している。

2月1日、中国の国家統計局が1日に発表した1月の製造業PMIは49.4で、前月から▲0.3ポイント悪化して3年5ヶ月ぶりの低い水準となった。

2月3日発表の米経済指標もドル売りの動きを後押しした。1月のISM非製造業総合指数は53.5と市場予想を下回り、14年2月以来の低水準。
2月3日、米国でのドル円下押し材料は、米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの発言と米経済指標。ニューヨーク連銀のダドリー総裁は2月3日、「金融情勢は、昨年12月のFOMC会合時よりかなり逼迫している」と指摘。最近の金融市場の混乱が経済見通しの変更を迫る可能性があるとの考えを示すとともに、「世界経済が悪化し、さらにドル高が進めば米国に重大な影響を及ぼしかねない」と述べ、ドル売りの動きを強めた。

2月5日に発表された1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数が15.1万人増と市場予想19万人を大きく下振れした。
ただ、失業率は4.9%と5%を割り込み、平均時給は前年比2.5%増と、ともに市場予想を上回る改善となり、米労働市場の改善は続いているとの見方は維持されたが、1月の米労働市場情勢指数は0.4ポイントの上昇と、市場予想を大きく下回り、14年4月以来の低い伸びとなった。
(失業率低下、賃金増により近い将来金利上げの可能性は維持された)
(非農業部門雇用者数が期待はずれだったのは、1月上旬の中部豪雨河川氾濫、中旬の加州豪雨・下旬の東部豪雪の影響があった可能性が加味されていない、2月の動向を見る必要がある)

2月7日、北朝鮮が大陸間ミサイルのホテチンノドン改良型ロケットで人工衛星を打ち上げ、一気に緊張が世界へ駆け巡った。その後、世界的な株安による逃避資産として、朝鮮半島のこうした緊張が安全資産としての円の需要を高め円高を一気に高めるものとなった。

2月9日、この間、欧州ではドイツ民間最大手銀行のドイツ銀行の不安説が台頭、同銀行の株価は年末の24.152€から2月9日には15.380€まで▲36.8%も下げた。リーマンショック後の公共投資終了後から続くユーロ圏経済低迷、財政危機国の続出の処理に追われ、今度は欧州金融機関の不安説を象徴するものとなった。
ドイツ銀行信用不安、問題となったのは、欧州金融当局が認可したCoCo債(偶発転換社債)、投資家に売却済みは1020億ドル(約11兆3700億円)相当に及ぶ。CoCo債は、銀行が苦境に立った際に利払いを停止してもデフォルト(債務不履行)とならず、株式への転換や元本削減もできる一種のサブプライムローンだった。ドイツ銀行が発行したCoCo債は46億ユーロ(約5800億円)相当、ドイツ銀行不安から利回りが急上昇、同行の株価も急落し、ほかの金融機関へ飛び火する動きとなった。

2010日、イエレンFRB議長は、下院金融委員会での質疑応答でFOMCが近く利下げを行う必要に直面するとは想定していないとしながらも、(金融)市場では景気後退リスクへの懸念が高まっているようだと指摘。世界金融市場の動向を非常に注意深く見守っているとも述べ、3月FOMCでの追加利上げ観測が大きく後退。円買い・ドル売りに拍車をかけた。

<輸出高が軒並み減少>世界市場縮小?
 輸出額が各国で軒並み減少している。別の機会に記載。
 米経済のピークアウト説。・・・・

<「実質実効為替相場」(REER)>
「実質実効為替相場」(REER)とは、実効為替レートは、特定の2通貨間の為替レートをみているだけでは捉えられない、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標。

REERや購買力平価(PPP)のような物価尺度は
物価尺度に照らし考えると、ドル高ないし円安に過剰感が生じ始めていることは否めず、その両者の通貨ペアであるドル円相場の続伸を予想するのはかなり勇気がいるように思えてくる。少なくとも、変動為替相場制をしく以上、REERが一方向に振れたまま調整しないということは想定できない。調整が2016年に起きるかどうかは議論があるにせよ、「反転のタイミング」は検討して然るべき時期に差し掛かっていると言えよう。

「実質実効為替相場(REER)」メインシナリオで想定する以上に円高ドル安になるリスク(メインシナリオから見ればダウンサイドリスク)としては、米経済の好循環が遂に終焉を迎え、金融政策が正常化どころか追加緩和(例えばQE4など)に向かうような展開が考えられる。
この場合、日本におけるいかなる政策運営にも拘わらず、円高ドル安の流れが作られてしまう。繰り返し述べたように、REERで見れば行き過ぎた円安となっている疑いは根強いものがあり、本格的な調整が訪れた場合の震度はかなり大きくなる可能性があり、その時が訪れた。


米景気の拡大局面が歴史的に見ても相当な長期間に及んでいることなども踏まえれば、そろそろ雇用回復が成熟化してくる可能性もある。
そうした状況の中、実体経済への負担を踏まえ、2016年以降の米通貨政策におけるドル高への懸念は強まることはあっても弱まることはない。
一方、同様に日本銀行公表のREERから円相場を評価すると1972年並みの水準まで円安が進んでいる。1ドル=300円台の時代と同程度のREERであることが現状において適切かどうかという議論は脇に置くが、少なくともREERが長期平均から乖離し続けることはないとの前提は理論的には尊重される。
以上、ロイター参照

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日本の15Q3では76.5となっている、ドルは同116.5となっており、そのギャップを埋める動きに為替は動く。
http://www.bis.org/statistics/eer/tables_i.pdf

 

 

2016年 ビッグマック指数=BMI
2016年1月対ドル円 118.65円の時点(1月末のLow値)
ビッグマック指数は、購買力平価説によって為替相場を推測するための指標
国名
価格
価格
価格
BMI
地域
(円)
(USドル)
(各国通貨)
(%)
1
  スイス
764
6.44
6.5
30.70
欧州
(同国フラン)
2
  スウェーデン
621
5.23
45
6.11
欧州
(同国クローナ)
3
  ノルウェー
619
5.21
46.8
5.77
欧州
(同国クローネ)
4
  アメリカ
585
4.93
4.93
0
北米
(USドル)
5
  フィンランド
523
4.41
4.1
-10.60
欧州
(ユーロ)
5
  フランス
523
4.41
4.1
-10.60
欧州
(ユーロ)
7
  デンマーク
513
4.32
30
-12.32
欧州
(クローネ)
8
  イタリア
510
4.30
4
-12.78
欧州
(ユーロ)
9
  イスラエル
509
4.29
16.9
-13.02
中東
(新シェケル)
10
  アイルランド
504
4.25
3.95
-13.87
欧州
(ユーロ)
11
  ベルギー
504
4.25
3.95
-13.87
欧州
(ユーロ)
12
  イギリス
501
4.22
2.89
-14.36
欧州
(ポンド)
13
  カナダ
492
4.14
5.84
-15.94
北米
(加ドル)
14
  コスタリカ
477
4.02
2,150.00
-18.52
中南米
(コロン)
15
ニュージーランド
464
3.91
5.9
-20.64
オセアニア
(同国ドル)
16
  ドイツ
458
3.86
3.59
-21.72
欧州
(ユーロ)
17
  オーストリア
446
3.76
3.5
-23.68
欧州
(ユーロ)
18
  スペイン
446
3.76
3.5
-23.68
欧州
(ユーロ)
19
  オーストラリア
444
3.74
5.3
-24.06
オセアニア
(豪ドル)
20
  ウルグアイ
444
3.74
113
-24.07
中南米
(ペソ)
21
  オランダ
440
3.71
3.45
-24.77
欧州
(ユーロ)
22
  ギリシャ
427
3.60
3.35
-26.95
欧州
(ユーロ)
23
  韓国
426
3.59
4,300.00
-27.18
アジア
(ウォン)
24
 UAE
420
3.54
13
-28.21
中東
(UAEディルハム)
25
  トルコ
404
3.41
10.25
-30.92
中東
(リラ)
26
  ブラジル
398
3.35
13.5
-31.96
中南米
(レアル)
27
  シンガポール
388
3.27
4.7
-33.67
アジア
(同国ドル)
28
  エストニア
383
3.23
3
-34.58
欧州
(ユーロ)
29
  ポルトガル
383
3.23
3
-34.58
欧州
(ユーロ)
30
  サウジ
379
3.20
12
-35.17
中東
(リヤル)
31
  日本
370
3.12
370
-36.74
アジア
(円)
32
  タイ
367
3.09
112
-37.28
アジア
(バーツ)
33
  ハンガリー
365
3.08
900
-37.63
欧州
(フォリント)
34
  チェコ
354
2.98
75
-39.50
欧州
(コルナ)
35
  チリ
348
2.94
2,100.00
-40.44
中南米
(ペソ)
36
  ペルー
347
2.93
10
-40.66
中南米
(ソル)
37
  パキスタン
339
2.86
300
-41.98
アジア
(同国ルピー)
38
  メキシコ
333
2.81
49
-43.00
中南米
(同国ペソ)
39
  フィリピン
331
2.79
131
-43.49
アジア
(同国ペソ)
40
  中国
318
2.68
17.6
-45.56
アジア
(人民元)
41
  ベトナム
317
2.67
60,000.00
-45.83
アジア
(ドン)
42
  香港
294
2.48
19.2
-49.76
アジア
(香港ドル)
43
  スリランカ
288
2.43
350
-50.72
アジア
(同国ルピー)
44
  コロンビア
288
2.43
7,900.00
-50.75
中南米
(同国ペソ)
45
  アルゼンチン
284
2.39
33
-51.53
中南米
(同国ペソ)
46
  ポーランド
281
2.37
9.6
-51.89
欧州
(ズウォティ)
47
  インドネシア
259
2.19
30,500.00
-55.64
アジア
(同国ルピア)
48
  エジプト
257
2.16
16.93
-56.14
アフリカ
(同国ポンド)
49
  台湾
246
2.08
69
-57.88
アジア
(同国ドル)
50
  インド
226
1.90
127
-61.44
アジア
(同国ルピー)
51
  マレーシア
216
1.82
8
-63.06
アジア
(リンギット)
52
  南アフリカ
210
1.77
28
-64.08
アフリカ
(ランド)
53
  ウクライナ
183
1.54
36
-68.73
欧州
(フリヴニャ)
54
  ロシア
181
1.53
114
-69.03
欧州
(ルーブル)
55
  ベネズエラ
79
0.66
132
-86.52
中南米
(ボリバル)
 

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[ 2016年2月12日 ]
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