想定の南海トラフ巨大地震 科学的に蓄積ヒズミ解明
巨大地震が想定される南海トラフで、地震を引き起こす地殻のひずみが四国沖や熊野灘、東 海地震の想定震源域などに蓄積されているとする観測結果を海上保安庁などのチームが23日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。南海トラフ沿いのひず みの分布を詳しく解析したのは初めて。
東海から西の太平洋にある南海トラフでは、陸側のプレートの下に海側プレートが沈み込んでひずみがたまり続け、過去に繰り返し巨大地震が発生している。
国は今後、30年以内にマグニチュード8から9の巨大地震が発生する確率が60%から70%としているが、震源域が海底のため、どこでひずみがたまっているか詳しく分かっていなかった。
海上保安庁は平成18年度から9年間かけて、南海トラフの15ヶ所の海底にGPSの観測点を設置して海底の動きを直接調べ、音響検査とともに、どこにひずみがたまっているか解析を進めてきた。
海側のプレートは、年間に約6センチ沈み込んでいるとみられ、陸側のプレートの動きが大きいほど、プレートどうしの結びつきが強くひずみがたまっていることを示している。
その結果、四国の沖合や東海地方の遠州灘の沖合では、陸側のプレートは海側とほぼ同じ年間に約6センチずれ動き、特にひずみがたまっているほか、紀伊半島の周辺の沖合でも、年間約5センチとひずみがたまっていることが分かった。
このうち四国沖では、海側のプレートが沈み込み始めている浅い領域も含まれ、大きくずれ動くと高い津波が発生するおそれがあるとしている。
一方、宮崎県の沖合の日向灘では、陸側のプレートがずれ動く大きさは年間約3センチ前後で、体に揺れを感じないゆっくりとした地震によって、ひずみが解放されている可能性があるとしている。(多くの地震が発生していることからエネルギーが解放されているのだろう)
チームは「将来起きる地震を正確に想定するための重要なデータとなる」と指摘している。
海保によると、ひずみが蓄積する海域は国の防災計画の想定内で、被害想定の拡大などにはつながらない見通し。
以上、報道・海上保安庁資料など参照
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