アイコン 円高を演出した消費税増税延期

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2月は円安工作の日銀デフレのマイナス金利導入、結果、大幅な円高に、今回は、米金利上げ近しに円安に振れている最中・111円を付けていた円相場が、消費税増税延期に、財政問題をどうするかと市場は問題にし、2日間で108円台の円高にしてしまった。
市場は、消費税延期そのものは容認の動きであったが、延期理由の現状の景気に対する対策が何も講じられなかったことから選挙対策だけかと総スカン、円高に至った。
ここにきてもキャッチフレーズの一億総活などで茶を濁している。

<これまでの経過>
2014 年10月の日銀の金融緩和策では、当時105円から125円まで円安を生じさせた。しかし、円安工作で企業利益は上がったものの、東日本大震災の復興大投 資でも、全国の隅々までこの景気をとの公共投資拡大でも、内需拡大にいたらず、GDPの6割を占める消費活動は、円安で逆に物価が上がり、企業利益は勤労 者に還元されず実質給与はほとんど上がらず、減退したままとなってしまった。

アベノミクスの最大の検討違いは、政府・日銀主導の景気対策で企業業績が向上し、勤労者所得も向上し、内需が拡大し、景気は回復・循環するとの前提条件が崩れたところにある。
そ れはリーマン・ショック前の企業業績の好転時代、法律を制定し派遣など非正規雇用を急拡大させ、企業は大幅に労働コストを下げ、利益を大幅に好転させた。 その利益は上場企業にあっては、ハゲタカ対策や銀行対策から内部留保に集中した。その結果、企業から労働分配率は死語となった。

そうこうしている間に、中国経済の低迷は深刻化し、連れて東南アジア経済も低迷、資源安を誘発し、米国除く世界景気が低迷している。日本の輸出量は減少、円高に振れ水脹れの売上と利益も剥落している。

こうした中、期待された消費税増税前の特需も延期でなくなり、日本経済は停滞の生湯にどっぷり浸かり、手の打ちようがなくなってきている。

<景気回復には公共投資しかないのか>
サミットで嘲笑された現状世界経済リーマン・ショック論を打ち上げ、しっかり世界的な経済低迷に財政出動しようと呼びかけた。日本では法人に対してだけ減税したものの、まだ以前より大幅に増加している法人税を、財政再建には使用せず、赤字国債を発行してでも公共投資大拡充に振り向ける方針を打ち出している。

その第一弾の発表がリニア新幹線の前倒し、ゼネコンは大喜びするだろうが、フーバーダムの時代ではなく、経済回復効果への即効性はない。

<増税延期の必要性はあったのか>
増税延期をする必要があったのかと外紙も書き立てている。
こうして、増税延期の見返りは円高シフト、東証株価は1日▲279.25円下げ、2日は▲393.18円下げて、増税延期を市場は大幅安で反応した。

<日銀の円高工作はすでに種切れ>これ以上はヒステリックになるだけ
2014年10月に円安に大きく振った日銀の大金融緩和は、同時に年金の株式投資枠拡大が発表されていた。外資ファンドにとって、千歳一隅のチャンスとばかりに円安は大きく進み、株価は21000円近くまで上昇した。
日銀の金融緩和より、外人投資家にとっての魅力は当然、年金基金の株式投資枠拡大にあった。それは以前からアメリカが要求していたものであり魅力満載・この上ないご馳走だった。株価は高騰を続け昨年(2015年)8月、15年ぶりの最高値を付けた。
しかし、何事も賞味期限というものがある。アベノミクス下でも以前から指摘されていた輸出数量の減少は、好調の企業業績が根本から改善したものではなく、単に円安効果の水脹れに過ぎないことを露呈していた。第3四半期(2015年10月~12月)の製造業の業績は、中国経済の低迷を受け、減少するものとなった。これを受け、外人投資家は一斉に引き上げにかかり、株価低迷の最大要因となっている。
(注、貿易収支では以上のとおり、経常収支では海外進出工場の利益が寄与するものの、本体は労働分配への意識はない。それも、ともに中国経済の低迷の影響を受ける)

円安効果は2月の日銀によるマイナス金利導入が市場で見透かされ、さらに大幅に円高にシフトさせてしまった。企業業績は悪化すると見た外人投資家は年初から5兆円も証券市場から引き上げた。日本市場の魅力がなくなった=日本経済の景気回復=拡大は期待薄との判断だ。

<企業利益の半分超を配当と自社株買いに使用>
上場企業は2015年度に稼いだ利益の過半を株主に還元する。配当と自社株買いの合計額は16兆円超と過去最高になる。企業には余剰マネーがなお積み上がっている。上場する約3600社の配当を集計したところ、総額は前年度比1割増の10兆9000億円と初の10兆円超えとなると日経新聞が報じている。
今や、どこもかしこも株主還元策として自社株買いを行い、当初上場株数が減じることから株価高を演じていたが、今では市場は反応さえしなくなっている。
金持ちの投資家に還元しても内需回復にはごく一部しか貢献せず、日本でも貧富の差が拡大し続けているとOECDからも指摘されている。
  そうした中心にいる東レの経団連は、景気刺激策を講じよと政権に迫っている。

<景気刺激策は金券配布しかない>大企業の法人税を一時的に上げよ
消費税増税も財政再建も先送り、外需は低迷、内需が拡大しない限り、円高にシフトしている流れを食い止めることはできない。
例え、一時的に米金利が上昇して円安になったとしても、その大きな潮流に逆らうことはできない。
企業利益は、過去の円高時に体質改善がなされており、100円でも利益は出、法人税の減税も寄与して、少々円高にシフトしても大きく損なわれることはない。ただ、肝心の内需を牽引する勤労者の所得の増加はさらに期待薄となる。消費者は結果論としてデフレを要求する。

これまで労働分配率を無視した大企業の法人税を一時的に上げ、原資を捻出してでも国民全員に対し5万円の金券を配布するくらいの消費刺激策=景気対策を講じない限り、薄っぺらになってきて円安工作と財政再建を二の次とした公共投資だけのアベノミクスでは限界にきている。

百花繚乱のキャッチフレーズだけでは矢は1億本あっても足りない。動かない。具体的な景気回復のロードマップの再構築と、一方で次世代を担う、一つでも、どの分野の何を強靭化させるのかの具体策が必要で、資金と人材の集中投資が今必要だ。
アベノミクスでも財政問題を抱えている、それでも拡大している土建の公共投資一辺倒の政策を変更してでも、そうした方策が求められる。
ただ、こうした方策は短期決戦の効果は求められず、長期にわたって必要、決してヒステリックになってはならない。

[ 2016年6月 3日 ]
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