中国 進まない構造改革 7月までの進捗、鉄鋼と石炭生産
世界主要国から価格破壊の鉄鋼製品輸出の批判を受け、中国が構造改革の柱としている鉄鋼と石炭の過剰な生産能力の削減について、7月末までの削減実績が、政府の年間目標の半分以下だったことが明らかになった。
中国政府は19日の記者会見で、7月末までの7ヶ月間に、鉄鋼の削減が2126万トンで目標の4500万トンの47%、石炭が9500万トンで目標の2億5000万トンの38%と、いずれも年間目標の半分以下だったことを明らかにした。
国際批判に加え、中国は経済の安定成長のために鉄鋼と石炭の過剰な生産能力の削減を構造改革の柱に表向き据えている。
その削減実績について、中国の経済政策を統括する国家発展改革委員会の連維良副主任は「各地の取り組みにはばらつきがあり、一部の地域で削減が遅れている」と認めたうえで、監督の強化などを通じて最終的に年間目標を達成できると強調した。
一方、中国の鋼材の輸出量が今年も増え続けていることについて、中国商務省の張驥次官補は「中国の鉄鋼業の競争力が高まり、比較優位を持ったためだ」と開き直った弁、国内の改革とは分けて考えるべきだという立場を示した。
鉄鋼などの生産能力の削減が年間目標の半分以下にとどまっていることが明らかになったことで、中国の構造改革の行方をめぐって今後また、国際社会で議論を呼びそう。
以上、
中国の鉄鋼業界は当局の削減要求に見かけ上、削減しているが、実態は、一時的な休止や飛ばしで切り抜けているという。その飛ばしの実態は、生産施設 の一部を売却したように見せかけ削減したと当局に報告、実態は売却した先が生産しているというもの。それも売却主の意向に基づいて生産しているという。そ うすれば確かに鉄鋼生産会社は削減したように見える。内実、生産量は何も変わっていないというのが実情のようだ。
中国国家発展改革委員会(発改委)にしても、権限が弱いのか、地方政府によってはまだ行動すら起こしていないとして、年内での目標達成は困難な見通しとなっている。
<中国の生産実態>4月過去最高の生産量
中国国家統計局が発表したデータによると、6月の粗鋼生産量は前年同月比1.7%増の6947万トンで、1日当たりの生産量が過去最高の231万6千トンとなった。
粗鋼生産量増加の背景には、国内先物市場での鉄鋼価格急上昇と関係しているとみられる。中には異型コイル鉄筋の先物価格が昨年12月から4月まで約80%急上昇。4月単月だけで30%上昇していた。価格は落ち着いてきたが、粗鋼生産の操業は急には停止できない面もある。
<景気回復に相反する政策>
鉄鋼価格を押し上げた最大の理由として、政府の不動産市場刺激策やインフラ設備建設の拡大と金融緩和策が挙げられる。これは、昨年末から中国政府が掲げ た供給側改革の目玉の一つである鉄鋼業に対する過剰生産能力削減と逆行することになった。また、中国の自動車業界も生産台数が伸び続けている。
当局は昨年末、すでに掲げた9000万トン以上の粗鋼生産能力削減目標を元に、2020年までに、さらに1億から1億5000万トンの生産能力を削減するとの方針を示した。しかし、莫大な赤字で生産停止中の工場が、この鉄鋼価格の上昇で生産を再開している。
鉄 鋼情報サイト「中国聯合鋼鉄網」(Custeel)が4月末に行った調査によると、68の溶鉱炉が生産を再開し、今後約5000万トンの生産量が予想され る。また中小鉄鋼生産企業の設備稼働率が1月の51%から58%に上昇。もう一つの鉄鋼情報サイト「私の鉄鉱網」(Mysteel)によると、大手鉄鋼生 産企業の設備稼働率も84%から87%に上昇したという。
<不良債権との関係>
香港証券会社みずほセ キュリティーズアジアの沈建光・チーフエコノミストは香港紙「明報」(8月3日付)に対して、中国国内一部の銀行は、不良債権の急増を回避するため、引き 続き過剰生産の企業に貸出していることを示した。また一部の地方政府は、すでに減産または操業停止になった企業に対して生産を再開させたという。
これには、昨年末指導部が過剰生産削減を主要経済任務と定めたことで、年末にかけ生産が減少、今年初めに在庫がやや解消され、鉄鋼と石炭価格が急上昇したことも影響したとされる。
中国人民大学国家発展戦略研究院は7月、鉄鋼業界の半分の企業は倒産予備軍のゾンビ企業だと公表している。中国では、思惑に、熱しやすく、冷めやすいとしいう中国人守銭奴の特性を如実に現した相場を展開する。ビットコインバブルや証券バブル、不動産バブルでもすでに何回も証明されている。
世界の粗鋼生産量 2015年とリーマンショック前の生産量比較
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2015年
|
2007年
|
15/07年
|
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/千トン
|
生産量
|
シェア
|
生産量
|
シェア
|
増減率
|
世界
|
1,622,808
|
100.0%
|
1,348,108
|
100.0%
|
20.4%
|
中国
|
803,830
|
49.5%
|
489,712
|
36.3%
|
64.1%
|
日本
|
105,152
|
6.5%
|
120,203
|
8.9%
|
-12.5%
|
インド
|
89,582
|
5.5%
|
53,468
|
4.0%
|
67.5%
|
アメリカ
|
78,916
|
4.9%
|
98,101
|
7.3%
|
-19.6%
|
ロシア
|
71,114
|
4.4%
|
72,387
|
5.4%
|
-1.8%
|
韓国
|
69,673
|
4.3%
|
51,517
|
3.8%
|
35.2%
|
ドイツ
|
42,678
|
2.6%
|
48,550
|
3.6%
|
-12.1%
|
小計
|
1,260,945
|
77.7%
|
933,938
|
69.3%
|
35.0%
|
世界と中国の粗鋼生産量推移
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||||
/千トン
|
世界
|
中国
|
シェア
|
日本
|
2004年
|
1,068,940
|
280,488
|
26.2%
|
112,718
|
2005年
|
1,146,533
|
355,790
|
31.0%
|
112,741
|
2006年
|
1,250,098
|
421,024
|
33.7%
|
116,226
|
2007年
|
1,349,108
|
489,712
|
36.3%
|
120,203
|
2008年
|
1,343,429
|
512,339
|
38.1%
|
118,739
|
2009年
|
1,238,755
|
577,070
|
46.6%
|
87,534
|
2010年
|
1,433,433
|
638,743
|
44.6%
|
109,599
|
2011年
|
1,538,003
|
701,968
|
45.6%
|
107,601
|
2012年
|
1,560,131
|
731,040
|
46.9%
|
107,232
|
2013年
|
1,650,353
|
822,000
|
49.8%
|
110,595
|
2014年
|
1,670,197
|
822,750
|
49.3%
|
110,666
|
2015年
|
1,622,808
|
803,830
|
49.5%
|
105,152
|
04/15年
|
51.8%
|
186.6%
|
|
-6.7%
|
14/15年
|
-2.8%
|
-2.3%
|
|
-5.0%
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