アイコン 限りある漁業資源 中国の乱獲と政治的戦略 マサバ漁獲抑制合意

スポンサード リンク
 

中国漁船が東シナ海や世界の公海で魚を取り捲り、魚資源が急速に減少してきている。特に中国漁船は、東シナ海から日本近海を回遊するさばやアジなどを、底引き網で魚の種類、大きさに関係なく一網打尽に漁獲していることから、急激に漁業資源が減っている。

こ うした問題は、日本の近海(沖縄県や東北の太平洋EEZ外沿岸)をはじめ、韓国では、これまでに韓国EEZ(排他的経済水域)内の不法操業の取り締まりで 死傷者まで出すなどしており、今般は、漢江口海域など北朝鮮との緩衝域(NLL)での大規模不法操業もあり、国連軍が出動する騒ぎもあった。北朝鮮が同国 EEZ内と同領域の漁業権を中国側に売却していたという報道もなされていた。
こうした乱獲と環境汚染により、中国領海(東シナ海・黄海)の漁業資源が枯渇の危機に瀕しており、その影響は魚が回遊する台湾・韓国・日本の漁業にも多大な影響をもたらしている。

中国国営メディアの中央人民ラジオ放送局傘下ニュースサイト「央広網」は、中国農業部が「東海(東シナ海)には捕獲できる魚は、もういないというのはすでに事実だ。他の領海も同じような状況がみられる」との見解を示したと報道しているほど。

また農業部によると、中国政府が管轄する領海での捕獲可能量は800万から900万トンだが、実際の年間捕獲量は1300万トン。これは深刻な乱獲実態を浮き彫りにしている。農業部は乱獲が中国漁業を持続不可能に陥らせた主因だとした。

ブルームバーグによると、2015年中国の食用魚介類消費量は、世界全体の35%を占めた。
中国は、今や世界最大の魚介類消費国と輸出国になった。1979年から2013年まで、漁船が5万5225隻から69万4905隻に、漁業者は225万人から1400万人に急増した。現在、中国漁業は国内総生 産(GDP)の3%を占め、年間約2600億ドル(約26兆円)を中国経済に貢献していると報じている。
しかも、生態系や環境に配慮せず利益を追及した結果、漁業資源の激減が深刻化している。農業部によると、国内食用淡水魚の60%を供給してきた長江では、今まであった370種の魚のうち、約170種が絶滅の危機に瀕しているという。

ブルームバーグは、この危機的な状況に漁業者と中国政府が責任を負わなければならないと批判している。
「2013年だけでも、中国政府は65億ドル(約6500億円)規模の資金を漁業補助金に充て、漁民に対して公海、および他の国の排他的経済水域で捕獲するよう奨励している。中国人民解放軍はその方針を指示し、漁民たちにGPS機器を提供している」と指摘した。今後の中国政府の目標は、南シナ海における「歴史的な捕獲権利」を強化することだとの見解を示した。

その一環ですでにマレーシアやインドネシアのEEZ内での不法操業を慢性化させている。領海沿岸国が中国漁船を拿捕するなど問題も多発し始めている。

こうして見れば、中国の覇権戦略である一帯一路の一帯は、東・南シナ海に眠る原油やLNGなどの海底資源の強奪どころか、漁業資源もターゲットにしており、有り余る漁船団を使い今後も南沙諸島の強奪を、9段線を口実に強化させるものと見られる。域内では漁船団とともに武装した中国海警艇を同行させており、対立する東南アジア諸国に圧力を加えている。

そうしたことから、漁業資源や他の天然資源の獲得をめぐって、中国漁船が今後も頻繁に日本、韓国や他の東南アジア諸国の領海に侵入することよって地域間の緊張が高まると見られる。

昨年は、公海上とはいえ、大量の中国漁船団が、八丈島や小笠原海域に出没して、サンゴを乱獲、サンゴ礁を破壊するなど、こうした無法者国家の野蛮な行為は大きな国際批判を招いた。

<マサバ規制>
8月26日、日本や中国・台湾・韓国など6ヶ国・地域は26日、北太平洋漁業委員会(NPFC)会合を開き、資源評価を終えるまでマサバの許可漁船の数を現状より増やさない抑制措置を導入することで合意した。
中国によるマサバの漁獲量急増を受けた日本側の働き掛けで実現した。
しかし、中国漁船の操業方法ではマサバなどの区別なく乱獲しており、漁獲量の管理も徹底しておらず、地方政府自らの利益に乱獲という意識もなく乱獲させている状況では、その効果はほとんどないものと見られる。
ただ、枯渇する漁業資源のため、中国側が形式なりでも漁獲規制に応じた意味合いは大きい。

元々、サバはクセがあり中国では食しない魚とされていたが、中国でも日本食ブームでサバも食するようになってきている。習近平のような肥満体が中国でも急増しており、肥満抑制のため、魚を食する日本食がブームになる要因ともなっている。河豚でも食べてりゃいいものを・・・。

日本近海では魚が取れなくなり、魚価が上がっている。しかし、魚価が上がり、さらに安価な肉食が多くなり、消費不況下、魚価上昇は、日本人の魚離れに深刻な影響を及ぼすという悪循環に陥っている。

中国漁船団
韓国取締船に対峙する中国漁船団、これでは拿捕することなど困難。

[ 2016年8月29日 ]
スポンサード リンク
 

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 


PICK UP


PICK UP - 倒産

↑トップへ