アイコン アルミ不法輸出か? 100万トンのアルミ 中国忠旺控股と大富豪の劉忠田氏/米調査開始

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アメリカでは中国製鉄鋼製品の輸入急増に、ダンピング関税をかけるとともに、中国政府に対して過剰生産物に対して構造調整するよう強く求めている。
そうした中、以前から輸入急増に高関税をかけ対応していた中国製アルミ、それに対して中国企業はアルミ製パレットによる偽装輸出、メキシコからの積み替え輸出が発覚している。

米商務省は、ペンシルベニア州フィラデルフィア郊外の工場にある大量のアルミニウム製品が、米国の輸入関税を回避するために中国の富豪が偽装を施して持ち込んだものなのかどうかを調査していると16日WSJが報じている。
疑われているのは、関税を回避するためにアルミをパレット(物流に用いる荷役台)として持ち込み、その後、本来の用途のために溶解するという偽装方法だ。
商務省が調査しているのは、金属で財を成した大富豪の「龍忠田氏」と、同氏が率いる世界第2位のアルミ型材メーカー「中国忠旺控股」など。
商務省の報道官は、ニュージャージー州に本拠を置く、「アルミナム・シェイプス社」が、劉氏による関税回避のための別の偽装ルートになっているのかどうかを調査中だと認めている。

<迂回輸出用か、メキシコに100万トンのアルミ>
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は9月12日、米国の関税を回避するために大量の中国製アルミをメキシコ経由で持ち込む「積み替え」の偽装手段に、劉忠田氏が関与している可能性があると伝えた。WSJの取材に、劉氏はメキシコに山積みされたアルミとの関連を否定している。

しかし、WSJが確認した中国忠旺控股の社内記録や貿易書類などから、一連の企業を通じて数十万トンのアルミが中国からメキシコに輸送されたことが示されている。関係企業の中には、劉会長の息子や昔からの仕事仲間だと主張する人物が経営するものも含まれている。

これは、メキシコシティの北方面にあるシエラゴルダ山地のふもとの有刺鉄線に囲まれた「アルミニカステ・フンディション・デ・メヒコ社」の施設内に、100万トン近いアルミのインゴッドが整然と積み上げられていた。約20億ドルの価値があり、世界のアルミ総在庫量の約6%に相当する匹敵するという。米フォード・モーターのピックアップトラック「F-150」なら220万台分、ビール缶なら770億個分の材料になる量となる。
 以上、WSJなど

アメリカ・カナダ・メキシコの3ヶ国は、NAFTA(北米自由貿易協定、1994年1月発効)締結国であり、中国産アルミをメキシコ経由でアメリカに輸出すれば、関税がかからない。それに加え、港湾利用のパレットを利用して、中国貨物船などを利用してアメリカに持ち込み、ひそかに移動させ集荷・蓄積させ、米アルミ生産会社と組み、溶融して機材用・建材用に販売していたものと見られる。それも大量に。
ただ、100万トンと見られるアルミインゴットのあるアルミニカステ・フンディション・デ・メヒコ社に対して、劉忠田がアルミを売却し、メヒコ社が建材等へ型材加工して、アメリカに持ち込まれた場合、NAFTA締結により、対応できない可能性もある。アメリカ政府は、メキシコ政府に正式に輸入されたものかどうか、精査させるものと見られる。
 (トランプ米大統領候補は、NAFTAも見直しをかけると発言している)

<中国忠旺控股(チャイナ・ジョンワン・ホールディングス、China Zhongwang Holdings Ltd.)>
工業用アルミ型材メーカーとして中国最大、世界第2位の規模を誇る。2015年12期の売上高は16,171百万ドル(約1兆65百億円)。高付加価値の工業用大型アルミ押出製品の製造を手掛ける。主力製品は鉄道車両、自動車、航空機、電力機器、船舶向けの工業用アルミ形材。ビル用サッシやカーテンウオールなど建築材も生産している。
中国のアルミ型材メーカーとして、中国経済成長やマンションの大開発などにより急成長してきた会社であるが、数年前から鉄鋼製品と同じく過剰生産に見舞われ、輸出を急増させている。ただ、アメリカは、中国製アルミが急増したことから、2013年に高関税をかけている。

メキシコのアルミニカステ・フンディション・デ・メヒコ社に積まれた100万トンのアルミ
メキシコのアルミニカステ・フンディション・デ・メヒコ社に積まれた100万トンのアルミ

 

[ 2016年9月19日 ]
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