アイコン 韓国地震と熊本地震 半島南東部集中の原発 古里・月城原発14基の安全性

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朝鮮半島は、フィリピンプレートがユーラシア大陸プレートに潜り込む場所から離れているため地震の記録が少ない。それでも1681年には日本海側で M7.5級が発生した調査結果があり、26年後の1707年に南海トラフ沿いで日本最大級の宝永地震が起きている。蔚山地震は、阪神大震災・東日本大震 災・熊本大震災など一連の活発化している日本の地震と関連性は否定できない。

韓国での地震は9月12日午後8時32分に発生。震源 は韓国南東部の慶州市で、マグニチュード(M)は5.8、深度15キロ。直前の午後7時44分には近くでM5.2を観測し、19日夜にもほぼ同じ場所で M4.5の余震があった。世界最大の原発密集地域の古里、新古里原発と月城原発から50~60キロしか離れていないため、原発の安全に対する憂慮が再び高 まっている。

朝鮮半島で予想される最大地震規模は、マグニチュード7.5に達するという学界の研究もあり、原発の安全基準を高めるよう求める動きも出ている。

<7月5日、9月12日の地震>
7月5日に発生していた蔚山東方沖地震、韓国気象庁と地質資源研究院(地質研)は7月6日、5日午後8時33分頃、蔚山東方沖約52キロの海域で起きたマ グニチュード5.0の地震、深さ約10キロの走向(水平)移動断層が1キロメートルの範囲で壊れて発生したと推定される」と発表していた。

地質研のソン・チャングク地震災害研究室長は「蔚山近海は、地震が相対的に頻繁に発生する地域で、今回の地震が特別な条件で発生したとは見られない」と話した。

地質研のチ・ホンチョル地震研究センター長も「大きな地震が起きるには、一定の線上に小規模の地震が繰り返し起きるはずだが、今回の震源地周辺の地震発生パターンは線上配列をしておらず、さらに大きな地震の前兆とは見られない」と話した。
しかし、朝鮮半島で発生しうる地震の最大規模はマグニチュード7.5に達するという研究結果が相次いで出されていて、大地震の発生可能性を排除することはできない状況。

全南大のキム・ソンギュン名誉教授は2001年、朝鮮半島における最大地震規模を7.14±0.34と推算し、延世大のホン・テギョン教授(地球システム科学)は2014年、予想最大地震規模を7.45±0.04と提示したことがある。
また全北大のオ・チャンファン地球環境科教授は「韓国は周辺地殻プレートが、東西方向に押し合う地点に位置しているため、もともと活断層が多い地域」とし「ユーラシアプレート内部で力が蓄積される期間が、日本より相対的に長いものの、大地震が起きる確率がないわけではない」と話した。
韓国国土情報工事(LX公社)空間情報研究院は、9月12日の慶州地震の影響で朝鮮半島の座標が最大東に1.4センチ、南に1センチそれぞれ移動し地殻が1.6センチ上昇したと9月14日明らかにしている。
韓国では地震が少なく今回の地震で刺激を受け余震がまだ数多く続いている。

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<日本の地震研究者の蔚山地震の見解>
韓国で最大級とされた12日を含む一連の地震について、日本の研究者から「熊本地震を引き起こしたのと同じ地殻変動が原因」とする見方が出ている。
南海トラフ地震を引き起こすフィリピン海プレートが、九州や朝鮮半島を載せた大陸側プレートを押し込み、その力が「地震はない」とされてきた韓国に及んだという分析。
地殻変動は、南海トラフ地震まで続く可能性があり、研究者は「西日本でも引き続き注意すべきだ」と警戒を呼び掛けている。

<熊本地震と同じ地殻変動、力のかかり方で発生>
 産業技術総合研究所の石川有三招聘研究員は、一連の震源を梁山断層付近、震源の深さを数キロ~15キロと分析。12日の最大地震は「震度5強、場所によっては6弱」と推測し、熊本地震と似た浅い内陸地震とみている。
東京大地震研究所の佐藤比呂志教授(構造地質学)も「熊本地震と同じ地殻変動、力のかかり方で発生した」と指摘する。
 熊本地震では、フィリピン海プレートが沈み込む際、九州東部から大陸側プレートは北西方向に押し込まれる一方、九州南部は沖縄トラフの影響で南へ押される力が働き、断層面のずれを生じさせたとされる。同じような力によって韓国の地震が起きたとの見解。

<日本の地震も朝鮮半島の地震も同じ原因>
南海トラフ地震は100~200年周期で起き、その50年前くらいから内陸地震が起きやすくなる。神戸大の石橋克彦名誉教授(地震学)は、阪神大震災や福岡沖地震、熊本地震も一連の内陸地震と捉えており「韓国の地震も大局的にはその一つ」とみる。

先述の東大地震研の佐藤教授は、東日本大震災の影響も挙げている。同地震で東北沖のプレート間で蓄積されていた力が解放され、大陸側プレートが動きやすくなり、韓国での地震を誘発したと考えている。
韓国ではこの説が主流だが、佐藤教授は「二つの要因が複合的に作用した可能性もある」と分析する。

<<懸念される原発>>
懸念されるのは原発だ。朝鮮半島南東の日本海側には月城、古里の両原発の計10基が立地する。事故は日本への影響も考えられるだけに、韓国内の断層を調査した経験がある名古屋大の鈴木康弘教授(変動地形学)は「韓国の活断層をしっかり調べることが必要だ」と提起する。
  
<韓国原発の安全性の問題>
韓国では昨年、当局と業者が結託して、大規模な不正部品納入が発覚、大問題になった。
斗山重工業は韓国国内の原子炉20基のうち19基を建設している。
キム国会議員の資料によると、セハンTEPは、部品の放射線調査報告書を偽造して原発不正を触発させた原発部品の検証機関。関連部品の一つは制御棒の位置伝送器ケーブルの組み立て部品だった。
原子炉の核反応を調節するため設置された93本の制御棒の位置を関連系統に伝達する主要な部品。
(2016年)3月26日にこの部品を使った新ハンウル1、2号機を検証した結果、振動老化試験条件に欠陥があることが確認された。
この部品は、新古里3号機にも使われた。納品した斗山重工業は3月27日に同様の欠陥を確認し、同月30日に韓水原に条件を修正して再試験をすると報告した。
その結果、部品の寿命は約2年半(29.8ヶ月)で、設計寿命の40年に遠に満たないものであることが分かった。斗山重工業は「正常」とされた報告書を4月6日に修正した。

梁山断層が活性断層という主張は1983年にソウル大学のイ・ギファ名誉教授が初めて提起した。だが、反論も大きく学界でまだ結論が出ていない事案だ。それでも政府は安全性を確認できる追加的な精密断層調査もせずにこの一帯に原発を14基も建て、今も新古里原子力発電所5・6号機を追加建設中。

環境運動連合エネルギー気候チームのヤンイ・ウォンヨン処長は「朝鮮半島で地震発生が最も多く活断層が最も多く分布した地域の原発の耐震設計基準がマグニチュード6.5~6.9となっているが、最大予想地震規模の7.5は地震エネルギーでは20~30倍になる」と指摘した。

韓国海洋科学研究院の研究チームは、最近「ジオサイエンス・ジャーナル」6月号に、新古里近隣の日光断層が釜山近海の活断層とつながっている大規模活断層である可能性があるという論文を載せている。
 これに対して韓国水力原子力のチョ・ソクジン言論広報チーム長は「原子力発電所の耐震設計値は、原子炉直下10キロメートルで地震が起きた時に耐えられるリヒター規模を仮定したもの。原発直下で地震が起きる可能性はほとんどなく、現在の耐震設計基準は非常に高い水準」と明らかにした。

建設承認をする際に、活断層帯を地震評価から除いたり、調査すらしなかったと指摘されている。地質学者たちは、7月5日の地震は、活断層の「対馬-五島断層」で発生したもので、さらに大きな地震が発生する可能性があると指摘しているとし、海洋断層の詳細な調査を直ちに実施するよう要求している。

<新たな原発開発>
原子力安全委員会(原安委)が(2016年)6月23日、議論が絶えない新古里5、6号機の建設を許可した。
計画どおり建設が進むと、釜山と蔚山地域は、すでに稼動中の8基に加えて2基増え、世界最高の原発密集地になる。
多い人口と重要な国家産業施設が集中する場所で、重大な事故でも起きれば、想像を絶する事態となる。新古里原発団地の30キロ範囲内には、釜山、蔚山、慶尚南道の住民380万人が暮らしている。

原子力安全委員会(原安委)は審議で、一地域に多数の原発を建てることによる安全性を検討した結果、「多数ある原発の安全性は確保された」と結論を下した。
安全に関わる重要な設備は原子炉と共有されていないため、一つの事故が他の原発の事故にはつながらないという。
だが、原安委は、実務委員会の検討で、多数の原発のリスク評価と安全目標設定のための研究が追加で必要とする結論を下し、この問題に対する評価の不十分さを自ら認めてもいた。

世界のいかなる国も、これほどの人口過密地域に原発を密集させて建設した経験がないため、安全性を評価する方法など見つかるはずもない。
大都市の周辺に10基も原発を作りながら、多数の原発の危険性を考慮したまともな検証もないのは深刻な問題だ。
福島第1原発事故以来、原子力専門家は「重大事故が発生しうる」ことを前提として受け入れている。
いかに、最新設計をしても、安全文化、規制など技術外の要因が作用し、予想を超える地震、津波、火災、洪水、テロなどが事故を招くおそれがある。
こうした点を踏まえ、原発を可能にするには、人口密集地から離すというのが最も単純かつ確実な安全対策だろう。
 夏場の電気料金を削るほど電力予備率も高く、長引く低成長とともに電力消費も予想を下回っている。
原発の追加建設を無理に急ぐ理由はない。新古里5、6号機建設を急がず、できる限り慎重に安全性を検討すべきであろう。

新古里5、6号機は、建設予定地から11キロ離れた機張郡鼎冠邑の鼎冠新都市に7万人、12キロ離れた機張邑には5万5千人が居住している。人口19万人の梁山市も24キロの距離で、安全距離の内側にある。
また、原発の建設予定地は42万人が住む釜山市海雲台区の中心地から21キロ、110万人の蔚山市庁までは23キロの距離。
パク・ジョンウン東国大原子力・エネルギー工学部教授は「古里原発は、集中度が非常に高く、複数の原発の相互安全性評価が必ず先行されねばならない」と指摘した。
 環境運動連合は、朝鮮半島で発生しうる地震の最大規模は学界で7.5まで推定されているとし、建設される新古里原発5、6号機の耐震設計が、規模6.9(韓国基準M6.5~6.9)に設定されているのに許可されている。
オ・チャンファン全北大地球環境科学科教授は「朝鮮半島の東南部地域は地震を引き起こすおそれのある大きな断層帯が8つ存在し、発見された小さな断層帯が50本以上にもなる活断層が集中した場所で、この地域に原発を建設するには、最も保守的な評価に基づいて設計がされなければならない」と話している。
以上、韓国各紙、日本紙、日本の気象庁などの資料参照

韓国の原発は計画中も含めて30基ある。日本海側には24基が建設中7基も含めて所在する。原発の耐震性はM6.5~6.9であり脆弱、さらに震度表示でもない。また原発でも平気で偽装部品を使用する韓国原発であり、心配が先行する。

 

韓国と日本の地震
地震の発生日時
震央地名
深さ
最大震度
2016年9月12日
韓国慶州付近
36km
M5.8
6弱
2016年6月16日
北海道内浦湾
11km
M5.3
6弱
2016年4月29日
大分県中部
7km
M4.5
5強
2016年4月19日
熊本県熊本地方
10km
M5.5
5強
2016年4月18日
熊本県阿蘇地方
9km
M5.8
5強
2016年4月16日
熊本県熊本地方
16km
M5.4
6弱
2016年4月16日
熊本県阿蘇地方
11km
M5.8
6強
2016年4月16日
熊本県阿蘇地方
7km
M5.9
5強
2016年4月16日
熊本県熊本地方
11km
M5.9
6弱
2016年4月16日
熊本大震災
12km
M7.3
7
2016年4月15日
熊本県熊本地方
7km
M6.4
6強
2016年4月14日
熊本県熊本地方
8km
M5.8
6弱
2016年4月14日
熊本大震災
11km
M6.5
7
2015年7月13日
大分県南部
58km
M5.7
5強
2015年5月30日
小笠原諸島西方沖
682km
M8.1
5強
2015年5月13日
宮城県沖
46km
M6.8
5強
2015年2月17日
岩手県沖
50km
M5.7
5強
2015年2月6日
徳島県南部
11km
M5.1
5強
2014年11月22日
長野県北部
5km
M6.7
6弱
2014年3月14日
伊予灘
78km
M6.2
5強
2013年9月20日
福島県浜通り
17km
M5.9
5強
2013年8月4日
宮城県沖
58km
M6.0
5強
2013年5月18日
福島県沖
46km
M6.0
5強
2013年4月17日
三宅島近海
9km
M6.2
5強
2013年4月13日
淡路島付近
15km
M6.3
6弱
2013年2月25日
栃木県北部
3km
M6.3
5強
2013年2月2日
十勝地方南部
102km
M6.5
5強
2012年8月30日
宮城県沖
60km
M5.6
5強
2012年5月24日
青森県東方沖
60km
M6.1
5強
2012年3月14日
千葉県東方沖
15km
M6.1
5強
2012年2月8日
佐渡付近
14km
M5.7
5強
2011年11月20日
茨城県北部
9km
M5.3
5強
2011年10月5日
熊本県熊本地方
10km
M4.5
5強
2011年9月29日
福島県浜通り
9km
M5.4
5強
2011年9月7日
日高地方中部
10km
M5.1
5強
2011年7月31日
福島県沖
57km
M6.5
5強
2011年7月23日
宮城県沖
47km
M6.4
5強
2011年7月5日
和歌山県北部
7km
M5.5
5強
2011年6月30日
長野県中部
4km
M5.4
5強
2011年6月2日
新潟県中越地方
6km
M4.7
5強
2011年4月16日
茨城県南部
79km
M5.9
5強
2011年4月12日
福島県中通り
15km
M6.4
6弱
2011年4月11日
福島県浜通り
6km
M7.0
6弱
2011年4月7日
宮城県沖
66km
M7.2
6強
2011年4月1日
秋田県内陸北部
12km
M5.0
5強
2011年3月23日
福島県浜通り
9km
M4.7
5強
2011年3月23日
福島県浜通り
7km
M5.5
5強
2011年3月23日
福島県浜通り
8km
M6.0
5強
2011年3月19日
茨城県北部
5km
M6.1
5強
2011年3月15日
静岡県東部
14km
M6.4
6強
2011年3月12日
長野県北部
4km
M5.3
6弱
2011年3月12日
長野県北部
1km
M5.9
6弱
2011年3月12日
長野県北部
8km
M6.7
6強
2011年3月11日
福島県沖
30km
M6.0
5強
2011年3月11日
岩手県沖
17km
M6.6
5強
2011年3月11日
茨城県沖
43km
M7.6
6強
2011年3月11日
三陸沖(東日本大震災)
24km
M9.0
7
2009年8月11日
駿河湾
23km
M6.5
6弱
2008年7月24日
岩手県沿岸北部
108km
M6.8
6弱
2008年6月14日
岩手県内陸南部
8km
M7.2
6強
2007年10月1日
神奈川県西部
13km
M4.9
5強
2007年7月16日
新潟県上中越沖
23km
M5.8
6弱
2007年7月16日
新潟県上中越沖
17km
M6.8
6強
2007年4月15日
三重県中部
16km
M5.4
5強
2007年3月25日
能登半島沖
11km
M6.9
6強
2005年3月20日
福岡県西方沖地震
9km
M7.0
6弱
2004年10月23日
新潟県中越地方
13km
M6.8
7
2003年9月26日
十勝沖
45km
M8.0
6弱
2003年5月26日
宮城県沖
72km
M7.1
6弱
2001年3月24日
安芸灘
46km
M6.7
6弱
2000年10月6日
鳥取県西部
9km
M7.3
6強
1995年1月17日
大阪湾(阪神大震災)
16km
M7.3
7
・震度5強以上表示、福岡県西方沖地震以前は主要地震抜粋

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[ 2016年9月24日 ]
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