注目される前田浩ノーベル賞候補の経歴と研究成果 DDS&プロフィール
スポンサード リンク
生理医学賞候補として、体内の異物に対抗する免疫のブレーキ役たんぱく質の「PD―1」を発見した京都大学の本庶佑客員教授が注目されるが、その成果に基づき開発された薬剤「オポジーノ」は超高額薬剤であり、安価な価格で普及させない限り、ノーベル賞候補には時間がかかろう。
そうした中、前田浩熊本大学名誉教授・崇城大学DDS研究所・特任教授の研究成果がノーベル賞候補として急浮上している。
薬剤効果が飛躍的に上昇、薬剤使用が減少=安価になり、副作用に苦しめられる医薬品から開放するというDDSの技術を確立した人であり、万人のためになっていることが注目ポイントだろう。
ノーベル賞候補 前田浩氏の略歴と研究
|
熊本大学名誉教授・崇城大学DDS研究所・特任教授
|
ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System, DDS)研究の世界的なパイオニアで第一人者。
|
研究成果の内容
|
DDSとは、体内の薬物分布を量的・空間的・時間的に制御し、コントロールする薬物伝達システムのこと。薬物輸送(送達)システムとも呼ばれる。
|
具体的には、・医薬品を必要な場所へ、必要な時に、必要な量だけ送達する技術
|
DDSの価値
|
1. 薬物作用の分離
特定の作用だけを取り出す、または抑え込む。 |
2. 効果の増強/発現
効果がより的確なものとなり、再現性も向上する。投資量の削減や適用拡大(新しい効能の発現など)が期待できる。 |
3. 副作用の軽減
安全域の拡大を図ることにより、QOLを改善し、患者の負担を軽減する。また、副作用から製薬化が頓挫した化合物を薬として復活させることもできる。 |
4. 使用性の改善
患者および医療従事者の負担を軽くし、薬物の服用指示違反(ノンコンプライアンス:noncompliance)問題の解消につながる。 |
5. 経済性
製品のライフサイクルの延長、差別化が図れる。また、医療費や関連費用の削減ができる。研究・開発の効率化が期待できる。 |
|
経歴
|
1938年生、出身地:兵庫県
|
兵庫県県立龍野高校卒
|
1962 東北大学農学部食糧化学科卒業
|
1964 カリフォルニア大学Davis 校 大学院修了(R.E. Feeney教授) (フルブライト奨学生)
|
1968 東北大学大学院 博士課程修了(医学博士/農学博士)(指田香雄教授)
|
1968 ハーバード大学癌研究所 主任研究員(シドニー・ファーバー教授)
|
1971 熊本大学医学部微生物学講座 助教授
|
1981 熊本大学医学部微生物学講座 教授
|
2004 熊本大学退官、同 名誉教授
|
2005 崇城大学薬学部 教授
|
2011 崇城大学DDS研究所 特任教授
|
日本DDS学会・名誉理事
|
|
専門分野
|
感染症の分子病理学
|
腫瘍学(癌化学療法)
|
生化学(フロテアーゼとフリーラジカル、NOなど)
|
|
研究成果
|
1、がん組織における高分子薬剤の血管透過性・滞留性亢進(EPR)効果の発見
|
・1979年、ネオカルジノスタチンをスチレン-マレイン酸共重合体に結合させた高分子化制がん剤「スマンクス」を開発。
|
2、「EPR効果(enhanced permeability and retention effect)」
|
1986年に高分子薬剤が選択的にがん局所に留まりやすい現象を、松村保広(現・国立がん研究センター)とともにEPR効果を提唱した。
血管透過性が著しく亢進しているなどの理由から、高分子はより高い腫瘍蓄積性を示す。この効果を勘案することで、薬剤のガン組織への選択的デリバリーが可能となる。
|
・EPR効果は、現在の高分子抗がん剤(リボソーム・ミセル・PEG修飾製剤や抗体などのタンパク製剤)開発の基本理論の一つになっている。
|
3、感染における生体内ラジカルの生成に関する研究
|
ウイルスや細菌学などの感染局所において、生体側の応答としてスーパーオキサイドやNOなどラジカル分子が大量に生成し、細胞や核酸に傷害(変異など)を起こすことを初めて明らかにした。
|
|
受賞暦
|
米国サンアントニオ市名誉市長
|
米国オクラホマ州名誉州民(スマンクスによる肝癌の治療により)
|
連合王国オックスフォード大学リッチフィールド記念講演
|
日本細菌学会浅川賞
|
高松宮妃癌研究基金学術賞
|
E.K.Frey-E.Werle財団 Commemorative Gold Medal
|
米国Controlled Release Society
|
2003 Nagai Innovation Award for Outstanding Achievement
|
王立英薬学会Life Time Achievement Award
|
CRS College of Fellows Award
|
西日本文化賞
|
日本DDS学会 永井賞
|
2011 日本癌学会 吉田富三賞
|
熊日賞
|
2016 トムソン・ロイター引用栄誉賞
|
[ 2016年9月27日 ]
コメントをどうぞ