アイコン 中国鉄鋼産業5ヶ年計画 1~1.5億トン減産へ 鉄鋼生産世界ランキング 粗鋼

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中国工業・情報化部(省)は14日に「鉄鋼産業の調整・バージョンアップ計画(2016~2020年)」を発表し、第13次五ヶ年計画期間の末までに、鉄鋼産業の供給側の構造改革が重大な進展を遂げ、産業全体が根本的な困窮からの脱却を実現するとの目標を明確に打ち出したと人民日報が報じている。

2020年をめどに、鉄鋼産業の生産能力の過剰問題が効果的に緩和され、粗鋼の生産能力を1億トンから1億5千万トン削減し、革新の駆動力を著しく増強し、エネルギーの消費と汚染物質の排出が全面的に安定的に目標を達成し、製品の質の安定性と信頼性の水準を大幅に引き上げ、一連の重要鋼材製品の効果的な供給を実現することを目指すという。
 
同部は、鉄鋼生産能力の規模を拡大するすべての投資プロジェクトの建設を停止し、各地方が一律に鉄鋼の精錬能力を増やすことを禁じ、構造調整と改良プロジェクトでは生産能力の削減や置換を厳格に執行するとの方針を打ち出した。
 
生産能力の置換プランに組み込まれた企業と設備は、各地方政府のサイトで公表され、社会の監督を受けなければならない。次に、鉄鋼の配置調整局面を改善しなければならない。
北京市、天津市、河北省とその周辺地域、長江デルタ地域では、既存の沿海・河川流域における配置を基礎として、地域の環境圧力の軽減に着目し、優位性のある産業をよりどころとして、減量と再編を通じて、内陸部企業の最適化と調整をはかる。河北省内の首都経済圏に位置する重点鉄鋼生産地域は、都市部の鉄鋼生産工場の全面的な撤退と置換を研究し、地域内での減量と発展を実現しなければならないとしている。
以上、
要約すれば、2020年最終の5ヶ年の鉄鋼業調整昇級計画で、鉄鋼の設備稼働率を20年に80%と15年の70%から引き上げることを目標とする。
粗鋼生産能力を最大1億5000万トン削減して10億トン以下に減らし、稼働率を上げ、産業の収益力を改善するというもの。
 
現在、中国は金利低下と住宅規制緩和で不動産バブルが生じ、一方で公共投資の大幅増らより経済成長の低迷の打破に取り組んでいる。
その結果、鉄鋼製品が値上がりし、粗鋼生産の燃料となる石炭価格も急上昇し、これまで生産調整していた石炭に対して大幅増産命令を出している。
海外へ輸出している鉄鋼製品は、すでに既得権として海外市場を確立する段階に至っている。
そうした中、現在から1~1.5億トンを減産するとは疑わしいことこのうえない。
これまでも減産体制・構造調整を図ってきたものの、逆に生産量は拡大している。この矛盾を解かずして対策などありえない。
中国の場合、国営企業といっても地方政府が管理し、融資している。地方政府は表では構造調整している振りをし、裏では巨額融資金の問題もあり、あの手この手を使って増産させているのが実情である。
 このところ、鉄鋼の海外輸出摩擦は鳴りを潜めているが、これは内需が活発で輸出量を増加させていないだけのこと。再び、不動産バブルがはじければ、瞬く間に既存ルートに乗せ、輸出を大幅に増加させるのは見えている。
 
中国の10月の粗鋼生産量は6851万トンと前年同月比4.0%増え、8ヶ月連続増加。鋼材市況の上昇とインフラの公共投資増・不動産バブル・好調な自動車販売などが需要の増加要因。
利益を確保できる間は鉄鋼企業の増産が続くだろう。中央政府が鉄鋼能力を削減しているようだが、生産能力値はなお高く、減産にまったく結びついていない。(地方政府が中央政府に対して実際は虚偽報告していることにも原因がある)
ただ、眼下、需要が旺盛で鉄鋼製品価格が値上がりしていることだけは間違いない。

 

2015年粗鋼生産量世界ランキング ベスト15/万トン
 
メーカー名
生産量
備考
1
アルセロール・ミタル
ルクセンブルグ
9,809
インド系
2
新日鉄住金
日本
4,930
 
3
河鋼集団
中国
4,709
国営
4
宝鋼集団
中国
4,335
国営
5
ポスコ
韓国
4,143
 
6
沙鋼集団
中国
3,533
民間
7
鞍鋼集団
中国
3,435
国営
8
武漢集団
中国
3,305
国営
9
JFE
日本
3,141
 
10
首鋼集団
中国
3,078
国営
11
タタ・スチール
インド
2,620
 
12
山東鋼鉄集団
中国
2,334
国営
13
ニューコア
アメリカ
2,141
 
14
現代製鉄
韓国
2,058
 
15
USスチール
アメリカ
1,973
 
・出典:WORLD STEEL IN FIGURES 2015(世界鉄鋼協会2015)

 

粗鋼生産量の世界と中国 年別推移
 
 
CHINA
WORLD
占率
除く中国
2006
421,024
前比
1,250,098
前比
33.7%
829,074
前比
2007
489,712
16.3%
1,348,108
7.8%
36.3%
858,396
3.5%
2008
512,339
4.6%
1,343,429
-0.3%
38.1%
831,090
-3.2%
2009
577,070
12.6%
1,238,755
-7.8%
46.6%
661,685
-20.4%
2010
638,743
10.7%
1,433,433
15.7%
44.6%
794,690
20.1%
2011
701,963
9.9%
1,538,003
7.3%
45.6%
836,040
5.2%
2012
731,040
4.1%
1,560,131
1.4%
46.9%
829,091
-0.8%
2013
822,000
12.4%
1,650,354
5.8%
49.8%
828,354
-0.1%
2014
822,750
0.1%
1,669,894
1.2%
49.3%
847,144
2.3%
2015
803,825
-2.3%
1,621,104
-2.9%
49.6%
817,279
-3.5%
15/06
 
90.9%
 
29.7%
 
 
-1.4%
・出典:世界鉄鋼協会(2016年9月修正版)、前比は前年比、占率は占有率
 
<ダウ・US鉄鋼指数チャート>
中国の不動産バブルで鉄鋼価格も急上昇中
(2015年基準で9月の新築住宅価格は、北京31.4%、上海37.2%、深セン51.3%それぞれ暴騰中)
中国政府は10月、石炭増産指令を発令し、さらに上昇中。
 
1116_05.jpg
 
主要国別粗鋼生産量の推移 2012~2015年 月別

[ 2016年11月16日 ]
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