アイコン サムスン物産合併問題(2) 韓国高裁の糾弾判決文

スポンサード リンク
 

<2016年6月の韓国高裁判決、サムスンは意図して株価を下げ、合併比率を高めたと断罪>
サムスン物産1に対して、第一毛織0.35の合併比率で、第一毛織がサムスン物産を吸収合併、合併後の社名を(新)サムスン物産とした。理由は、スマホと半導体で巨大企業になったサムスン電子の一族支配を確固たるものにすることにあった。
目下、サムスン電子グループ財閥の会長李健熙(2代目)氏は、急性心不全でほとんど会話も判断もできない寝たきりにあり、第3代後継者として長男の李在鎔氏による一族支配を確固たるものにするため、当合併が行使された。

サムスングループの持株会社の第一毛織が、サムスン物産(建設部門と総合商社部門あり)を2015年9月1日に吸収合併した過程で、意図的にサムスン物産の株価を下落させた可能性があるとの高裁判決が2016年5月31日に下され、大きな波紋を呼んでいると当時報道されていた。

当判決で両社の合併自体が無効になることはないが、合併過程の不公正性問題が再燃するものと見られる。
当ソウル高裁の判決文で、サムスン物産の意図的実績不振行為を逐一指摘している。
合併決議直前にサムスン物産の株価(5万5300ウォン)は、年初の (6万700ウォン)より▲8.9%も下落していた。同じ期間に同業のGS建設、大林産業などの主要建設会社の株価はそれぞれ33.0%、29.6%上昇した一方で、サムスン物産は逆に下落していた。

<裁判長はその原因について>
裁判長は、サムスン物産が住宅の新規供給や受注量など、企業の価値を高められる好材料を意図的に合併後に回したり、情報公開を先送りするなどして企業価値を低く評価させたと推定した。
具体的には、
1、2015年上半期は住宅景気が活況を呈している状況で、他の主要建設会社が住宅新規供給を大幅に膨らませた一方、サムスン物産は300余世帯しか供給せず、合併決定後の下半期にソウルに1万994世帯のアパートを供給する計画を明らかにした。

2、また、2兆ウォン(約2000億円)規模のカタール複合火力発電所工事を受注していながら公にせず、合併後にこれを公開したこともその根拠に挙げた。

3、さらに、2014年末から2015年初にかけてサムスン物産が主管した工事のうちの一部をサムスンエンジニアリングに譲っていた。

4、株主の国民年金公団が合併前に売りたたき、株価を下げ、合併後に買い越している。合併発表前11.21%の筆頭株主。
(当時、合併賛成派はサムスン関係者など19.8%、国民年金11.21%、合併反対派のエリオット7.1%、メイソン2.1%、日盛新薬2.1%となっていた)

結果、株主の84%が投票し、70%が賛成、反対は14%にとどまり、第一毛織によるサムスン物産の吸収合併を成功させ、第一毛織の社名を(新)サムスン物産に変更して現在がある。

5、国民年金公団は、本来合併に中立であるにもかかわらず、合併に賛成票を投じた。
裁判所は、これらを根拠に「市場価格(合併当時の株価)が、サムスン物産の実際の価値と一致しない」として「サムスン物産の実績不振がイ・ゴンヒ会長らの利益のために、何者かによって意図的に操作された可能性があるという疑いには合理的な理由がある」と明らかにした。

これに対し、旧サムスン物産の株式持分2.11%を保有していた日盛新薬と少数株主が「サムスン物産側が合併時に提示した株式買収価格が過度に低い」として提起した価格変更申請で、原審判決を破棄し買収価格を上げるよう命じた。
 裁判所は、合併決議日を基準として算出された既存普通株の買収価格5万7234ウォンの代わりに合併説が出る前の2014年12月18日の市場価格を基準として算出した6万6602ウォンと決めた(買取価格より16.6%高い)。

 企業支配構造研究院のユン・スンヨン研究委員は「他の判例が法令上の要件だけを問題にして消極的に解釈しているなかで、今回、裁判所は証券会社のリポート、マスコミ報道など多様な市場意見を分析し引用して積極的に解釈した」と話した。

 今回の決定に対し双方が再抗告する計画だ。サムスン物産は「これまでの合併と関連した種々の裁判所決定とはまったく異なる内容で納得し難い。決定文を綿密に検討し再抗告する」と明らかにした。

原告である日盛新薬も、「サムスン物産が合併成功のための友好持分を増やすためKCC(建材メーカー)に自社株を売却した際の価格が7万5千ウォン台。サムスン物産が急迫した事情で、割引価格で株式を売ったと見られ、この価格を下限と判断している」と主張した。
(サムスン物産の株価は、合併前年の2014年は7万ウォン台で推移していたが、同年12月になると急落開始、2015年1月には55,200ウォン、2014年11月29日の株価71900ウォンからしても23%下げ、合併決議前の2015年5月23日も55,300ウォンだった。合併決議により6月6日には76,100ウォンを付けたが、合併比率に失望し8月22日には46,700ウォンまで下げていた。)

サムスン物産株式の買取価格が、当初の一株当り5万7,234ウォンから控訴審裁判所が定めた6万6,602ウォンに上がる場合、サムスン物産が日盛新薬に追加して支払う額は350億ウォン(約33億円)程度。
しかし、サムスンが実際に受ける打撃はこれをはるかに上回る見込み。裁判所が株式の買収価格が企業価値を正しく反映していなかったと明らかにしたことにより、サムスン物産と第一毛織の株式合併比率(1対0.35)、これに基づく合併は、不公正だという市場の疑問が裁判所によって確認された形になる。
統合サムスン物産の株価が、合併後に大幅に下落し、投資家の不満が高い状況に加えて、今回の判決の影響が危惧される。
(2016年11月23日の新サムスン物産の株価は136,500ウォン、合併比率35%での価格は47,775ウォンに該当し、以前からのサムスン物産の株主の不満は増幅されている)

当訴訟とは別に、米ヘッジファンドのエリオット・アソシエーツは 、サムスングループの事実上の持株会社である第一毛織によるサムスン物産の吸収合併を阻止するため法的措置を取ることを明らかにしていた。
これに対し、韓国政府系の韓国投資公社(KIC)は、エリオットが国益に反する行動をとった場合、エリオットに出資している資金を引き上げるとエリオットの動きを牽制していた。
以上、

サムスン電子グループの李一族は、会長が倒れ、寝たきりとなったことから、長男の副会長らが資本を承継するため、見え透いた工作により、元のサムスン物産の株価を大幅に下落させたうえ、持株会社の第一毛織と合併させ、新サムスン物産にして、サムスン電子の支配を安価に承継することに成功させていた。
ただ、エリオットは、国民年金の動きに対して政府系が関与したとして、米韓の自由貿易協定に基づくISD条項による訴訟も辞さない構えである。

今回の判決における合併価格の修正判決により、新サムスン物産に膨大な追加費用が発生し、さらに株価は下落するものと見られる。
今回の吸収合併は、長男の副会長が事業承継するためと韓国の独占規制および公正取引法は、持株会社は上場した子会社の株式の20%以上を保有する義務を課しているため、サムスン電子とサムスン生命の株を20%以上持つ持株会社を作るため、第一毛織とサムスン物産の合併が必要だったとされる。
以上、高裁判決文がすべてを物語っている。

サムスン電子の李一族は早くから、朴大統領を操るオカルトの崔順実を取り込み、崔順実は朴大統領の秘線として、大株主の国民年金などの政府系機関に賛成票を投じさせ、その見返りに、崔順実の方もサムスン電子グループを金の成る木に仕立て上げたものと見られる。
そのお膳立ては、崔の娘チョン・ユラをサムスン馬術クラブ(現在は廃止、ユラの登録はそのまま、大韓乗馬協会の会長はサムスン電子社長)に入れたことにあり、2014年9月の仁川アジア大会で団体優勝メンバーの一員(当時、唯一高校生)に仕立て上げるなど、サムスン側が娘を利用して崔を手懐けていたものと見られる。

1124_03.jpg


 

[ 2016年11月25日 ]
スポンサード リンク
 

 

コメントをどうぞ

関連記事

  • この記事を見た人は以下も見ています
  •  
  • 同じカテゴリーの記事です。
  •   
スポンサード リンク
 


PICK UP


PICK UP - 倒産

↑トップへ