アイコン 武田薬のアリアド買収 高すぎ プレミアム75%付ける

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日本企業は、M&Aコンサル企業のいいカモになっているが、武田薬品工業はその最右翼ではないだろうか。
武田薬による米バイオ医薬品会社アリアド・ファーマシューティカルズの買収の支払総額は52億ドルにも上り、1株当たりの買収額は75%のプレミアムを乗せているが、アリアドのがん治療薬の市場規模は「そこそこ」という程度だという。
武田薬をはじめとする日本の医薬品メーカーは苦境。
これまでは欧米で開発された治療薬の販売活動を時折自前の工夫で補う形で、高い薬価基準もあり、何十年も居心地の良い市場を謳歌してきた。
しかし、最近は薬価基準の見直しが続き、安価なジェネリック(後発医薬品)の登場による競争激化のため、日本市場の収益性は低下している。

また、日本メーカーは、多額の研究開発投資を新薬につなげる難しさを世界の最大手と共有する規模になっているものの、他社の医薬品のライセンス化や販売という面で多国籍企業としのぎを削っていくには小さ過ぎる。

2015年4月に外国人のクリストファー・ウェバー氏が社長に就任した武田薬品の場合、特に新薬候補を補充しなければならないという固有の問題も抱えている。

2008年に約90億ドルを投じてミレニアム・ファーマシューティカルズを買収し、多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」を手に入れた。一旦は主力商品の1つになってくれたベルケイドは、2015年に出た裁判所の予想外の判決のために特許切れが数ヶ月後に迫っている。

2011年に約140億ドルで買収したナイコメッドも、期待したほど新興国の売上高押し上げ効果をもたらさなかった。円安の影響が大きいとはいえ、昨年度の売上高は減少している。

武田薬品はカナダの製薬会社バリアント・ファーマシューティカルズから胃腸薬事業を買収するという話も浮上していたが結局実現しなかった。
こうした中でアリアドを手に入れたことは、ウェバー氏にとって多少の慰めにはなる。
アリアドには、販売承認済みの白血病治療薬があり、昨年の売上高は1億8000万ドルだったと見込まれている。さらに、肺がん治療薬も成功が証明されそうだが、こちらは同じ種類の製品との競争が今後強まる見込み。

武田薬品がアリアド買収で相当大きなプレミアムを乗せたことで、対抗案が提示されて破談に至る事態は防げるかもしれない。
しかし、それでも買収額はあまりにも高いように見受けられる。武田薬品工業は9日、アリアド・ファーマシューティカルズを52億ドルで買収することに合意したと発表した。アリアド1株当たりの買収額は24ドルで、6日終値に75%のプレミアムを乗せた。
以上。

医薬品のグローバル化は、スーパー医薬品会社が、開発よりも開発している会社や高い収益性を持つ医薬品を販売している会社の買収を進め、豚状態だったスーパー医薬品会社が軒並み象アザラシにまで巨漢化している。
経営者が業績を残さない限りすぐ首にされる欧米の医薬品会社は、経営者が長らえるためにM&Aを加速してきた。
しかし、武田薬は、日本では№1の規模でも、世界から見れば小さく、日本での市場は、薬価基準の見直しで収益性も小さくなり、市場も縮小している。新興国への進出も欧米のスーパー医薬品会社と比べれば大幅に遅れている。
開発を終えている企業を高額で買収するより、開発中の企業や成果を上げている大学の研究に対して、積極的に投資していくべきではなかろうか。
経営を外人さんに委ねるなど、他力本願ではどうしようもないだろう。ブラック推奨者で君臨する会長を変えなければタケダは変わらない。

買収により売上高は高じているものの、利益率は悪化している。

 

武田薬品工業の業績推移/百万円
 
売上高
当期利益
当期利益率
2008年3月期
1,374,802
355,454
25.9%
2009年3月期
1,538,336
234,385
15.2%
2010年3月期
1,465,965
497,744
34.0%
2011年3月期
1,419,385
247,868
17.5%
2012年3月期
1,508,932
124,162
8.2%
2013年3月期
1,557,005
150,695
9.7%
2014年3月期
1,691,685
109,558
6.5%
2015年3月期
1,777,824
-143,034
-8.0%
2016年3月期
1,807,378
83,480
4.6%

 

[ 2017年1月11日 ]
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