アイコン 被災地を差別し、復興を妨害した震災瓦礫受け入れ拒否闘争

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移り変わる自然、移り変わる世情の中で、真実らしきものを探求する

被災地を差別し、復興を妨害した震災瓦礫受け入れ拒否闘争

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沖縄・宮古市の石嶺議員が自衛隊員をレイプ魔扱いにしたことや、「ニュース女子」番組検証が行われたことなど沖縄関係でも書かねばならないことが溜まってきていますが、もう少し続けます。

さて福島事故から1年後。事故当初、反原発の側に立っていた私は、この震災瓦礫搬入阻止運動に衝撃を受けます。

かくも非科学的で、かくも醜悪な「闘争」など見たことがなかったからです。

今までの左翼運動にとりあえずあった理想主義的な香りは消え失せ、「震災など知ったことか。放射能ゴミを持ってくるな」という地域エゴが剥き出しになっていました。

反原発運動は、いかにして原発を減らしていくのかという冷静な議論とは無関係な、「脱原発」に名を借りる放射能マスヒステリーに様変わりしていたのです。

それは今にも続く、学童に対する「放射能いじめ」の原型です。

避難してきた級友を「放射能が来た」としていじめたように、当時のいい年をした大人たちが、「被災地瓦礫を持ち込むと放射能が移る」と言って騒いだのです。

http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201701/20170128_73035.html

私はそんな下品な言い方をしませんが、あの辛淑玉氏ふうに表現すれば、りっぱな「被爆地ヘイト」です。

その差別的空気に便乗したというか、煽って火の手を拡げたのが、共産党や「市民団体」とメディアでした。

彼らは被曝していようがいまいが、被災地すべての瓦礫は全部放射能汚染しているという、耳を疑うような非科学的なことを叫んでいたものです。

先日、HN「疑問」という自主避難した人らしい人物が、こんなコメントを入れてきました。

「九州の方たちだって、がれき処分や食の流通で悩まれてる方は多いです」
いまなおこの「放射能瓦礫」デマを信じている人がいるということのほうに、改めて驚きを感じます。

6年たってもこの調子ですから、福島事故1年目は凄まじい騒ぎでした。

彼らは一切の震災瓦礫はケガレているとして、身体を張って受け入れ拒否するという「反原発闘争」を全国で展開します。
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当時被災地では、膨大な震災瓦礫が被災自治体の処理能力を越えていました。

処理できない瓦礫は被災地に山を成して積み上がり、支援物資を運ぶ道路すら開通できない地域すら出ました。

これを被災しなかった自治体が引き受けていこうとする被災地支援に反対したのが、彼らの運動でした。

反対運動は、「核のゴミの全国処理をゆるすな」と叫びました。「核のゴミ」とは原発から出る低レベル廃棄物、あるいは使用済み燃料などのことであって、震災瓦礫のことではありません。

それを反対派は、「核のゴミ」という過激な表現で煽って、人々に恐怖心を植えつけていました。

一方、反対運動を恐れて尻込みする全国の自治体の中で、東京都の石原知事は率先して受け入れを表明し、それに励まされるようにして全国各地の自治体が続きます。

石原氏の美質である「男気」が出た場面です。今、豊洲で、「安心」を煽ってしまった小池氏ならできないまねです。

それはさておき、受け入れた自治体の処分場の入り口には、反対派が阻止線を張り、車両の下にまで飛び込むといった「市民」の狂態がそこここで繰り広げられました。

のあたりは、後の高江紛争のオリジナル・バージョンを見るようです。

まぁ、同じような人たちがやっているので、同じようなやり方になってくるということにすぎないのかもしれませんが。

この震災瓦礫反対運動には、後の彼らの運動の特徴が凝縮されています。

ひとことで言えば、デカイ声で大げさに叫べば人が動かせると思っている愚民主義です。

①「被災地瓦礫は全部放射能瓦礫」とするような、客観的事実を検証しない非科学的態度

②「核のゴミ」と震災瓦礫を混同してみせるような、誇大なプロパガンダ主義

③搬入トラックの下にもぐり込むような、暴力を厭わない実力主義
また受け入れた後も、延々と処理場周辺の住民に鼻血が出た、頭痛が絶えないという流言蜚語が流されました。

下のまんがは例の雁屋哲の「美味しんぼ・福島の真実」のひとこまですが、「市民団体」が流したデマをそのまま真実に祭り上げてしまっています。

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このように瓦礫礫搬入反対運動の果たした役割は、瓦礫うんぬんではなく、被災地復興阻止だったのです。

当時の批判論陣を張っていた2012年3月13日と4月2日記事を再掲載します。
                     
                  ~~~~~~

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瓦礫処理がデッドロックになっています。その主要な原因は各地の「瓦礫搬入阻止闘争」のためです。

私は今までこれほど醜悪な「闘争」を見たことがありません。

「放射能を全国に拡げるな」というわかったようなわからないようなお題目で、まったく放射能汚染がなかった被災地の瓦礫まで拒否するにいたっては、いかなる名分も彼らにはありません。

国は瓦礫処理特別措置法を作って早急に移送するか、あるいは被災地に処分場を建設して現地雇用を創出しつつ処分するしかなくなりました。

これ以上反対運動が長引き、そのために沖縄まで搬送することをなどになるより、そのほうがいいかもしれません。

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先日の会見でも首相は「復興の槌音」うんぬんと美辞麗句を吐くのみで、かんじんの瓦礫ひとつ満足に処分については具体的な発言を避けました。

復興庁も、予想どおりなんのビジョンもないクズ官庁がひとつできただけで、村井宮城県知事からは(松下政権塾・民主党支持)「査定庁」とまで酷評されています。

復興の最大の障害物と今やなってしまった「瓦礫搬入反対運動」は、国民が包囲してやめさせねばなりません。

私は瓦礫搬入反対運動は、科学性を欠いた「脱原発運動」に名を借りた地域エゴであると思います。一体なにに怯えているのでしょうか。

宮古市の瓦礫が放射能を拡散させるというのはナンセンスな言いがかりです。彼らの反対運動の主張は、「放射能を全国に拡散させるな」というものです。

http://akitacity.web.fc2.com/link.html

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被災地で今もっとも深刻なことは、瓦礫処分がいっかな進まないことだということを百も承知でこんな「反対運動」をやっているのでしょうか。

瓦礫が津波で壊滅した町を新たに復興する上で最大の障害になっており、1年たった今なお未だ着工すらできていない地域が多いことの原因だと知ってやっているのでしょうか。

この人たちは被災地の復興を、真正面から妨害しているのです。

同じ時期に国は、双葉町に恒久的な放射能中間処理施設を作ることを発表しました。

双葉町町長は、「これが法の下の平等か」と嘆きました。

被災地の瓦礫はいっさい搬出させない、しかし、放射能汚染された廃棄物はどんどん搬入する施設を作る・・・。

人間を馬鹿にしてはいませんか。被災地を踏みにじるのはいいかげんにしなさい。

さて、宮古市は今強い反対運動をしている神奈川の茅ヶ崎市とほぼ同等の距離にあります。

その福島第1原発からの距離を見ます。

●福島第一原発からの距離比較
宮古市    ・・・260km
横浜市    ・・・253km
川崎市    ・・・242km
相模原市   ・・・254km
横須賀市   ・・・267km

被曝線量は、外部被曝、つまり環境放射線量と、内部被曝が積算されたものです。この人たちは、自分の住む町の外部被曝線量を見たことがあるのでしょうか。

●2012年1月28日の空間放射線量率の最大値
宮古市     ・・・ 0.052マイクロシーベルト/時
茅ヶ崎市    ・・・ 0.047マイクロシーベルト/時

ほぼ一緒じゃないですか。宮古市が特に危険でもなんでもありません。

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次に内部被曝を恐れて神奈川に搬入させないと叫んでいるわけですが、かくいう神奈川は生ゴミをの処理を他県に移動しようとしています。

やがては、今満タンになりつつある下水道の汚泥も自分の県の処理施設で処理しきれずに、他県に搬出しようとしています。

下水道汚泥は都市部の放射性物質の最終蓄積場所です。東京や神奈川の処理施設で高い線量が検出されたことはご承知のとおりです。
http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1105310059/

もしここで反対派の人たちがいかなる線量であろうとも搬入を許さないと主張するのならば、とうぜんのこととして神奈川の下水道汚泥の搬出も他県によって阻止されることでしょう。

因果は巡る水車です。宮古の瓦礫をその放射線量もろくに計測しないうちから、まず拒否しようとする。

その理由に、「いかに低線量であろうとも危険だ」というゼロリスクの論理を持ってくれば、やがては自分に跳ね返って、自分の県の下水処理施設が稼働できなくなります。

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東京新聞2012年3月13日
ここに、相模川流域下水道右岸処理場の汚泥の焼却灰の放射線量のデータがあります。宮古市瓦礫とは比較にならない高線量です。

●神奈川下水道汚泥放射線量(相模川流域右岸処理場・2012年1月16日)                                      ・・・・・1024bq/kg

千ベクレル超の下水道汚泥をやがて県外に搬出せねばならない地域の住民が、その10分の1以下の瓦礫の搬入を断固阻止するという笑えない構図です。

問題は「いかなる低線量でも反対」と立ててしまう非現実性にあります。このような硬直したオール・オア・ナッシング論を言い出すから、議論が膠着してしまうのです。

今回、神奈川県が受け入れを表明したのは100ベクレル以下の、分類上は通常ゴミです。100ベクレルというのは、瓦礫を食べる人はいないでしょうが、食品の規制値(4月発効)でもあります。

食品規制値以下なのに搬入拒否するならば、一切の食品は他県から持ち込めないことになります。この人たちは、神奈川県を自給自足にして、瓦礫はおろか食料も持ち込ませないという運動でもするつもりなのでしょうか(半分冗談です)。

ところで、既に東京都は被災地からの瓦礫の搬入を始めており、現実に被災地瓦礫の放射線量のデータも出始めています。

●東京都の被災地瓦礫の放射線量測定値

❶都内のゴミと完全に分別された状態で、確実に被災地瓦礫だけの状態で処理された廃棄物の放射線量                    ・・・・検出限界以下(40bq以下)

❷一つの処理ラインで、時間帯を分けて都内のゴミと被災地瓦礫を流した場合(少量の都内のゴミが混ざった可能性がある)         ・・・・・60bq~90bq/㎏

❸都内のゴミと被災地瓦礫を同時に処理した場合・・・・111bq
これをみればわかるように、被災地瓦礫単独での処理の放射線量は、都内のゴミ処理単独の放射線量の2分の1以下です。

被災地瓦礫に反対する人たちは頭を冷やしたほうがいい。どうせ反対するのならば、自分の地域の下水処理場の汚泥の放射線量を計ってからにしていただきたい。

そして遠からず満杯になる自分の処理場汚泥が、宮古の震災瓦礫の比ではない1000bq超という危険水域の放射線量であることを自覚したほうがいい。

その時、自分たちの高濃度放射性物質汚泥が他県から確実に搬出拒否される事態になる未来に対して思いをめぐらせたほうがいい。

被災地復興に手を取り合って進もうという1年前の誓いをもう忘れましたか。

自分たちの身に降りかからなければ、この人たちは目が覚めないのでしょうか。哀しいことです。
                      ~~~~~
2012年4月2日記事からです。
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先日の園遊会に招かれた村井宮城県知事が、陛下から瓦礫の進捗状況をたずねられて、やや苦しげに集積場所に管理しております、というような返答をしていたことが心に残りました。

宮城県は、知事が言うように集積だけは終了しています。しかし、宮城県だけで685万トン、隣県の岩手と合わせると実に2000万トンにも登ります。

これは、岩手県の11年分、宮城県の19年分に相当します。考えるまでもなく、これは当該自治体の処分能力をはるかに超えています。

現地で処分しきれない瓦礫の処分強力を求めているのですが、強硬な反対運動に合ってなかなか進まないのはご存じのとおりです。

その反対理由のひとつに、輸送コストをかけて移動するのは無駄だ、ということがあります。それは一理あることで、近隣の北関東、あるいは北陸、北海道南部で処分協力することが望ましいのは言うまでもありません。

そこで、北関東と北陸、北海道南部エリアの震災瓦礫協力状況を見てみましょう。(政令市を含む)

・受け入れ表明・・・・ 東京都 千葉市 栃木県 新潟市
・前向き検討中・・・・ 千葉県 茨城県 石川 福井 北海道
・拒否      ・・・・ 札幌市 関東・北陸エリアではなし 
・未定      ・・・・ 新潟県

ちなみに全国的に拒否を表明しているのは、和歌山県、徳島県、香川県、宮崎県、長野県で、受け入れ表明しているのは、愛知県です。

現時点で11都道府県10政令都市が受け入れを表明しているか、前向きに検討中です。
一方、政令指定都市で受け入れ拒否を表明しているのは、札幌市、名古屋市、福岡市です。

札幌市は拒否理由を、「安全が確証が得られる状況にない」としており、行政みずからが瓦礫反対運動に加担しています。
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瓦礫焼却で円形脱毛になったという山本太郎議員


現状において、東北を除く地域で瓦礫処理を実施しているのは東京都のみです。

今後、受け入れを表明、ないしは前向き検討中の千葉県、栃木県、茨城県と新潟市の自治体と、札幌市を除く北海道南部などの自治体を中心にして処分態勢を考えていくことになるでしょう。

ではあらためて、環境省が定めた瓦礫処分のガイドラインを押えておきましょう。

・可燃物     ・・・・240~480bq/㎏以下
・焼却後の焼却灰・・・8000以下
反対運動や札幌市はこの8000bqが高すぎると主張しています。確かに、この8000bqという環境省の数値は、旧暫定規制値の土壌放射線量が5000bq以上であったことから、誤解を与えかねない数値であることは事実です。

の焼却灰8000bqのみに着目して、反対派はあたかも放射性瓦礫を拡散させる意思があるように理解しているようです。

これは誤解です。現時点で震災瓦礫の処分協力を要請しているのは、岩手県と宮城県のみです。もっとも高い汚染を受けてしまった福島県は要請する意思はありません。

岩手、宮城県はほぼ被曝を受けていない地域で、ピンポイント的に被曝したのは一関市のみですが、震災瓦礫の協力要請はしていません。

では、岩手県における震災瓦礫の焼却実証実験のデータを東京、神奈川の下水汚泥と比較します。

・岩手県震災瓦礫焼却灰の放射性セシウム濃度・・・133bq/㎏
・相模川流域と酒匂川流域の2施設の焼却灰  ・・・1024
・東京都下水処理施設の焼却灰         ・・・・2000~1万

133bqというといかにも高そうな感じがしますが、それは食品基準値と比較しているからです。較べるならば下水道焼却灰と比較すべきでしょう。焼却灰は食べません。
すると較べるまでもなく、岩手県瓦礫焼却灰のほうが、はるかに低い線量です。放射線量が、低いのですから、当然すぎるほど当然の数値です。

この両県の空間線量と東京都、大阪府を比較してみましょう。
・宮城県・・・0.061マイクロシーベルト/時
・岩手県・・・0.023
・東京都・・・0.056
・大阪府・・・0.076
関東各県はおろか、関西より低い放射線量の土地の瓦礫を拒否する理由を、反対運動を執拗に続ける人たちは明らかにすべきです。

それは岩手県、宮城県に対する根拠のない蔑視です。この反対運動は、被災地と非被災地に分断をもたらしています。

彼らが自分たちの声が、東北の被災地の人たちを傷つけているのみならず、復興・復旧の大きな妨げとなっているか胸に手を当てて考えるべきです。


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[ 2017年3月15日 ]

 

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