アイコン 米議会党派構成 トランプ孤立 共和党内「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」の存在 

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米国の大統領であっても政策の実現には議会の承認が必要となる。行政府の政権と立法府の議会は、同じ党=与党であっても決して1枚岩ではない。党議拘束ばかりの日本とは異なり3権分立が少しは機能している。

上院定数は100議席、米国各州から2人の上院議員が6年の任期で一般投票によって選ばれる。2年ごとに3分の1の議員が改選される

下院定数は435議席、議員は一般投票によって直接選出され、2年ごとに全議員が改選される。議席は各州の人口比に応じて配分され、各州において選挙区割りが行われ、単純小選挙区制度により各議員が選出される

アメリカの中間選挙は、4年ごとに行われる大統領選挙の中間の年に一斉に実施される、連邦議会の議員選挙と各州の知事選挙の総称。

下院議員(任期2年)の全員と、上院議員(任期6年)の3分の1が改選されるほか、任期が満了した州知事の選挙も同時に行われる。

米議会勢力の構成図
上院
議長
マイク・ベンス(共、兼副大統領)
任期6年、2年に一回1/3選挙
定員
(100)
共和党
52
民主党
46
無所属
過半数
50
 
下院
議長
ポール・ライアン(共)
任期2年
定員
(435)
共和党
240
 うち自由議連
(30~40)
民主党
193
欠員
過半数
216(現行)


発足から2ヶ月余りのトランプ米政権に、与党・共和党の保守強硬派が立ちはだかった。
看板公約の医療保険制度改革法=オバマケア代替案を撤回に追い込んだほか、政府債務増につながるような大型税制改革やインフラ投資にも否定的。

<保守強硬派>
大きな政府に反対する草の根の「茶会運動」(ティーパーティー)に連なる保守強硬派が、米議会の主導権を握る。トランプ大統領には政権運営の足かせとなってきている。

「2018年には彼らと民主党とも戦う」。トランプは3月30日、2018年の中間選挙で身内の与党内勢力に敵対することも辞さないとツイッターした。

トランプが「彼ら」と名指ししたのは下院の「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」。総勢30~40人に上る党内の保守強硬派。
国家の干渉に対して、個人の権利を擁護する古典的な自由主義者らで構成されている。
下院共和党(237人)の中で2割にも満たない集団だが、投票は一致結束して動く。下院の法案通過には過半数の216票が必要で、自由議連が法案通過を実質的に阻止できる。

オバマケア代替法案はトランプが看板メニューとして真っ先に取り組んだ本格的な法案だが、自由議連が反対の姿勢を崩さず、下院で採決すらできなかった。

<「フリーダム・コーカス(自由議員連盟)」を支える大富豪コークス兄弟>
「今回はコーク兄弟にしてやられた。税制改革も簡単ではない」。トランプに近い党関係者は弱音を吐いている。

コーク兄弟とは、米エネルギー複合企業、コーク・インダストリーズを経営するチャールズ・コーク氏、デビッド・コーク氏を指す。
共和党の大口献金者として知られ、資産総額はともに約4兆6千億円とされ、米国の長者番付ではそろって7位。大統領選ではトランプに反対していたが、最後は様子見に徹していた。

自由議連を強力に支援し続けたのがコーク兄弟ら富裕層の献金ネットワーク。その一つ、政治団体「繁栄のための米国人(AFP)」は、ライアン下院議長ら党主流派が、オバマケアの代替法案を発表すると「改革が不十分」と反対した。自由議連も足並みをそろえた。

 AFPは、緊縮財政を唱える茶会運動を先導し、自由議連はその流れにある。2015年秋には政府債務上限の引き上げに反対した。政府機関の閉鎖すら辞さない姿勢で党内のベイナー下院議長(当時)を辞任に追い込んだ。オバマ政府は政府機関の職員の報酬を一時支払えない事態に至った。
 オバマケア代替法案が頓挫した直後の3月28日、トランプ氏はオバマ前政権の地球温暖化対策を見直す大統領令をぶちあげた。「保守強硬派の懐柔が狙いだ」と関係者は述べている。

保守系政治団体は、規制色の強い温暖化対策を毛嫌いする。そもそもコーク兄弟の事業は石油精製が中核事業。
 それでもトランプ氏による30年ぶりの税制改革は前途が険しいという。

<保守強硬派は国境税に反対>
主導するポール・ライアン氏(下院議長、共和党)は、連邦法人税率を35%から20%へと大幅に下げ、輸出は免税して、輸入は課税強化する「税の国境調整」を導入する意向を唱えている。
保守強硬派は、党主流派と同じく減税に大賛成。
ただ、AFPは「法人税の国境調整は、輸入品の値上がりを招き、米国人に破壊的な影響を与える」と反対の構えを示している。

ライアン氏らは、輸入品の課税強化を減税の財源に充てるとしており、譲歩できない。
税制改革が頓挫すれば、保守派の悲願である減税も遠のく。それでもオバマケア改廃や税制改革に反対姿勢を貫くのは、「トランプ政権の転覆が狙いではないか」との見方すらある。

4月末には暫定予算が切れ、新予算を組まなければ政府機関は閉鎖に追い込まれる。自由議連は、緊縮財政をトランプ政権に迫る。
そのため、トランプは、これも看板メニューであるメキシコ国境壁建設の今年度予算への計上をひとまず断念している。

トランプ政権は、側近で過激な排外主義や孤立主義を唱えるバノン首席戦略官・上級顧問が主導権を握る。
上院議長で政権の議会対策を担うペンス副大統領は、自身がティーパーティーの関係者でもあり、自由議連の切り崩しに動いているものと見られ、日米経済対話なども控え負担が重くなっている。

党主流派は、政府閉鎖の回避や公約実現で野党・民主党との連携も模索し始めたが、反トランプへ攻勢を強める民主党との協議は難しい。
トランプ政権は議会対策で袋小路に入りかけ、その命運は、今や、与党共和党内の自由議連次第となっている。

こうした中、トランプは31日、ツイッターで次のように囁いている。
Great op-ed from @RepKenBuck. Looks like some in the Freedom Caucus are helping me end #Obamacare.

(スティーブン・ケビン)バノン首席戦略官・大統領上級顧問は、「下院自由議員連盟(フリーダム・コーカス)」メンバーが3月23日、ホワイトハウスを訪問した時、開口一番に、
「いいか諸君。これは話し合いではない。討論でもない。この法案に賛成票を投じる以外、君たちに選択肢はない」と言い放ったという。
その結果、フリーダム・コーカスは態度を硬化させ、トランプは24日、オバマケア改正案の議案上程を撤回した。こうしたシコリは残るだろう。

バノンは、右派ネットメディアの経営者(現在は退任)、トランプ大統領誕生の立役者・選対本部長を務めていた。
以上、報道など参照
 

[ 2017年4月 1日 ]
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