韓国造船業界を直撃 原油掘削会社の破綻 23億ドル被害の可能性
最悪の経営難で大規模な構造調整を進めている韓国の造船業界が再び予想外の暗礁にぶつかった。
ノルウェーのオスロ株式市場で5日、世界2位の油田・ガス田採掘業者「シードリル」の株価が取引開始直後から暴落し、一時前日比▲54%安を記録した。
これに先立ち、同社の株価は4日のニューヨーク市場でも▲55%暴落していた。
「シードリル」は、ノルウェーの「船舶王」と呼ばれるジョン・フレドリクセンが保有する採掘業者。株価暴落は100億ドルを超える債務の再編が難航し、破産の可能性が浮上したためだった。
ギリシャの採掘船舶会社、「オーシャンリグ」も3月、ニューヨークの裁判所に国際倒産手続きに関する米連邦破産法第15章の適用を申請した。
両社が破産すれば、韓国の造船会社が両社から受注して建造中の海洋プラントの残金23億ドル(約2540億円)が回収不能に陥る可能性もある。
韓国造船業を最悪の危機へと追い込んだ海洋プラントの悪夢はまだ終わっていなかったことになる。
原油安の長期化で採掘業界各社は軒並み資金不足にあえいでおり、「シードリルショック」は世界の海洋プラント事業全体に連鎖的に影響を広げる可能性もある。
大宇造船海洋に5兆8000億ウォン(約5690億円)を追加投入することで収拾に向かうかに見えた韓国造船業の構造調整も根底が揺らぎかねない。
産業研究院のホン・ソンイン博士は「(ノルウェー向けの)ソンガ・プロジェクト、(アンゴラの国営石油会社)ソナンゴルのドリルシップなどで発生した海洋プラントの損失が、韓国造船業界の足を引っ張った。海洋プラントの割合が高い韓国造船業界の特性からみて、「シードリル」が破産すれば、造船業危機説が再燃する可能性がある」と指摘した。
「シードリルショック」で予想される影響範囲には、サムスン重工業と大宇造船海洋がいる。
両社は2013年に「シードリル」からドリルシップを各2隻受注した。サムスン重工業は2013-14年に「オーシャンリグ」からもドリルシップ3隻を受注している。
契約当時には2015年から順次引き渡される予定だったが、その後相次いで延期されていた。
以上、朝鮮日報、
韓国造船業界は、リーマンショックにより船舶受注が急減、それでもそれ以前の受注分が膨大にあり乗り越えていた。しかし、その間の受注は、船舶の発注そのものが減り、変わってリーマンショック後中国経済の急回復で原油高、原油掘削プラント=海洋構造物の受注に走った。それまで建造したこともなかったが、受注残を確保するため動いた。
造船業界で世界4位までを独占していた韓国勢は、海洋プラントでは韓国勢同士で受注競争に走り、安価に受注していた。ところが、品質不良や設計変更などが多発し、大赤字の海洋プラントとなった。
一昨年から昨年期に完工し、大手造船3社は巨額の膿を出したものの、大リストラを伴い、金融機関の資金支援の下、選別受注を強化した結果、今日では手持ち受注残が2000万CGT(2年前は3500CGT)を切っている。(うちSTX造船海洋は、中国大連の子会社も含め昨年5月までに倒産した)
政府系産業銀行傘下の大宇造船海洋に至っては、その間、大粉飾もあったが、各種軍艦を製造していることもあり、膨大な資金が投入され延命が図られ、最近も追加して支援することを決定している。
韓国の造船業界は、国内企業からの受注は少なく、世界の発注量が乏しくなる中、造船キャパが大きくなりすぎており、世界経済が回復し、物流量が大きくなるまで厳しい状態が続く。
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