韓国の造船業界 現代重工業 5月超大型タンカー受注量急増
韓国造船大手の現代重工業は1日、2017年1~5月の船舶受注が38億ドル(約4210億円)になったと発表した。
原油相場の上昇を背景に大型タンカーの受注が伸び、前年同期比で4倍近い水準で、韓国造船業に回復の兆しが出てきた。
現代重工業は5月に20隻、13億ドルの船舶を受注。1~5月は62隻で受注低迷に苦しんだ前年同期(12隻、10億ドル)から急回復している。
同社は、長期的な不況から脱却する前向きな兆候と見ている。
62隻の内訳は10万トン級のタンカーが28隻、30万~50万トン級の大型タンカーが14隻など。現代重工業によると世界で発注されたタンカーの半分以上を受注した。
韓国産業通商資源省が発表した5月の船舶輸出実績(速報値)も前年同月比27%増と3ヶ月連続で上昇している。
現代重工の5月1日現在の受注残は721万7000CGTで世界首位。
以上、報道参照
韓国の造船会社はいずれも一昨年・昨年、赤字で金融機関が緊急融資、選別受注を強化させていた。しかし、受注残が減り続け、このままではジリ貧になることから、また、資産処分も終わり、財務内容も改善させてきたことから、金融機関のタガもはずれ、積極的な受注に動き出している。これは、政府丸抱えの大宇造船海洋、サムスン重工業についても同じ。
世界の海運会社や船主は、船価がリーマン・ショック前のピークより現在、半額以下になっており、今がチャンスとばかりに老朽化している船や中・大型船を早期処分して、運搬効率がよい最新型大型船やスーパー大型船の発注を積極的に行っている。韓国勢はまだ、交渉中の案件を多く抱えている。
韓国造船業界は、日本の造船業と異なり、厚板鋼板など主材料が安く手に入り、日本勢は、日の丸鋼板が高く、太刀打ちできない。
日本は新日鉄住金大分の火災で、造船向け厚板生産がストップしており、千歳一隅のチャンスとばかりに安価な価格を武器に日本の大手造船会社を回っている。ポスコはベトナムにも電炉工場を持っているが、景気低迷で売り先がなく、韓国へ輸入しようとしたが、韓国の鉄鋼業界から反発され、一定量しか輸入していない。韓国へは中国からさらに安価な鉄鋼製品が大量に流入しており、日本とは異なり韓国内では価格競争が激しい。ただ、中国製は品質面で問題があるメーカーも多い。
日本の高炉や電炉はすでに老朽化しており、特に新日鉄住金は火災など問題ばかり起こしている。結果、ユーザーはコストの高い鉄鋼製品を買わされていることになる。
韓国の造船業界は、世界で、韓国企業同士で安値受注競争を繰り広げ、これまで安請負の銭失い状態だった。今回も同じことだろうか。
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