アイコン 韓国の造船大量受注は安値受注の復活であった

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ドックを遊ばせ、少々のリストラでも労働者に賃金を払い続け赤字額を増加させ、労働者を大量に首にすることで社会批判されるより、安請負でも受注を拡大させれば、赤字額も小さくなり、社会批判に晒されることもないという構造改革なしの企業の先の見えない論理。
韓国紙は挙って、韓国造船業界の受注復活を「万歳万歳・万々歳」と李王朝復活のような喜びようであったが・・・。

韓国のKB証券は19日、今年上半期に韓国の造船所が受注した船舶が1隻当たり32億ウォン(約3億1400万円)の赤字受注だったと分析している。
今年上半期に韓国造船業界が、大量に受注した船舶は、
1、受注価格の低さ、
2、為替要因、
3、厚板値上がり
などの影響で、人件費や販管費を10~15%カットしても営業赤字は避けられないとの分析を示した。

同社のリポートによると、新規受注する船舶価格は、海運景気の改善などで最近は反発しているという。しかし、韓国造船業界の主力である超大型コンテナ船(VLCC)と液化天然ガス(LNG)タンカーの価格は、昨年末に比べそれぞれ▲4%、▲6%下落した。

(造船価格は、リーマンショック前のピークより、半額以下になっているという。そうした造船業界の環境から海運会社など船主たちは、運送コストが安くなるスーパーコンテナ船の発注に動き出している。韓国では造船業界を支援していた金融機関が、造船業界に対して利益中心に選別受注を強化させていたことから、挙って受注・受注残とも大幅に減り続けていた。その金融機関のタガが今年になり外され、昔のように、世界で韓国企業同士が安値受注競争して取り捲る状態が再演されている)

これにウォン高進行でウォン建てでの受注価格が、昨年を10%程度下回っている。一方、船舶の建造コストの約23%を占める厚板価格は2015年末の1トン当たり40万ウォンから最近は58万ウォンまで上昇している。

リポートは、「韓国造船業は、労働力のリストラなどコスト削減に向け努力しているが、船舶価格の値下がり、ウォン高、原材料上昇などはコスト削減だけでは克服が難しい。収益性はさらに悪化する可能性も否定できない」と述べた。

これについて、業界関係者は「昨年よりも収益性が悪化したという点に同意するが、受注船舶ごとに契約額が異なるにもかかわらず、一括して赤字が出ると分析することには無理があるのではないか」と反論した。
以上。

厚板価格は、世界市況で決定しており、中国が本気で生産調整したらば価格は高騰する。しかし、世界景気の構造調整は終わりに近づいており、これ以上安くなる可能性は少ない。
造船業界は安価に受注すれば先々の値上がりで命取りとなる。受注して建造に入るまでには1年以上かかる。大量受注では一定期間内に順次納品することになり、リスクは増加する。
ただ、ダボハゼ状態のポスコがベトナムで造った電炉の製品が行き場がなく、一定価格で長期納品契約している可能性もある。

(新日鉄大分では火災で造船用厚板の生産ができなくなり、国内の電炉メーカーに支援を求めている。そうしたなか、厚板の余剰生産物と余剰生産電炉を持つポスコが日本の造船業界をターゲットに猛烈な営業を展開している)

韓国では財閥(オーナー)が企業を支配しており、財閥間はライバル同士で仲が悪く、構造調整などできない体質が色濃くある。それは韓国企業の強さでもあるが、一方で弱さでもある。

<↓ 対ドルウォン価格5年推移>
韓国から世界の名だたる金融機関の撤退が止まない。低金利、カントリーリスク。

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[ 2017年6月20日 ]
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