アイコン IS退治後 クルド民族問題が浮上必至 欧州宗主国による利権被害

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過激派組織「イスラム国」(IS)による3年間の占領から事実上脱したモスルでは、人口200万人にのぼるイラク第2の都市への復興に向けた住民の自発的な再建作業がすでに完全に開放された地区から始まっている。
中東を支配していた欧州の国々が、大戦後、民族や宗派など考慮せず、利権のみで国境線を策定し、国を造らせたことにより、2千~3千万人のクルド民族の悲劇が始まっている。

クルド族の武装組織は、イラク政府軍のモスル奪還作戦でも北側から攻撃した、南側から攻撃したイラク政府軍、イラク政府とクルド族が支配地を巡って、今後、問題を引き起こす可能性が高い。

モスル奪還戦にはイラク軍(+イラン民兵=イラン軍)だけでなく、クルド自治政府の軍事組織「ペシュメルガ」も参戦した。
今年9月、クルド自治政府がイラク政府からの完全独立を決める住民投票を行うと宣言しており、こうした動きに対立激化必至。

イラクでISが完全に追放されても、新たな抵抗集団が出てくるという分析も出ている。
ISは、2003年のイラク戦争で追放されたスンニ派政権を強硬に弾圧するシーア派の新政府に対する反発から生まれたスンニ派過激派組織だった。

ISが消えてもISをイラクのスンニ派とシーア派の慢性的な対立は現存する。
圧倒的な武力で地域を安定させることができる米国が撤退しており、イラク政府がIS以降、全国各地で起こる武闘を鎮圧することができるかは不可能に近いとされている。

イラクでは、IS壊滅後、スンニ派(西部で少数派)とシーア派(中央から東部、多数派)とクルド族(北部一帯、自治が認められていた)間の対立が、再現されることになる。

イラク軍は相変わらずヒ弱。フセイン時代は宗教少数派のスンニ派が軍も政治も支配していた。米国が軍事力でフセインを殲滅、米軍が泥沼化に逃げ帰り、イラク政府をシーア派に任せた。急こしらえのイラク軍(シーア派)はヒ弱のまま。モスル奪還作戦ではイラン義勇兵(イラン兵)が参戦し、実質イラン軍により実質陥落させている。

ISの軍事力は、フセイン時代のIS軍隊の残党のほとんどがISにまわり、イラク第2の都市モスルを陥落させ、無傷で米軍から提供された膨大な武器を手に入れたことに始まる。ISは軍人と武器を手に入れ、勢力をシリアまで急拡大させてきた。しかし、戦線拡大は弱体化するのは必然、シリアではシリア政府軍、自由シリア軍(反政府軍)、クルド人武装組織と対峙することになり、その反撃に支配地を急激に縮小させている。

今では、シリア政府軍にはロシアが付き、イラク軍+自由シリア軍+クルド人武装組織には、IS撲滅のためアメリカはじめとする有志国がIS拠点に空爆を加え、軍事顧問団を派遣、大量の武器を提供している。
アメリカは、軍事的にはイラクのIS撲滅作戦で、イランと手を結んでいる。ユダヤ・イスラエルの代理人の米トランプがいくら嫌おうがそれが現実。
当然、イラクは、イラク軍や有志国により解放されようが、イランと兄弟国となることが保証されている。
<IS殲滅後が大問題>
すでにトルコは、エルドアンが独裁体制を築き上げ、穏健派のクルド人らの国会議員たちさえも拘束してしまっている。
トルコ・シリアには、クルド人の民主連合党=PYDの武装組織である人民防衛隊=YPGが組織されており、この部隊が主となって、アレッポなどシリア北部のIS支配地を次に次に陥落させている主力部隊でもある。
YPGは元々ソ連製武器と中国製武器を手にしていたが、現在は米軍からも武器が提供され、その豊富な火力により、ISをラッカやアレッポから駆逐している。

<宗教より怖い民族問題>
トルコやシリアでは主義や宗教よりややこしい民族問題が台頭してくる。
その主役はクルド人だ。イラクではフセイン時代から自治政府を勝ち取っているが、力を得た現在、キルクークなどの原油資源もあり、独立させる動きに転じている。

トルコでは、エルドアンが忌み嫌うクルド人を弾圧すればするほど、力を得たYPGがトルコ中枢部をゲリラ攻撃=テロを繰り返すことになる。

シリア政府もロシア・イラン・ヒズボラの支援を背景にクルド人や自由シリア軍が支配している領域に対して、大規模な攻撃を仕掛けてくるものと見られる。

すでにアメリカは、戦争忌避国となっており、直接攻撃の部隊は撤収?、表向き軍度顧問団=軍人を派遣し、空からの有人無人の攻撃のみに終始している。

そうしたシリア政府軍に対して、アメリカが、イバンカお仕置であるトマホーク59発で直接シリア空軍基地を攻撃したような攻撃をし続ければ、ロシアもミサイルをシリアに供与し、米軍機を攻撃するのは必至。
先般、米軍機が直接シリア政府軍機を撃墜したことにより、現在すでにシリア・ロシアはユーフラテス川西側を飛行する有志国の攻撃機に対して、照射するとしており、いつでも撃墜すると間接的に表明している(アレッポも川の西側にある)。
アメリカとロシアが中東で戦争する可能性すらある。
トルコもすでに独裁体制となり手がつけられない状態になっており、ISやシリア政府と戦ってきたYPGが、トルコ政府軍人地を局地的に攻撃することはいくらでも生じてくるものと予想される。

戦争好きな米国やロシアではなく、欧州・北欧が主導権を持ち、中東におけるIS後の和平交渉テーブルを用意することが必要だろう。

 

クルド族
国を持たない世界最大の民族
地域
/万人
トルコ
北部
1,100
シリア
北部
200
イラク
北部・自治政府
500
イラン
北西部
600
その他
欧州+中東
400
合計
2,800

 

アメリカが支援
イラク軍
自由シリア軍
クルド人武装組織
シーア派
スンニ派
(イラン軍支援)
(シリア反政府勢力)
・軍事顧問団派遣、特殊部隊派遣、空爆、武器支援
 
ロシアが支援
シリア政府軍
部隊派遣・空爆・武器供与
 
シリア政府支援国と組織
ロシア
イラン
ヒズボラ(レバノン)
 
イラク政府を支援する国
アメリカ
イラン
有志国
 
自由シリア軍支援国
アメリカ
有志国
 
・アメリカはIS後を見据えて、すでに武器供与を控えてきている。
 
トルコ敵対先
クルド武装勢力
 
 

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[ 2017年7月 3日 ]
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