公取委 やっと芸能プロにメスか SMAP独立問題波及か 生殺与奪
芸能人・タレントが大手芸能プロから移籍や独立した場合、その後仕事を干され、消えて行った芸能人は多い。まずは契約書の内容に問題があり、次にTV局側との癒着が問題として挙げられる。
TV局側も移籍した芸能人やタレントを採用するとなると、芸能プロから視聴率を取れる人気の有名タレントを出演させてもらえない実態がある。こうした芸能プロとTV局側の暗黙の了解事項・シキタリが芸能プロ発足以来成立している。
SMAP解散問題も根底はそこにある。SMAPでも独立組が長年やってきた番組が次々消えている。大手芸能プロの意向もあり継続され、それに従ってきたTV局側の存在もあっただろうが、今のTVは、ヨシモトとジャニーズ事務所を敵に回したら、番組を制作できないところまで独占状態が続いている。NHKも視聴率最優先主義に切り替わり、ヨシモト化を進め、その呪縛に自らの首を絞めている。
こうしたことが、どこのチャンネルを見ても同じようなタレントで同じような番組ばかりになり、若い世代にTV離れを引き起こしている原因にもなっている。
<元凶は契約書>
いかがわしい芸能事務所でも、スカウトした若い女性たちと「日本音楽事業者協会」が作成した「専属芸術家統一契約書」に基づく契約書を作成し、強制的にAV出演させている実態も明らかになっている。
<公取委動く>
公取委が、芸能人の所属事務所からの独立や移籍をめぐってトラブルになるケースが相次いでいることから、大手芸能事務所などを対象に独立や移籍を一方的に制限するなど、独占禁止法に抵触するような不公正な契約が結ばれていないかどうか、調査を始めた。
芸能人と所属事務所の関係をめぐっては、事務所側が認めなければ独立や移籍ができなかったり、事務所を辞めた後の芸能活動を制限したりする契約を結んでいるケースがあり、専門家はこうした契約が芸能人の独立や移籍をめぐるトラブルの背景にあると指摘している。
このため、公取委が芸能人と所属事務所の間で独占禁止法に抵触するような不公正な契約が結ばれていないかどうか、調査を始めた。
調査の対象となるのは、大手芸能事務所や業界団体などで、芸能人の独立や移籍を一方的に制限したり、独立や移籍をした芸能人の活動を妨害したりする行為をしていないかどうか調べるという。
公取委は今後、芸能界の契約について、調査結果をまとめ問題点を指摘することを検討しているという。
業界団体の統一契約書とは
多くの芸能事務所が所属する国内最大の業界団体「日本音楽事業者協会」(JAME)は、事務所が芸能人と結ぶ契約書のひな形となる「専属芸術家統一契約書」を作成している。
「統一契約書」ではまず、事務所と芸能人の関係について一般的な雇用関係ではなく、「互いに対等独立の当事者どうしの業務提携」と位置づけている。
契約期間については、期間満了の翌日から自動的に契約が延長されるとしていて、芸能人側が契約の更新を希望しない場合であっても、事務所側が期間の延長を求めることができるとしている。
また、所属タレントが芸能活動を休業したり事務所との契約を解除したりする際には、「事前に書面によって事務所側の承諾を得なければならない」としていて、ほかの事務所に移籍するなどして芸能活動を再開しようとする際にも、一定の期間は前の事務所の承諾を得る必要があるとしている。
事務所を移籍した女優は
舞台などで活動している女優の志村りおさん(オフィス・ルード所属、元アリスプロジェクト所属)は、4年前、以前、所属していた事務所から今の事務所に移籍した。
志村さんは女優としての活動を希望していたが、前の事務所から求められたのはアイドル(アイドル・ポイサン委員会)としての仕事だったということで、自分らしい活動が出来ず悩んだ経験があるという。
しかし、志村さんが以前の事務所に入るときに交わした契約書には「事務所側が認めない限り契約を解除することはできない」と記されていたという。
志村さんは「最初は、芸能界のことがよく分からず『事務所を辞められない』という契約も普通だと思っていたが、自分が望む活動が出来ず契約書によってずっと鎖をつけられている感じがしていた。我慢が必要な時期があることもわかるが、人には合う仕事と合わない仕事があり、光の見えない日々が続いた」と話す。
事務所関係者「多額の投資 むだになりかねない」
人気タレントのマネージメントを長年担当してきた芸能事務所の関係者は「タレントに突然、事務所を辞められるとこれまでかけてきた多額の投資がむだになりかねない。例えば、家賃や交通費の負担のほか、ボイストレーニングや演技のレッスンなどで売れるようになるまで数千万円かかるケースもあり、テレビコマーシャルなどの仕事をやっとつかんでも、突然、独立されれば契約期間を短くしなければならず損失になる。何もできなかったタレントが、売れるようになるまで育てることをあまり簡単なことだとは思ってほしくない」と話している。
そして、事務所を辞めた芸能人に「圧力」をかけたこともあると証言したうえで、「事務所に所属するほかのタレントへの『見せしめ』が必要になり、『事務所を辞めたら、仕事ができなくなるよ、わかっているよね?』と目で見てわかる形にする。頑張っている人の夢を潰すことは本来おかしいので、契約の在り方を少しずつ変えていく必要があるのかもしれない」と話している。
専門家「生殺与奪の権利 事務所が握っている」
労働問題が専門で芸能人の契約をめぐるトラブルの裁判も担当したことがある菅俊治弁護士は「タレントと事務所の力関係をすごく反映していて対等なものとは言えない契約が多いと思う。
タレントが『この事務所に所属していてもメリットが少ない。自分のために一生懸命やってくれない』と思っても、なかなか自分からは契約を解除できない形になっており、「生殺与奪」の権利を事務所が握っているという問題がある」と指摘している。
そのうえで、「事務所側には『多額の経費をかけているので、回収するまでは辞めさせることができない』という理屈があるのだと思うが、才能のあるタレントが事務所との関係で活躍できなくなっている問題があり、日本の芸能文化の振興にとって本当にいいのかと思う。
タレントと事務所が共存共栄していくための公正な契約の在り方が今後、求められると思う」と話している。
芸能人側の権利守る取り組みも
所属事務所とのトラブルが相次ぐ中、芸能人側の権利を守ろうという取り組みも始まっている。
東京・文京区の「日本エンターテイナーライツ協会」は、弁護士などが中心となって今年5月に設立され、所属事務所とのトラブルに悩む芸能人の相談に乗ったり、契約や法律の知識を学んでもらう芸能人向けの勉強会を開いたりする活動を行っているという。
人気アイドルグループSKE48の元メンバーで、今は女優として活動している桑原みずきさんも、協会の活動に賛同した1人で、芸能人側の立場でさまざまな提言をしているという。
桑原さんは、「独立や移籍が問題となり結果としてファンを悲しませるケースはすごく多いと思う。事務所やタレント、そしてファンにとって一番いい契約の形を考えられたらなと思う」と話している。
協会の共同代表理事を務める佐藤大和弁護士は、「これまでさまざまな芸能人の契約を見てきたが、タレント側の権利が不当に制限されているケースが非常に多い。一方で、タレント側にも契約に関する知識が全くない場合が多く、芸能界に法律や契約という文化が育っていないように感じる。タレントと事務所の架け橋になるような取り組みをしていきたい」と話している。
以上、報道参照
「専属芸術家統一契約書」で本名さえ許可なく使用できない。
第8条(名称等の使用)
3項に、
〈乙)(能年玲奈)が、この契約の存続期間中に使用した芸名であって、この契約の存続期間中に命名されたもの(その命名者の如何を問わない。)についての権利は、引き続き甲(レプロ)に帰属する。
乙(能年玲奈)がその芸名をこの契約の終了後も引き続き使用する場合には、あらかじめ甲(レプロ)の書面による承諾を必要とする。
以上、
専属契約書
http://www.septima.co.jp/contracts/senzoku
ちなみに能年玲奈は本名であり、本名さえ使用できない事態に陥り、大手芸能事務所からの無言の圧力に、能年はTV局出演や映画出演にも無言の圧力がかけられ、仕事も干されたままとなっている。
別途、TV局側自体にも多くの問題を抱えている。ガレッジセールのゴリを完全に干している。
サラリーマンでも入社1年目で退職する者は多い。1年で退職されたら、採用側の企業にとっては大損害である。しかし、労使の場合は労基法で退職が認められている。
(ブラック企業では身動き取れなくなるような労使の契約書を作成しているケースもあるが、裁判ではブラック企業は必ず負ける)。
芸能プロの契約書では、タレント候補生およびタレントとの関係は労使の関係ではなく、事業主同士の関係となっており、何の規制もないのが実情だ。
今回の公取委の調査で、芸能プロ側に抜本的な改善がなされることを大いに期待したい。
大手芸能事務所
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バーニングプロダクション
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ジャニーズ事務所
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吉本興業
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ホリプロ
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アミューズ
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エイベックス
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オスカープロモーション
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研音
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スターダストプロモーション
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ワタナベエンターテインメント
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ケイダッシュ
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松竹芸能
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東宝芸能
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太田プロダクション
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田辺エージェンシー
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などなど
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