アイコン 山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その2 勝つはずがない訴訟のゆくえ

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きょうも、きのうに引き続いて(農と島のありんくりん)の山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その(2)を掲載させて頂きます。

沖縄県民は勿論、県外の人にも是非読んで頂きたい秀逸の投稿の一つです。

農と島のありんくりん
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山路敬介氏寄稿 沖縄県の政治状況と翁長知事の実相その2 勝つはずがない訴訟のゆくえ

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山路氏の論考の2回目です。ありがとうございました。
このような精緻な分析ができる論者は、貴重です。
                
                  ~~~~~
              
■沖縄県の政治状況と翁長知事の実相 その2
                                       山路敬介(宮古)

承前

■訴訟のゆくえ
すでに方々で言われるように、県・翁長知事側に全く勝目はありません。

最高裁で既に「行政上の義務の履行を求める民事訴訟は不適法」との判例が存在するので、まず訴えそのものが却下される確率が高いと言えます。

これは「訴訟さえ成立しない」事を意味し、巷間良く言われるいわゆる「門前払い」であって、早期に決着がつく可能性が高いと思われます。

 首尾よく訴訟が成立したとしても、第一義的に法の解釈権を有し「法を所管する」農水省の判断を覆すには、その解釈に「一見して明白な違法性」が認められなければなりません。

この点で県側の主張は、「漁協以外にも潜在的権利者は存在する」ので、「漁業権は消滅していない」という左派お得意の「定義・権利の拡大」論法です。

これを論理的根拠にすえた主張を展開する予定のようですが、そもそもそこに争点が到達する事もありません。

なぜならば本件は新規許可でなく、期限切れした「更新許可」の問題だからで、すでに一旦、条件を満たして「県によって許可された案件」だからです。

県が新規申請時に問題とならなかった他の権利者の存在を新たに主張するならば、事後に「別の基準」を当てはめる事と同義の二重基準性を孕む事になり、許可を受けた者の利益を不当に逸失せしめる不公正かつ不合理性な主張になりますので、このような主張が認められる事はありません。
 
漁業権の区域・地域の範囲に関する主張部分も、そもそも日米地位協定で米軍の使用を認め、常時立ち入り禁止区域に設定されている海域ですので、「沖縄県が占有・管理している海域」という主張には無理があります。
 
また、那覇第二滑走路建設工事におけるケースで更新許可を申請している事をもって、「二重基準」であるとか「恣意的なもの」との主張を二紙でよく見かけますが、こういう本質を外れた議論を展開させる主張の仕方は、左翼弁護士の良く好むところです。

無意味な行政手続を廃する事は常に行われるべきですが、仮に国側が申請の必要のない事を認識していたとしても、県の求めに応じて申請・受理されているのですから、申請した国を「責むべき事由」にはなりません。

少なくも、この種の主張は直ちに国側(水産庁)の判断が「違法である」との証明にはつながらないし、その根拠たり得ません。

それでも一万歩譲って、この訴訟に県側が全面勝利したと仮定しましょう。
しかしそれならそれで、国は岩礁破砕更新許可を再申請すればいいだけの話なのです。

多少の期間の遅れが生じたとしても「埋め立て承認」が既に有効になされている以上、法的には許可せざるを得ないのであって、この訴訟自体をもって些かも「辺野古阻止」につながる実効性はないのです。

このように二重三重に勝訴の見込みが無い事、「辺野古阻止」という観点からは効用のない事は県幹部も翁長氏も与党の議員連中も十分認識しているに違いなく、このような「濫訴」に等しい訴訟提起は、およそ「公」がする事ではありません。

常識的判断が欠如した左翼弁護士にむしられるだけで、限りある県予算をドブに捨てる行為でもあります。

一刻も早い普天間移設を切実に望む市民や、心ある県民にとって看過出来る事ではありません。
 
ちなみに二紙の論調は例えば、「「本丸」撤回へ助走」(琉球新報 7/25 三面)などと白抜きの大見出しで報じますが、本文ではこの訴訟のどこに助走的要素があるのでしょうか?

この訴訟が一体どのように「本丸撤回」に結びつくのか、全く説明がありません。
本当のところ、「撤回」する気のない知事の本心を見据えた二紙が、運動体の立場に立って知事をけしかけている場面なのかも知れません。
 
見出しの勢いとは80度違い、本文では「仮に今回の訴訟で県が勝訴した場合でも、国が岩礁破砕許可を申請した場合、それは認めざるを得ない」(県幹部)とあり、提訴の理由として「目の前で工事が日々進む中、何もしないワケには行かなかった」(同)と正直に語らせています。

いつもの事ですが、これでは「新聞」とは言えません。
もっとも、「”暴力的運動”容認へ助走」と言うのが、本当に付けたかった見出しなのでしょう。
 
それと関連してこの訴訟の大きな疑問は、もし翁長知事が本気で「埋め立て承認の撤回」をこれからやるつもりならば、今回の県側の主張は「撤回訴訟」の中で補足理由として組み合わせて主張すべき事が最も効果的だということです。

それが目的を達成する為には最善の訴訟戦略であり常道でもあろうに、なぜしないのか、 という疑念が強くあります。

国にも「普天間の危険性の除去」以外に辺野古移設を急ぐ理由はあるし、それゆえ「焦り」も必ずあります。

その「焦り」が、合法ではあるものの「漁業権の消滅」という強い解釈を水産庁から引き出す要因になった側面はあるのです。

しかし、それが「違法かどうか」を今ここで争うならば、間違いなく「違法ではない」という判断にしかなりません。

ここで問題を分けて確定されてしまってからでは、「撤回訴訟」において主張を補強する「大事な一つの柱」を失う事になるのです。

県側としては「民意」だけでは撤回の理由足りえないとかねて判断しているし、承認後の「撤回」が認められるほどの深刻な違反事案の発見も覚束ない中、この件は「撤回訴訟」の中でこそ裁判長の心象部分に訴える事が出来る重要なファクターです。

少なくも地裁レベルでは多大な効果があったはずで、それをあえて無意味に「捨てた」意味はなんだろうか、と考えないわけには行きません。
 
何やら「国と握っている」かのような見方は性急としても、これはもう「撤回」をするつもりはないのではないかと、考えざるを得ません。

少なくも三月に知事が断言したような「承認撤回に賭ける決意」というものは、よほど「眉唾」と考えないわけには行きません。

余談ですが、このような「バカな県」に対して国が損害を賠償させる方法は常にありますが、産経新聞が言うような「翁長知事個人への賠償請求」は、県議会の通し方を見る限り遺漏はなく、「識名トンネル事件」や「国立明和マンション事件」にみるような住民訴訟を利用した方法では難しいと考えます。

他の直接的方法について菅官房長官が示唆的に述べた事がありましたが、過去に例がないので分かりません。
                                                                                   (続く)

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[ 2017年8月25日 ]

 

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