アイコン 現代自動車G 強まる構造改革問題

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現代自動車は、これまで、トヨタを目指せ・追い越せとライバル心に燃え、トヨタがFCVを開発すれば同社も巨額を投じ開発し、HVも世界の趨勢がPHVやEVに向かう中でも、これまた巨額を投じ自社開発してきた。トヨタがLEXUSブランドを作れば、同社もジェネシスブランドを作った。

カーデザインは、BMWなどから人材を引っこ抜き、洗練されたものにはなっているが、あくまで欧州仕様。2011年7月のEUとの自由貿易締結からEUへの販売を拡大させたが、それも欧州勢が巻き返しを図り、EUの経済低迷もあり、伸びは限定的となっている。

アメリカや中国では、ここ何年もP/U・SUV系が主流となっているが、欧州仕様はセダン系が多く、最近は同社の大ヒット作も見られなくなっている(ベスト20内)。昨年は過去最大の販売台数となったが、インセンティブ販売で押し上げたとする米記事もあった。

中国では、政治的なリスクであるTHAAD配備問題から、不買運動に直面し大幅な販売不振に陥っている。中国側は国産勢の品質向上による韓国勢の売上不振と一蹴している。それほど中国の国産勢は品質を向上させているのも事実、同社のコスパが剥離している。

<安全意識問題>
一番問題は安全意識、トヨタがプリウスの異常作動問題(結果問題はなかった)から米市場で大打撃を受けたが、同社は昨年9月、32項目にわたるリコール隠しの内部告発を受けた。
米市場ではすでにリコール分もあったが、韓国内ではうち4項目につき当局からのリコール検討要請を拒絶、当局が怒り強制リコールを命じた。こうした情報は米市場でも中国市場でも、ディーラーの格好のセールストークになり、販売減にしか作用しない。安全意識と品質問題は表裏一体、同社では安全意識に関し、抜本的な問題が横たわっているようだ。
(トヨタが急加速問題(米当局検査で問題なしの結論)でダメージを受けた年に同社のアメリカでの販売台数が急増していた。それほど安全問題が販売に影響すると理解していただろうが・・・)

<米中市場のインセンティブ販売>
同社の販売は2015年がピークになっている。それでも大票田の米・中では2016年がピークだった。
その米・中でも今年は売上不振が続き苦戦している。両市場とも今年になり、市場全体が低迷しており、インセンティブ(値引き)販売が拡大、同社は販売不振、インセンティブ販売による利益減というダブルパンチを受けている。

<韓国特有の政治リスク>文政権によるコスト増
同社は、韓国に生産を固執する限り、強力な労働組合により押し潰される可能性もある。例年、度重なるストにより高給取りになった労働組合、会社の取り巻く経営状況など脳味噌にはまったくなく、今年も報酬上げろとストを打っている。
直近では起亜の労働組合が、業績を基本とするボーナスを退職金などの算定基準に組み込めとの訴訟で、経済がわからない民心裁判官たちが、労働組合の要求を飲む判決を出した。ほかの自動車会社などの労働組合に波及するのは必然。これまた、生産コスト増となる。

また、眼下、労働組合やロウソク派が支援する文在寅政権になっており、向こう5年政権を担当する。文政権はすでに最低賃金を大幅に上げ、今後も上げ続ける。当然、同社の下請け・孫請けに影響し、資材仕入価格のコストアップに繋がる。
文政権は、公務員大幅増も含めた雇用創出・福祉重視策を打ち出している。その資金の捻出は大企業に対する税増に求めることになっている。

<お金はいくらあっても足りない開発研究>
完全自動運転車に向け研究開発資金がいくらあっても足りない激動の世界の自動車業界にあり、収益減や税増などにより、研究開発資金を落とせば、致命的ダメージを受ける可能性がある。
 それでなくても、大手メーカーのモデルチェンジの年数が大幅に縮まっている。同社もコスト増となるものの対応しなければ販売不振に陥る。

<SUBARUを見本とすべし>
米市場において8月、初めて現代と起亜の両社それぞれの月間販売台数がSUBARUに抜かれてしまった。
SUBARUは、基本値引きしない方針を貫き、安全と品質・耐久性を両立させ、米市場で高い評価を受けている。爆発的なヒット作はなく、車種も限られているものの、直実に販売を増加させている。
同社は、トヨタではなく、SUBARUを目指せば、米・中市場で安全・品質面で高い評価を得、スケールもSUBARU比較できないほど大きいことから、世界の自動車市場で確固たる地位を築けるものと見られる。
ただ、残念なことに現実は、コスパを武器にトヨタを目指し、野壷に嵌った現実。
これは、韓国の過大に期待するマスメディアにも原因があると見られる。常に細分化された分野や論評を探し出し、世界で、アメリカで1位だ2位だと囃し立て、同社も期待に応えるべく、よい材料しか提供していない。市場の評価は結果が伴ってこそ評価される。

<求められる抜本的改革>
トヨタもこれまで何回も何回も変わってきている。しかし、同社はオーナー企業且つオーナーが間接的に絶対株を所有しているだけに、表面的に変わっても、プライドの塊のオーナー自身がそれまでの自らを否定することにもなり、抜本的な構造改革などできそうもない。

同社が赤字に陥れば、それを逆にチャンスに捉え、韓国での生産を大幅縮小するための大リストラを敢行すべきだろう。
それほど、同社の組合は会社の経営状況など無視、欲求だけを会社側に力で求めている。同社自身が、これまでに、労働組合あっての会社と勘違いさせていることに起因しているのだろう。
現代Gの今年は、700万台の大台を割るとともに、12月期末には200万台の在庫を抱えると予想されている。同社は、年間販売台数の3割近い在庫を抱えてどうするのだろうか。
変わらなくっちゃ。

現代自動車グループ世界販売台数 ピークアウト
 
現代
起亜
現代グループ
 
販売台数
前年比
販売台数
前年比
合計
前年比
2012
4,401,946
 
2,720,735
 
7,122,681
 
2013
4,721,156
7.3%
2,827,321
3.9%
7,548,477
6.0%
2014
4,963,535
5.1%
3,041,685
7.6%
8,005,220
6.1%
2015
4,964,837
0.0%
3,050,908
0.3%
8,015,745
0.1%
2016年
4,860,049
-2.1%
3,020,217
-1.0%
7,880,266
-1.7%
2017年
2,867,989
-7.3%
1,765,038
-7.5%
4,633,027
-7.4%
・2017年は1~8月までの累計、起亜の販売比率は38%で一定
問題点
米・中市場不振、政治的リスク、製品力劣勢、労使間対立
・中国のTHAAD制裁による不買、中国合弁企業との不協和音
・32項目のリコール隠しの内部告発とその対応の誤り
・生産拠点拡大、昨年9月メキシコ40万台、昨年10月中国第4・30万台、試験操業・中国第5・30万台、20年完工予定で1.3兆円規模総投資の本社ビル等建設
・慣例となった韓国本体でのスト=操業停止・停滞
・現代と起亜の差別化戦略
・日本勢追随型の開発スタイルの限界、トヨタよりSUBARU目指す
 
現代・起亜グループの中国とアメリカの販売推移
 
中国市場
アメリカ市場
/万台
販売台数
前年比
販売台数
前年比
2011年
117.23
 
 
 
2012年
134.00
8.7%
126.00
 
2013年
157.75
17.7%
125.50
-0.4%
2014年
176.61
12.0%
130.50
4.0%
2015年
167.88
-4.9%
138.70
6.2%
2016年
179.20
6.7%
142.20
2.5%
 
2017年1月
11.01
-11.1%
8.20
-1.5%
2017年2月
9.12
-1.7%
9.50
-6.9%
2017年3月
7.20
-52.6%
11.80
-11.2%
2017年4月
5.11
-65.2%
12.15
-3.0%
2017年5月
5.25
-65.1%
11.85
-11.6%
2017年6月
5.41
-61.9%
11.06
-14.9%
2017年7月
7.00
-36.9%
11.04
-18.2%
2017年8月
 
 
10.67
-14.8%
累計
1~7月
-45.5%
1~8月
-10.1%
 
<↓ GENESIS>
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[ 2017年9月13日 ]
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