アイコン 米国SUBARUと中国ホンダの大躍進 2017年8月

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<中国市場 ホンダ・日系勢で首位に>
中国でホンダの勢いが止まらない。中国の乗用車市場は、今年から小型車の減税措置が縮小され、1~6月まで低迷、7月・8月にやっと5%台の増加を見ているほど。
そうした中、中国における日系車は、品質・安全性・デザインが支持され、市場不振とは真逆の動きになっている。
特にホンダの勢いは止まらず、日系組内で長期にわたり1位だった日産をついに越えるほどの破竹の勢いとなっている。

眼下、韓国系が母国におけるTHAAD配備により、中国政府から韓国は貿易など各種制裁を受けており、韓国系車は中国民から不買運動に直面し、今年3月からは販売台数を半減させている。
しかし、韓国系車両は、コスパ=販売価格が日系車より安価に設定されており、韓国系車両を購入する層は、韓国系より安価な民族系に流れたものと見られる。民族系車両は持ち前のデザイン力(コピー力)はズバ抜けており、なかでも上位5社の品質は日増しに向上しており、韓国系のコスパはなくなってきている。

2011年の日系車の販売台数は280.74万台でシェア19.4%、独系238.47万台でシェア16.4%だった。
日系勢は2011年3月11日の東日本大震災でサプライチェーンが寸断され、一時落ち込んだものの挽回し、2010年と同様のシェアを獲得していた。

ところが、2012年9月に日本が尖閣諸島を国有化したことから、中国で反日暴動が発生、2012年の日系勢は▲21.6%減の248.22万台となり、シェアも3ポイント落とし16.4%となった。(VWがほとんどの独系は2014年にシェア20%を獲得している)
東日本大震災後進行した円高も、主要部材を日本から中国へ送っていたことから、悪材料になった。

日系勢は、挽回をはかるため部材の現地生産化率を高めたりしてきたものの、全体の販売台数が伸びる中、その恩恵に授かることができず、2016年のシェアは15.2%まで落ちた。
しかし、直実に現地ニーズに応える戦略が奏し、日本勢の販売台数は着実に伸ばしてきた。

特にホンダは、合弁相手の広州とは旨くいくものの東風とはしっくり来なかった時期(13~14年)もあった。しかし、その後はセダン系・ミニバン・SUVともヒットを連発させ、14年は4.1%増だったが、15年には32.5%増、16年も24.0%増、17年(8月まで)もここまで18.0%増と15年以降大幅に販売を増加させ続けている。

元々ホンダは、若い世代を取り込むデザインには定評を持ち、現在は、シビック(Civic、思域)」、5人乗りミニバン「ジェイド(Jade、傑徳)」、7人乗りミニバンの「エリシオン(Elysion、艾力紳、現在:中国専用車)」、SUVの「XR-V、(日本:ヴェゼル=VEZEL)」が大ヒットしている。

 その結果ホンダは、日系勢では2015年まで3位だった販売台数が、2015年にはトヨタを追い抜き、首位の日産も今年4月から追い抜き、累積でも7月にトップに躍り出ている。

 

中国市場(乗用車)
 
ホンダ
日産
トヨタ
 
万台
前年比
万台
前年比
万台
前年比
2013年
75.68
26.4%
126.62
17.2%
91.75
9.2%
2014年
78.82
4.1%
122.16
0.5%
103.24
12.5%
2015年
100.63
32.5%
125.01
6.3%
122.25
8.7%
2016年
124.77
24.0%
135.46
8.4%
121.42
8.2%
2017年
88.66
18.0%
87.76
9.0%
84.14
7.1%
中国市場全体&日系勢の伸び率とシェア(乗用車)
市場全体
2015年
7.3%
2016年
14.9%
2017年
2.2%
 日系勢
8.7%
12.7%
16.7%
   シェア
15.9%
15.5%
17.9%
2017年は1~8月の累計値
 

<SUBARUの米国での進撃、現代・起亜を抜く>
米国市場で、現代・起亜・SUBARUの3社はメーカー販売台数は、常に7~9位の位置にある。
SUBARUは、米国市場で大ヒット作はないものの、高い安全性、品質、耐久性が信任され、販売台数を増加させ続けている。その結果、米国市場で現代自と起亜自を月間ながら遂に追い越した。
米市場が低迷している中でも増加させているSUBARUに対して、現代・起亜は市場全体落ち込みより大幅な落ち込みになっている。
結果、SUBARUが月間ながら、現代と起亜を追い越したのは、SUBARUの伸びもあるが、現代と起亜の落ち込みが大き過ぎる=自滅によるところが大きい。
その原因は、
(1) SUBARUの車両が高い安全性、品質、耐久性が信任され、市場が低迷する中でも、値引きもせず、確実に増加させ続けていること。

(2) 現代が昨年9月、32項目のリコール隠しを内部告発されたこと。米当局にも通知。

(3) 米運輸省道路交通安全局(NHTSA)は今年5月、現代と起亜が今年3月末にシータ2エンジンについて3回目のリコールをしたが、リコールを遅滞させていなかったのかの審査に入ったこと。

(4) 韓国内で32項目のうち、当局が今年2月と4月に5案件につきリコールを勧告したものの、現代は必要ないとして拒否、当局が6月に強制リコールさせ、検察に告発したこと。
(32件のうち結果8件がリコール。別の9件は公開無償修理を当局から勧告されている)

(5) ほとんどのメーカーが市場低迷によりインセンティブ(値引き)を強化させており、韓国勢のコスパが剥離している可能性。(韓国勢もインセンティブ販売しているものの、ブランドの比較感から敬遠されているものと見られる)

現代・起亜の米国での大不振の原因は、こうしたリコールがユーザーから問題視されているものとみられる。

シータ2エンジン問題は、米国では2015年~17年3月までに3回リコール、計119万160台をリコールし、中古車価格劣化の補償訴訟についてはすでに和解している。

韓国でも同様な問題(シャフト不良でエンジン振動問題、停止問題)があるにもかかわらず、製造所が異なるとして拒否していた。しかし、結果、韓国でもリコールに追い込まれた。こうした情報は世界中に流れた。
(現代自動車の子会社である起亜自動車は、共通エンジンを多くの車両で使用、エンジンや駆動系に問題が生じた場合、両社の当該車両がリコールとなる。シータ2エンジンでは起亜も61万台リコールしている)

車両の安全や品質については、米国ユーザーはうるさく、その逆鱗に触れた可能性が高い。

 

米国市場でのSUBARUと現代・起亜
 
SUBARU
現代
起亜
市場
万台
前年比
万台
前年比
万台
前年比
全体
2012年
33.64
 
70.30
 
55.75
 
 
2013年
42.46
26.2%
72.07
2.5%
53.51
-4.0%
7.6%
2014年
51.36
21.0%
72.57
0.7%
58.02
8.4%
10.8%
2015年
58.26
13.4%
76.17
5.0%
62.58
7.9%
5.7%
2016年
61.51
5.6%
77.50
1.7%
64.75
3.5%
0.4%
2017年
42.37
8.1%
45.47
-12.7%
40.54
-8.4%
-2.7%
1月
4.38
6.8%
4.65
3.3%
3.56
-7.0%
-1.8%
2月
4.55
8.3%
5.30
0.0%
4.26
-14.2%
-1.1%
3月
5.48
11.3%
6.92
-8.0%
4.94
-15.2%
-1.6%
4月
5.23
3.9%
6.30
1.3%
5.33
-5.6%
-4.7%
5月
5.61
12.1%
6.00
-15.5%
5.85
-7.0%
-0.5%
6月
5.20
11.7%
5.45
-19.3%
5.61
-10.3%
-3.0%
7月
5.57
6.9%
5.40
-27.9%
5.64
-5.9%
-7.0%
8月
6.32
4.6%
5.43
-24.6%
5.33
-1.7%
-1.9%
2017年は1~8月までの累計値
以上、資料出典:マークラインズ、JTRO資料など
※SUBARUは、以前から、中国への進出を中国当局に何度も申請しているが、トヨタの資本が入っているとして認めようとしない。まだ日本に対して中国政府は気を許していないようだ。
 
<SUBARU WRX-STI>
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<↓ HONDA  CIVIC-思域>大ヒット中
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[ 2017年9月15日 ]
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