韓国のスモッグは中国大気汚染流入とディーゼル車
環球時報は10月17日、「どうして自らの問題を見出そうとしないのか?韓国の機関が大気汚染を中国の暖房のせいにした」とする記事を掲載した。
記事は、韓国紙・韓国日報の16日付報道を引用したうえで、「韓国の与党議員が、韓国国立環境科学院の報告書を引用し、韓国のスモッグ汚染が最も激しいのは中国でスチーム暖房が使用される冬の季節で、中国などの外国から流入するスモッグの要因の割合は70%を占め、その割合は年々増加していると発言した。韓国日報は『中国などの国』と表現しており、中国以外の具体的な国名を挙げていない」と伝えていた。
一方で、今年7月に同科学院と米航空宇宙局(NASA)が共同で実施した調査では、韓国のスモッグに与える外国からの影響は全体の48%であり、そのうち中国は34%だったと指摘している。
二つの調査結果にこれほどの差が出ている理由について同科学院は、7月の結果では研究期間が5月と6月であり、中国の影響が過小評価されたからとしている。
韓国日報は、外交手段を通じて、中国から流入するスモッグの問題を解決しようとする韓国政府の力不足だと評しているとした。
記事は「同科学院は、具体的な研究方法やデータを発表していない。これまで、韓国では、さまざまな分野の専門家が、中国のスモッグ発生源説に対して疑問を呈してきた。韓国政府も以前、人体が吸入できてしまう顆粒物の85%は自動車の排気ガスが原因だと言っていた。中国政府が、大気汚染対策への強い決心のもとで各種措置を講じているのに対し、韓国政府は自国の顆粒物排出問題を疎かにしていると専門家や市民から批判を受けているのだ」と論じている。
以上、
欧州かぶれの韓国、そもそも韓国の自動車の半分はディーゼル車が走っている。ディーゼル車は、VWの排ガス不正で明らかなように、途方もなく大気汚染の元凶となる窒素酸化物を大量に撒き散らして走っている。
VWの不正問題で韓国は、輸入のディーゼル車の車種全部の20車種を調べている。それによると、排ガス再燃焼装置(EGR)は、VWは道路では機能しないように設定していたが、18車種が、エンジンルーム温度が48度になれば、エンジン保護からその機能を停止させ、排ガスを撒き散らして走っていた。中には室内温度を35度に設定した英国産の日産キャシュカイを槍玉に挙げ、韓国当局は制裁を科した。20車種中問題なかったのは2車種だけだった。(当然韓国メーカーのディーゼル車も同じ結果だったと見られるが当局は公表していない)
ディーゼル車では、大気汚染の元凶となる窒素酸化物を除去して排出させるため、排ガスを再燃焼させるEGRと、さらにマフラーのすぐ前で、排ガス管に残った窒素酸化物を除去する尿素SCRシステム(尿素還元触媒・・・窒素酸化物を尿素と結合させ、排ガス熱で無害化するシステム)を採用しているが、これも車両軽減=燃費向上・尿素水の交換を減らす(=ユーザーコスト低減)べく、本来の尿素水タンクを小型化すると同時に、その機能そのものを停止させ、見掛け倒しにしていたことがベンツで発覚、ベンツは300万台をリコールしている。ほかのメーカーも同じだろう。
世界一厳しいという自動車の環境基準であるユーロ基準、実際は、欧州では半分以上がディーゼル車、メーカーに対してこっそり、エンジンが熱で破壊されないように、エンジンルーム温度の指定もせず、爆発の危険性があれば、EGRをストップすることを許可していたのだった。そうして、エンジンルーム温度が48度以上になれば、ほとんどのディーゼル車がユーロ基準(韓国基準はユーロ基準に準拠)の10倍~40倍の汚染物質を撒き散らして走行していた。暖かくなる春から夏には特にその汚染は深刻なものになっていたものと見られ、上述のように52%が自国製の大気汚染源に起因したものとなったと見られる。
当然、そうしたことを欧州へ大量に輸出する現代自動車など韓国の自動車メーカーは熟知し、生産していた。知らなかったのは、韓国の当局だけだったようだ。
<韓国では半分がディーゼル車>
韓国は、欧州と2010年に自由貿易協定を締結し、これまでにVW車を筆頭に大量に輸入ディーゼル車を販売してきた。韓国製のディーゼル車も欧州・ロシアへの輸出向けに大量生産、当然、韓国でも販売してきた。
そうしたことから、韓国ではディーゼル車が走行している車の半分近くを占めるようになっている。
これでは、大気汚染源を撒き散らして走っているのも同然、韓国のスモッグの大部分はこうしたディーゼル車によるもの。
韓国は、また運転が荒く、濃い排ガスを撒き散らす度合いも大きい(10万人あたりの自動車事故死亡者数は日本の約3倍)。
VWが問題を起こす直前の2015年上半期では、韓国でのディーゼル車の販売台数は、総販売台数に占める割合が52%と過半を超え、輸入車(総販売台数の12%前後)に限っては68%がディーゼル車であった。
確かに中国からも汚染大気が韓国上空を襲っている。しかし、韓国においては、ディーゼル車などによる自国発生の汚染源が韓国の大気を、さらに悪化させているというのが現実だ。
今後、冬場にかけては、指摘されているとおり、中国では石炭燃焼の集中暖房も始まり、春にかけてはすでに汚染物質が付着した黄砂まで飛来してくる。
いずれにしろ、中国が地球の大気汚染の最大の元凶国ということは言うまでもない。
そうした、除去装置である触媒装置もろくに付けない生産整備で、安価に生産された製品が、欧米諸国の経済を支えているという現実、地域は安価な労働力を求めて中国から東南アジアやバングラ・インドへ急速に拡大してきている。
海外ではディーゼル車が多いパリの大気汚染も深刻、ソウルも似たようなものといえよう。河川が通り、丘陵地もある。河川周辺は冷やされ、風が吹かなければ、大気汚染物質が地表近くに舞い降りたり、発生した汚染物質が地表近くで漂うことになる。
<PM2.5の予想図と天気図=気圧図>