アイコン テーマパーク「赤城クローネンベルク」閉園 北九「スペースワールド」に続き

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群馬県のドイツの農村を再現したテーマパーク「赤城クローネンベルク」(前橋市)が11月末で閉園する。
のどかな赤城山麓で動物とふれあったり、地ビールや自家製ソーセージを味わったりできる施設として一時は人気があったが、ここ数年は客足が低迷していた。
福岡県北九州市にある「スペースワールド」も12月31日の年越し営業を最後に閉園する。
東京ディズニーリゾートとユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の都市部2強が絶好調なのとは対照的に、地方テーマパークの経営は厳しい。

■バブル期林立の末路
 クローネンベルクに利用状況を問い合わせると「連休の3日、4日は飲食施設に団体客の予約が入っているが、それ以外なら余裕がある」とのこと。閉園を惜しむファンが殺到するという状況ではない。

 地方のテーマパーク設立のピークは1980年代半ばから1990年代のバブル期前後の熱気に押され各地に林立した。
開園から5~10年は順調に客足を伸ばしたが、その後は飽きられ、設備更新のタイミングも逸してしまうというのが典型的な破綻のストーリーで、赤城クローネンベルクもこれを地で行った。
同施設を運営する赤城高原開発(前橋市)は、親会社のファーム(愛媛県西条市)と宮城村(現・前橋市)による第三セクターとして1990年に設立され、開園は1994年だった。
その後、ファームの完全子会社となり、年間30万~50万人の入場者を集めたが、2000年代に入ると20万人以下に低迷した。

2016年5月、ファームと赤城高原開発は東京地裁に民事再生法の適用を申請。製造請負・人材派遣のワールドホールディングス(北九州市)をスポンサーに迎え、再建を目指している。
その中で、クローネンベルクは、運営継続が難しいとの判断に傾き、地元の大手養豚会社の林牧場(群馬県桐生市)に施設を売却することになった。
同牧場の林篤志社長によると「本社事務機能移転と社員の研修施設としての活用を予定している」という。

 一方、スペースワールドは、新日本製鉄(現・新日鉄住金)が八幡製鉄所の遊休地を使って1990年に開業した。2005年に民事再生法の適用を申請し、北海道を中心にホテルやスキー場を手掛ける加森観光(札幌市)が運営を引き継いでいる。
同社は閉園の理由については「経営難ではなく諸般の事情」とし、地元に十分な説明をしていない。(ケチ臭くなった新日鉄が賃料アップをはかり、更新契約が不調に終わったとされる)

■投資資金とアイデアが不足
 訪日客(インバウンド)需要は、地方の観光施設、ホテル、飲食店へと裾野が広がっている。国内の消費者は体験を楽しむ「コト消費」に目を向ける。こうした追い風を、地方のテーマパークがうまく取り込めないのはなぜか。

 テーマパークの興隆はリピーターの数によって決まる。
利用者にワクワク感を常時提供できるかがカギで、だからこそ東京ディズニーリゾートやUSJは新アトラクションとイベントの開発・導入に投資を続ける。
一方、事業規模の小さい地方テーマークでは「投資、新鮮味の提供、客足増、売り上げ増、投資」のサイクルが回らない。
 また、訪日客が地方観光で求めるのは「ニッポンの日常」や「伝統文化・風習」あって、ドイツ村のような日本を感じられない「非日常の体験」ではない。資金がないのであればアイデアで勝負する必要がある。

別の道の模索が新陳代謝を促し、地元活性化につながることもある。USJ登場の後、関西の私鉄系遊園地が選んだ道が好例。
2003年に閉鎖した宝塚ファミリーランド(兵庫県宝塚市)は、高層マンションが隣接する文化交流エリアとして開発が進んだ。
2004年に閉園した「近鉄あやめ池遊園地(奈良市)」は、近畿大学系列の教育施設が集まる文教地区に生まれ変わった。
2006年に閉まった神戸ポートピアランド(神戸市)の跡地には、家具販売のイケアが進出している。
以上、日経新聞参考

日経はここで、ハウステンボス(長崎県佐世保市)を掲載していない。

第3セクターとして運営されていたハウステンボスは、集客不足で資金がなく、新たなるイベント企画などができず、実質倒産。HISの澤田社長が事業を承継し、イベントを打ち続け、経営は急回復、入園料が上がったのは気に入らないが、入園料に見合うだけの施設の充実、集客できるイベントも子供向け、大人向けが大量に企画され、ロボットが受付などそのほとんどを対応する「変なホテル」を開業したり、澤田社長の趣味の延長線上か、宝塚ばりの歌劇団(団員は現役を招聘)と養成学校も開設している。季節ごとにも大々的な企画を打ち出し、春はチューリップ祭り、夏は大花火大会、冬はイルミネーションで別世界を演じる。ハウステンボスは地方にあり、近隣の後背地人口も限られる中、遠方から集客する企画や施設に変身させ、再建が図られた代表格だろう。 

閉園を予想されているテーマパークの経営者は、ハウステンボスは澤田社長だからできたと免罪符を打っても仕方ない。

テーマパークは、第3セクターで開設されたところが多いが、天下りの官僚たちは、報酬は持っていくが、運営ノウハウは0、大量集客の企画立案力もなく、また金もなく、イベント企画もできないことから資金調達力もない。悪循環を繰り返し、閉園していく。第3セクターといっても他人事ではない。膨大な税金が投入されてきた施設である。
それほど、自治体や官僚たちも有頂天にさせたのが1990年前後の経済バブルであったが、第3セクター運営は、民間と異なり、効果のない延命策をとり続けることから、税金投入額が拡大し続ける。
ただ、民間運営の遊園地が倒産して、奈良のお化け遊園地跡(廃墟)のようなことになってはならない。

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[ 2017年11月 1日 ]

 

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